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多多邪の宮の友だちの定義

「だーめ♡女孺(めのわらわ)如きがアテクシ(・・・・)に口答えしないでくださるぅ?」

「なっ! あーしはこう見えても神託を授かる女王のお仕えだったんだから! あんたこそ下級役人以下だったんでしょっー?! 失礼なのはソッチだっ」


 ビシッと指さすと、周辺にチェレンコフ光が瞬いた。

「グッ……カヤス殿、無闇に異能を使うなっ! ますます立場が不利になるぞ!」

「だって、だって! 頭きたの! コイツ、あーしらより下っ端のくせに、いつも印猫さまをバカにした目で笑って! この際こうしてやる!」


 鬼火と細胞を破壊する光が炸裂し、美麗之前は吐血した。抵抗もできず、彼女は口を拭う。


「ガキがっ……しょせん金魚のフンのくせに、よく言うわ。聞き分けの悪いクソガキには躾が必要なようね──」



 芝居がかった余裕綽々な態度がなくなり、扇を召喚した時だった。頭上から蓮の花びらが散り、その場にいた者は皆、新たな来場者を見上げる。

 極楽浄土から差し込んだ光が奈落を優しく照らし、爽やかな風が舞い込んだ。



「多多邪の宮さま」

 カヤスが名を口にする。


「みんなァ、わえの知らない所で何してるの。醜く争っちゃってさぁ。すっごいウザいンだケド」

 ヘラヘラしてはいるが、声はトゲトゲしかった。彼はフワリと白髪をなびかせて、優雅にキューブに腰掛ける。


「多多邪の宮、アナタに意見を聞きたいわ。印猫の処分の事について」


「そうだ。印猫を更生させる手立てを」


「お願いです。印猫さまを助けてください!」


 三者、それぞれに第一眷属へ申立をする。

 彼は眷属たちの必死さとは裏腹に、うーん、と幼げな動作で小首を傾げ、しばし黙り込んだ。


「印猫はわえの友だちなの」

「は、はい」


「でもね。友だちはわえを裏切らないし、勝手に動かないし、わえを嫌わないの。友だちはわえを愛してずうっと一緒にいてくれる、そういう存在なの」

「……」

 彼らは黙り込む。理由は明白で、そうして多多邪の宮がニッコリと無邪気に笑ったから。


「友だちはわえの一部。印猫はね、もう一部じゃないよねえ?」

「──な、何を言っているの?!」

 異論を唱えたのは意外にも処分を押し進めようとしていた美麗之前であった。


「それじゃあ我々を辱めた善狐と同じじゃないっ! 阿字母さまは個を尊重してきた。アナタ、正気なの?!」



「……はーあ、美麗之前。(なれ)もか。汝もわえの一部じゃなくなるんだ」

「は?」



「じゃあ、要らないね?」

女孺は平安時代の役職の階級制度の1つになります。

美麗之前は平安時代に生きていたという設定があります。

対して印猫とカヤスたちはヤマト政権ができた頃です。

いつか小説でも書きたいです…。

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