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きれいな けしき を しらない
「あちら側──彼岸、あの世、黄泉に何があるかなんて、誰が隅から隅まで言える?」
火の海?極楽?それとも。
「個々の想像の産物に過ぎない」
「私はね。舞台裏のまっくらな闇に行くようなもんだって考えてる」
パーラム・イターは暇そうに泥まみれになった彼岸花を手に取り、なぎ倒された木々をみやる。大洪水が起きたのち、全てはめちゃくちゃになった。
生贄も、信号機もどこかへ行った。
破壊があるから、また新しいものを作らなければならなくなる。
「パーラム。次はどんな景色にするんだい」
人面獣の至愚が尋ねてきた。
「そうだなぁ〜〜~。私は綺麗な風景を見た事があまりないからな」
「彼岸花が可哀想だ」
「じゃあ、彼岸花だけ生やしておこう。……」
あの、隠し神のためだけの空間は災害により破滅した。それは良かったのかもしれない。未練もろとも残酷に流されたのだから。
指を鳴らすと、彼岸花だけの世界になる。空はない。ただ地面に彼岸花だけがはえている。
「変な世界だねえ」
「はは。面白いだろー」




