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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
パーラム姐さんと話しをする者たち
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ほうきぼシ こうもり

「ん? 誰だ?」

 異質な気配が降り立ち、こちらへやってくるのを感知した。

 パーラムは最初、死を体現する覃(のびる、ひととなる)だと思いみ、なぜ今更やってきたのだと疑問に思う。アレは自らの空間を好み、滅多に外にでない。出るとしたら気にかけている娘の事だ。

 眩い光が暗鬱たる空間をいっせいに照らし、月すらない空を明るみにした。雪が降りそうな赤い雲の反射は、朝焼けに似ていた。

蓮楼(れんろう)

 パーラム・イターはわずかに驚きを含む声色で来訪者を呼ぶ。

 美しいかんばせの人面獣であった。うねる白銀の長髪は自ら発光し、瞳は美しく蘭々と灯火を宿している。

 かのアルビノに酷似したコウモリの人面獣は蓮楼といった。

 ユキヒョウに擬態した死の塊である覃(のびる、ひととなる)は希死念慮の暗闇で世界に復讐している。

 のびるは光に強い性質を持ち、死を蔓延させるのが彼の目的。では光=生は?

 美しく、周りを照らす。そうして世界に居場所を無くす。不条理な鮮烈な、残酷で奇跡的な事象をもたらす。

 蓮楼という名を持つ、生を顕在させる塊。

「なんだ、いきなり。何かの冗談か?」

 パーラムは椅子に座り直し、クッキーを食べる。すると彼女は美麗な髪を靡かせ、テーブルの上に着地した。

 彼女は一言も話さない。理由などない。そういう存在だからだ。

「あんたほどの存在でもクッキーを嗜むのかい?」

 器用に口でお茶うけの皿からクッキーを啄むと、こちらへ差し出してきた。

「くれるの? 相変わらずだなあ」

 呆れ笑いを浮かべ、パーラムは受け取った。女性はさらに光り輝き、ソッと自らの毛をテーブルに落とす。

 生き続けろ、と行っているのか? それともこれから何か起きるのか?

 神のみぞ知る──いや、蓮楼という名を持つ高次元の生き物しか知らぬメッセージだった。

「なぜ私に会いに来てくれるのか、毛頭分からないけどありがとうよ。あたしはこの世から捨てられた人間なのに、さ」

 彼女は何も答えない。コウモリは俊敏な動きで飛び立ち、彗星の如く薄曇りの空を駆けていった。

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