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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
とこはるなつふゆのひび サイカイ
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おだやかな みち

「退治されなかっただけマシかあ、ハア、せっかく無該当化した者たちが来たのに」

 早朝の緩やかな道を歩きながら、中性的な外見を持つ人物は言う。外見は40代くらいだろうか。

 隣には背がそかそこ高い、コートを羽織った妙齢の婦人がいる。

 かの存在は()()。無限の可能性を秘めた上位互換の存在だ。

「あんなガラクタばかり作って何がしたいんだい? お前ら術士はよく分からない」

「ガラクタだなんて。はは、そうですねえ。実証したいのかもしれません。人が思う通りの神がいるか」

「くだらん」

 はあ、と吐き捨てられ、また薄笑いを浮かべてみせる。

「私はアイツらが表沙汰に出てくる限り、ぶちのめす。それが私の役割り。働いてもらうよ」

「至愚さんに似ていて、好印象ですよ。そういう考え」

「だ、か、ら! 至愚とは誰だ!」

 見た目に反して彼女はギャアギャアとやかましい。──至愚の教え子の弟子であった郷涅(ごうね)はその度、昔を思い出す。

 楽しかった、青春のような日々。

 まさか自分自身が人の寿命を遥かに超え、ここまで生きてしまうとは思いもしなかったが。

 修行の末に成れると言う仙人とも異なる、穢れた何かに自分は成り果てた。仙人は空を飛び、霞を食うというが──自分は真逆だ。

 地を這い、穢れを食う。

穢偽(いぎ)さん。貴方、どこに向かってるんですか? わたしゃ検討もつきませんよ?」

「お前にガラクタを作ってほしい場所さ。加護はいくらでもしてやるからね」

「改宗してやいないんですがねえ……まあ、いいや」

 郷涅は肩をすくめ、首都圏エリアへ向かう。倒町はあの後、どうなったのか少し気になるが、ペースを握っているのは穢偽なのだ。

「至愚さんとまた会えるかな」

「さあ、お前ら人間の寿命なんてたかが知れてるわい」

「はは。アテクシがいて、何を言うんだか」

 二人は寒々しい国道を歩いていく。車がたまに通り過ぎるだけの、漠然とした道を。

 初日の出は見れたので良かった、と郷涅は内心、呟いた。

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