realgame 3
屋上にはスイッチがあった。
「あ、あった!」
だが、すぐ後ろにはミノタウロスがいる。
「ま、間に合わな…………」
僕がそう言おうとした時、虹野は笑って僕を思いっきりスイッチの方向へ押した。
「!?な、何を……!」
「言ったでしょ?これは賭けなの。あのスイッチがもし良いものなら私達は助かるかもしれない。でも、悪いものなら二人とも死んでゲームオーバーよ」
僕は状況を理解してスイッチへ飛び込む。
スイッチを…………お、…………押した!
カチッとした音と共に、後ろで変な音がした。
虹野は、虹野は無事だろうか。
後ろを振り返ると虹野がいた。無傷だ。
「よ、よかった」
でも、一つおかしなことがある。
さっきまでいたはずのミノタウロスがいなくなっているのだ。
僕達がこのゲームの始まる前に集められた場所で咆哮が聞こえた。
ここは屋上だから周りの様子がよく見える。
僕は屋上の柵へと駆け寄る。
僕達が集められた場所にミノタウロスがいた。
「ど、どうして……さっきまでここにいたのに」
「あ、当りだったみたいね」
どうやら虹野が言う賭けは成功したようだ。
虹野はほっとしたような様子だ。
「他のスイッチもこんな建物にあるのかな?」
周りにはここを合わせて十個の建物がある。
そしてその上にはスイッチらしきものさえもが見える。
「このゲーム……パターン化されたわね。建物に入って屋上に行き、スイッチを押す。…………まあ、今回みたいな良い仕掛けのあるスイッチかどうかはわからないけどね」
「ここに籠城してるのも危険だよ、とにかく次の建物に行こう」
「…………ちょっとは頭使いなさいよ。ここの建物の配置をちゃんと見てみて」
僕は屋上から見渡す。
よく見ると、建物は一つの輪のように円の形に並んでいた。
「も、もしかして…………」
「気づいたのね……」
「うん」
ちょっと考えれば分かることだった。
建物から建物に屋上から屋上へ移動してしまえば、とても簡単にスイッチの場所へ行き渡ることができるのだ。
「さっそく下の階で建物に渡れそうなものを探しましょう」
僕達は下の階へ下がる。
探し物はすぐに見つかった。……やけに長いはしごが置いてあったのだ。
「…………行きましょう。おそらく、今からが本番よ」
隣の建物の屋上へはしごを繋いだ。
このゲーム。最初は途方もないものだと思っていたけど、もしかしたらクリアできるかもしれない。
僕がそんな希望を持ち始めた時だった。
はしごをかけたつもりが向こうのスイッチを押してしまったのだ。
ミノタウロスの居場所の確認をした時はもう遅かった。
ミノタウロスは……いなかった。
そしてかわりに僕の後ろで咆哮が聞こえた。
「ブォォォォォォォォォォォォォォォォ‼‼」
虹野はもうあっちの建物に移動し終わっている。
よかった。虹野が助かればもういいや。
最初のゲームで僕の心は折れていた。
不思議と今から待ち受ける死という運命にも恐怖を感じなかった。
学校生活や小さい時のことをおも思い出す。
ああ、これが走馬灯ってやつか。
「神矢ーーーーーー!」
その声を聞いた後、僕の意識は途絶えた。………………