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realgame   作者: メロル
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realgame 1

今日もいつもと変わらない一日が始まった。

僕は神矢 候。高校二年生だ。

教室に入る。

いつもと変わらぬざわざわとした雰囲気。

「退屈だな」

そんな言葉がついこぼれてしまう。

こんなことを言うのもいきなりだと思うが僕は野田(のだ) (めぐみ)という女子のことが好きなのだ。

今日もただ彼女を見つめるだけの退屈な授業が始まる。

そんなことを考えながらぼーっとしていると、先生にあてられてしまった。

「おーい、神矢~次の問題、解いてみろ~」

周りが笑う。

「あはははははははは。神矢のやつあてられてやんのー」

「う、うるさい!ど、どこのページ読めばいいの?

焦る僕に恵ちゃんはページ数をおしえてくれた。

やっぱり優しいな。

………………なんていう幸せな気持ちでいると、先生に異変があった。

“様子が変なのだ。”

「せ、先生。大丈夫ですか?」

先生はずっとうめき声をあげているだけ。

先生は確か、僕をあてた後に黒板に何かをかき、苦しみ始めたのだ。

………………黒板には“ボール当てられたらクリア☺”とかいてある。

そういえばロッカーの上に見たことない白いボールが置いてあった。

すると、先生の“体”に異常がでた。

ブチブチッという嫌な音をたてて先生の体が真っ二つにちぎれはじめたのだ。

そしてもっとも驚くべきところは、ちぎれたところから見えたものが脳とか骨とかではなくて、黒い何かだったことだ。

「うううううううううわぁぁぁぁぁぁぁ」

「な、なんなんだよ‼」

「うっ…………おぇぇぇぇぇぇ……」

教室の中が混乱する。

「お、俺先生呼んでくる‼」

「わ、私も行くっ」

次々と逃げるように教室から出ようとする。だがドアが開かないのだ。

ガチャガチャと必死に開けようとするがびくともしない。

「と、閉じ込められた!!!」

「い、いやぁぁぁぁぁぁ、何あれ!!」

先生の体が真っ二つにちぎれ終わり、中からは人形(ひとがた)の黒い物体が出てきた。

場が静まる。誰も喋らない。

その中で一人が動いた。

「な、何なんだよ……これ……」

そいつは黒い物体に触ろうとする。

だが、次の瞬間、真っ赤な鮮血が飛び散った。

黒い物体が動き、そいつの体を二つに分けたのだ。

「ごっ…………ふっ……」

よく見ると黒い物体の手は異常な程に鋭く、ものすごく切れ味のよさそうな鋭利な刃物となっていた。

「おぇぇぇぇぇぇ………………!!……うぐっ!?」

「ぐぁぁぁぁぁい、痛てぇぇよぉぉ!」

次々と殺されてゆく友達。その混乱した状況の中で候は確かに覚えていた。

“黒板の文字”を。

あのロッカーの上にあるボールをあてられたらこの地獄のような状況が終わるかもしれないのだ。

ただしこれは賭けなのだ。

ボールをあてて何もおこらなかったらそこで死が確定してしまう。

「や、やっぱりできねぇよぉぉ。」

そんな僕の様子を見て殺れると思ったのか、あの物体が僕に向かってやってくる。

ああ、僕はここで死ぬのか。そう思った時、誰かが僕を守ってくれた。

“自分を盾にしてだ。”

僕の体に血がかかる。

やがて、それが誰だったのかが分かった。

恵ちゃんだ。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!……ど、どうしてっ僕なんかをっ」

彼女はどさりと倒れこむ。声もかすれて今にも死んでしまいそうだ。涙が込みあげてくる。

「そ……れはね…………候くん……の…………こ……とが」

「も、もう喋らないでくれっ!」

「好き…………だった…………から……」

「!………………」

どうしてこんなことになるまで僕は何もしなかったんだ。好きな子に守られるなんて……最低だ……、でもこれだけは伝えなければならない。

「好きだよ。僕も、恵ちゃんのことが大好きだ……だから……死なないでくれ」

「う…………れ…………し……ぃ」

彼女は動かなくなった。

こみあげる涙を必死でこらえて僕は走った。

やることは決まってる‼

あいつにボールをぶつけてやるんだ。

「う、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」

ボールをとることができた。が、もう物体は目の前だ。

やけくそでボールを放つ。

…………それはやつの顔にあたった。

やつの顔が吹き飛んで、代わりにあのボールがやつの顔の位置にくる。

……………………そしてやつは動かなくなった。

「こ、これで……終わり……なのか?」

一気に体の力が抜けてしりもちをつく。

「や、やったぁぁぁぁぁぁぁ」

「終わったぁぁぁぁぁ!」

「い、生きてるっ」

周りから大きな歓声と喜びの声が聞こえる。

僕は寝転んだ。もうこのまま寝たいぐらいだった。突如、あのボールが回りはじめた。

……一瞬のことだった白いボールから閃光のようなものが放たれて周りにいた人達が全員真っ二つになったのだ。

寝転んでいた僕は運良く助かる。

「な、なんだよこれ……」

僕の足元にあの物体の黒い顔が転がってきた。

そしてにやりと笑い、クラス全員と先生の名前を言いこういった。

「ゲームオーバー」

そしてまたにやりと笑いこう言う。

「神矢 候。ゲームクリア☺」

それが何を意味するかは分からない。

だけどこの日、僕の好きな人、そして先生、生徒達が殺されました。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! くそっ……くそぉ!」

行き場のない怒りが地面へと向けられる。

拳から血がでようとかまわずただ地面を殴り続ける。

その時、黒い物体の顔の部分から光が放たれた。

僕は眩い光に包まれた。

もうどうなろうと何でもいい。

僕の心は壊れていた。………………………………

「……………………起きて。………………次のゲームが始まる…………」

誰かに起こされて僕は目を開けた。



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