きしねんりょ の はな
「で、〜〜~あ、……」
不意に希死念慮を感じ、スコーク ナァ〜ごはペチャクチャしていた口を閉じる。目の前にいる神さまはそれを叱責したりしない。叱責。
「すいませぇん……今日は調子悪くて……」
嘘ものの印猫さまに日々、話しかけていた。心のどこかでこれが自分自身を騙すための、また捨てられると虚しさを紛らわすために始めた馬鹿げた儀式だと自覚している。
「でも印猫さまは、こーして前にいるんです。不思議です」
キャッキャと神さまは喜ぶ。
「私もうれしいです」
アリーは毎度楽しそうに話すナァ〜ごを見届け、元の仕事へ戻ろうとする。気持ちが憂鬱になり、肩が重たい気がする。比例してビルは淀んでいて、違うフロアのやけに煩わしい明るさに影があるように見えた。
気持ちに引きずられてそう見えているだけだ。
言い聞かせて、佇んでいる伝書鳩の職員に気づき近寄った。
不自然に壁に向かって、何かを目撃し固まった状態で停止している?
「──おい!」
デジタルな、ホログラムな──半透明でザラついたダチュラの花が職員の体から咲き誇っていた。
声をかけ、助けようとするもダチュラはそこら中に咲き乱れ、廊下を覆い尽くしている。
「た、たすけてええ!」
廊下の向こう側から違う職員が走ってきたが再び目の前で身体中にダチュラが咲き始め、停止してしまった。
「く、くそっ!!」
それを目撃し、恐れをなし、アリーはどうするかを考える。ダチュラ。なぜ? 関連する人物も事象も思いつかない。
(──ナァ〜ごか? いや、アレにそれ程の力があると? いや、ありえない)
処分しなければ。いいや、アレは何をしても死なないのだ。
ならば捨てなければ……。あれは手を出すべきでなかった?
(自分の行いは間違えていた? そんな訳ない。私は悪くない)
早く秘書へ連絡しなければ。彼女が謎のダチュラに侵食されていなければ、の話しだが。
「私だ。アリーだ。今、大変な事態が起きている」
「ええ、知っております。今までにない、摩訶不思議な事象です。やはりあのリクルートスーツを来た化け物のせいですか?」
「多分……」
「最初から言っていましたが……、アレは我々には手に余ります。早急に、遺棄しましょう」
秘書はいけしゃあしゃあというが、精神的ダメージを受けているアリーはそれ以上反論すら言えなかった。




