かご から でて そとを シる
「善狐? どこにいる?」
「おっと、あんたらには見えないのか。まー、いいや。とりあえず結界からは出ないでください。色々めんどくさいンで」
「貴方は?」
「私は郷涅。ええ、至愚派の禍根の術士でございます。アンタらは偽天使。知っていますよ」
郷涅は結界を維持したまま、後ろから現れた婦人──穢偽へ道を譲る。
「よろしくお願いします」
「分かったよ」
「誰だかわからないけどっ! 捨てられちゃうなら、廃棄してください! もう、もう、私には生きる──」
どうやらスコーク ナァ〜ごには穢偽の姿が可視できるみたいだ。
「……。残念ながら阿字母の門下だったらやってたが、アンタには責任がある。生み出したものがあるのなら、見捨てずに付き添え」
「えっ、……印猫さま、ですか?」
「ああ、本物じゃあないみたいだが。フン、厄介なヤツらだよ。すぐ変なモンを生み出す」
ハズレくじを引いた、と残念がる婦人に、ナァ〜ごはアワアワとするばかりだった。
「お前にはお前を救う存在がいるんだ。イジイジすんじゃないよ! 小娘!」
「……は、はいっ!」
涙を拭い、気遣ってくれるモヤにありがとう、と感謝した。
「アリー、だっけ? 私と郷涅が『この部屋』の穢れを祓っておく。深く反省しな。あ、見えないんだっけか?」
「さ、早く出てった方がいいですよ。シュチュエーション的にも、お涙頂戴ですし」
「え、え、あ、はい! さようなら、さようなら、アリーさん! ありがとう」
バタバタと走っていく化け物の背中を見て、ありがとうだなんて、よく言えるな、とアリーは呆れる。
「馬鹿だな。弱虫だとか要らない子だとか散々喚いて、肝が据わってるじゃないか。アイツは」
時代の流れで、ある理由で大学や社会的地位を失い、多額の借金をおい、家族からも捨てられた。
裏の社会で、女性であるから保険金詐欺に加担させられるが、なぜか、死体遺棄を担当せられ、何回も死体を解体させられる──
そんな、人生が走馬灯のように駆け巡る。
あの世のようなダチュラが咲き誇る空間を走り抜け、建物の外へ飛び出した。
誰かが笑って、手を振っていた。女性だ。優しげな雰囲気のくせ毛の女性。
「ラフくんをよろしくね」
久しぶりの外は肌寒い。人気のない夜の駅前。
白い息を吐き、ベンチに項垂れて座っているラファティ・アスケラを見つけた。
彼も静かに泣いていた。
「アナタも、どっかに行きませんか」
スコーク ナァ〜ごさんの一連の話は一区切りつきしまた。
ありがとうございました…。




