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realgame   作者: メロル
3/6

realgame 2

目を開けるとそこには見たこともないような景色が広がっていた。

「ここは……どこ?」

目の前にいた少女にふとそんな質問をかける。

「…………知らない」

この子もあの“ゲーム”をさせられたのだろうか。いや、その前にこの子は確かに言った。“次のゲームが始まる”と。またあんな地獄のようなゲームをさせられるのか。いや、だがこの子はどうして始まることとそのタイミングが分かったのだろうか。

「どうしてゲームが始まることが分かるんだ?」

「……あそこ」

少女が指さした方向には大きな立て札があった。そしてそれには“スイッチ全部押す☺”と書いてあった。おそらくだが☺は“クリア”を意味するのだろう。僕は前の物体のゲームをクリアした。だがその後はここに運ばれたようで、またゲームが始まるというのだ。

「どういうことだよ。これって終わりはあるのかよ。いつになったら終われるんだよ」

僕は一つ思い出す。何でこの子は始まるタイミングが分かるのかという疑問はまだ解決していない。

「どうして始まるタイミングが分かるんだ?」

もう一度少女に質問をかける。

「あそこにスイッチがあるでしょ?」

確かに少女が指し示した場所には小さなスイッチが見えた。そして、それを押そうとしている人も。

「あの人はもうスイッチを押す。そしたらほぼ確実に何かが起きる。つまり、ゲームが始まるってこと」

確かに少女の言っていることは間違っているわけではない。その時、スイッチが押された。カチッとしたショボい音の後に押した人の上に“何か”が落ちた。グチャリとした音。落ちてきたものは、普通は存在しないもの。作り話などでよくでてくるあの生物。…………………………ミノタウロスだ。

「ブオォォォォォォォォォォォォォォォ」

ミノタウロスの咆哮で周りにいた人達が吹き飛んだ。

「なんだよこれ!」

「ぐわっ………………!!!」

あの物体の時の惨事が繰り返されてゆく。幸いなことはミノタウロスとの位置は結構離れていたことと、ミノタウロスは足がまあまあ遅かったことだ。周りにはいくつかの建物がある。どれもなかなかの大きさ。四階ぐらいまでの高さだ。これなら少しは時間をかせげるし、スイッチも見つかるかもしれない。震えて動かない足を思い切り叩き、必死で走り出す。少女を一緒に連れていけるぐらいの余裕はあったようで、少女の手を引いて一番近くにあった建物に入る。他にも同じことをした人も多数いて、犠牲者は10人程度ですんだ。建物に入ると状況を一気に整理する。スイッチを全部押さなくてはならなくて、押すとおそらくさっきのような罠が発生する。それはもう一体の化け物が出てくるかもしれないし、さっき出てきたミノタウロスが瞬間移動かなんかでこっちにくるかもしれないし、自分の居場所がばれるものかもしれない。どちらにせよ命の危険が伴うものには違いない。再度、体が震える。

「や、やっぱり無理…………」

「やる前から諦めるの?やらなきゃ死ぬんだよ?やったら生きられるかもしれない」

僕の様子を見て少女が声をかける。

「だったらお前はできるのか?自分の命を差し出してまで他人を助けられるのか?そんなのここに連れてこられたやつにいいように使われただけになるんだぞ?」

「だったらあなたもそこらにいる臆病者と一緒だね。勘違いしないで。私はあなた達みたいに生きたいわけじゃない。死にたいのよ」

死にたい?何でなんだ。でも確かにここでこうやって他の人がやるのを待っていても何もおこらないしいずれミノタウロスに見つかって殺される。なら……………………

「ぼ、僕は臆病者なんかじゃない!僕がスイッチを押す!」

その時、ドガンッッという大きな音と共にドアが蹴破られた。やつだ……ミノタウロスだ。

「うっ!…………!!!………………ひぃっっ………………!」

恐怖でまたも体が動かなくなる。そんな僕を無理矢理引きずって少女は階段をかけ上る。

「しっかりしなさいよ!あなたがスイッチを押すんでしょ?決めたんならやりきるまで死ぬんじゃない!」

体の硬直が解ける。

「ご、ごめん!」

二階から三階、そして四階へ一気に上がっていく。そして屋上へ。

「これは……賭けだけど…………スイッチみたいな重要かつ貴重で、さらに見つかりにくいって言ったら屋上しかないと思うの。」

「な、何で!?」

少女は険しい表情を浮かべながら言う。

「一階ごとに部屋がたくさんあったでしょ?それを全部調べさせて時間を大量にとらせる。普通は部屋にあると思うからね」

確かに僕も部屋にあるものだと思っていた。

「そして最後の最後に調べる場所、そこは一番上の位置にある屋上!」

少女は続ける。

「そして全ての部屋を探してもみつからなかったら屋上を見ずに諦めるかもしれない!」

「……だから屋上に……」

「そう。それがあっていたらこれからのスイッチ探しも楽になるわ」

スイッチが屋上にあるように精々祈っていろというように少女は笑う。

「君……名前は?」

「…………華恋(かれん)……虹野 華恋 (こうの かれん)」

僕達は屋上にたどり着いた…………………………………………

「ブオォォォォォォォォォォォォォォォ」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

……………………………………………………………………………………。

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