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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
パーラム姐さんと話しをする者たち
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ひがんばな の その

 この森は異様に蛾が多い。目玉模様がジッとこちらをねめつけ、監視しているみたいだ。

 弔いの意を示すコウヤマキが大半を占める林。咲き乱れる赤い絨毯、彼岸花。

 得体のしれぬ赤い川。そうして串刺しの生贄と乱立する信号機。

 蛾はパーラムの眷属であるが、他はどうだろうか。

 ここは彼女の精神世界ではない。隠し神が置いていった奇妙な、彼岸に近しい空間だ。



 この世の者でない部類は彼岸へ行けないがための存在なのだが、隠し神は異なる。

 彼らはどこまでも空虚で、どこまでも自由。そうして自我を持つ者は理想の空間に見せかけた──あの世に見せかけたモノを作り、餌を誘い込む。

 三途の川の渡し船など元来必要ないくらいには、この世から祝福されていないのだ。

 パーラム・イターは知らない。隠し神がどのような生態かも。

 存じていたら笑って引導の役割を押し付け、こじつけで罪悪感から逃れるに違いない。

 だが彼女は隠し神へ良い印象を抱いていない。笑わないで怒るだろう。

 ともかく彼女にとっては好都合な空間だった。

 茶を飲んで、古めかしいレコード音楽をたしなみ、たまには読書をする。彼岸に近しいが故に苦しむ声がさまようがそれも気にしない。

 彼岸の渡し船。あの苦行はどの刑罰よりも耐え難いからだ。

久しぶりです?

体感的には1年ぶりに執筆した気がします。

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