いよこ の いもうと と ぱーらむ
荷が重い役割を果たす蓮楼がなぜ、この弱小のこの世の者でない部類に会いに来るのかは分からない。これまでも何度か現れ、そうして去っていく。
居場所を無くした滑稽な女をバカにしに来ているのか──それこそ無駄な考えであった。
「冷やかしにくるなら何かこう、菓子とかくれよな〜」
ボヤきながらも椅子に寄りかかっていると、テーブルの近くに見慣れない少女がいた。
が、どこか顔立ちが既視感がある。
「八重岳 イヨ子の妹です。初めまして」
「へー、妹さん。なんの用かな」
イヨ子の妹は礼儀正しくお辞儀をした。
「もう一度、彼岸の渡し船をして欲しいんです。そこに八重岳 イヨ子はいる。それなら『私たちは許される』ので」
「彼岸の渡し船は並大抵の覚悟じゃないとできねえ、私には無理だ。責められる気分だった。なぜ、お前はそこに居るんだってね」
パーラムは魔法の如く紙タバコを召喚し、マッチで火をつけた。煙を吸いながらも、ふんぞり返る。
「──それは貴方自身の妹に言われたからでしょう」
「お前、何でそれを知ってんの?」
眉間に皺を寄せ、あからさまに不機嫌になる。金色の瞳がギラギラと憎しみに揺らいだ。
「妹だからです。誰かの。八重岳 イヨ子の。妹は分かるんですよ」
「……。なんだよそれ。訳分からんわー」
一気に脱力すると、彼女を眺める。虚ろな双眸は死者のソレだった。
「べつに、良いです。分からなくて。──私たちが彼岸の渡し船を代わりにやります。イヨ子を、認めてやってください」
「……。はは、認める? あたしは神か、何かのありがたい輩かい?」
かの娘は子供と言っても中学生ぐらいだろか。
やはりイヨ子に似ているな、と思う。顔つきや髪質やら。彼女は長い髪をサラリと揺らし、微笑んだ。
「……。さあ」
「姉に似て薄気味悪いヤツだね」
「タイムリミットはある大罪人がやってきます。そこで貴方は渡し船を再開する素振りをみせて、見捨てて恨みを買うでしょうね。そうして貴方の妹さんも更に失望しますよ」
「あのさあ、さっきから何で──」
彼女が消えているのを見て、パーラムは加えて不機嫌になる。
「クソが。大罪人か。そんなヤツ、この世にいんのかなあ」




