表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
とこはるなつふゆのひび サイカイ
34/48

にっこうきすげ と つまらない かいわ

 ラファティ・アスケラはパーラム・イターが封じられている空間で、監視をしつつ、久しぶりに気を休めていた。

 だれからも干渉されない空間。魔も人も見つけられない、閉鎖された異空間。サリエリ・クリウーチも出現せず、もっぱら仮眠……傍から見れば爆睡であるが……するかボンヤリする憩いの場になっていた。

「ラファティ・アスケラ。ずいぶん疲れているみたいだナア。なあにかあったのかい?」

「いえ、何も」

 ペンをクルクル回し、テーブルの用紙を見つめていると、パーラムが話しかけてきた。

「あたしなんて、どこかの誰かにアイツは阿字母(あじぼ)さまの従属から逸脱した異形よ〜〜~♡って罵られたンだ。酷いだろ」

 どこからかニッコウキスゲを取り出し、眺める。綺麗な黄色だな、と場違いな感想を抱く。

 造花よりも非現実的な無機質さを醸し出している。

「珍しい土地の、希少なニッコウキスゲだ。欲しいかい?」

「要りません。体に障ったら嫌なので」

「連れねーなあ」

「だいいちどこでそんな言葉を言われたんですか? 脱走したんですか?」

 暖房完備、加湿器あり。そうして雑誌にクッション。居るには最高の環境である。それでも不満になるか?

「あたしは最強だからね。あと、すんげー地獄耳なんだ。悪口はどこにいても聞こえんだよ」

「こっわ」

 ニタリと彼女は笑い、ギザギザの歯でクッキーを貪った。

「……従属から逸脱した異形、そんな事がありえると思いますか? 例えばスラッジの眷属から、変容してしまうとか」

「それはお前か? あるだろうね。この世の者でない部類が数えきれないほどに跋扈(ばっこ)しているのは、(あるじ)が新たに生まれるからだよ」

「はあ……」

 この世の者でない部類はどこから発生するのか、そうして行き場をなくし、さまよい続ける生き物であり、終わりもない。

 それは目の前にいる女性が彼岸への橋渡しを放棄したから。

「……俺は、サリエリが神になるのが怖いんです。そもそもアイツはサリエリなんかじゃない……妄想の産物なんだ」

「本当にそうかねえ? 妄想の産物って誰が立証できる?」

「分かりません」

 ペンを置いて、ラファティは深呼吸した。

「つーかさ。アンタが抱いていたサリエリへの印象が妄想の産物かもしれねえだろ。きんも」

パーラム姐さんはすんごい地獄耳。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ