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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
とこはるなつふゆのひび サイカイ
32/48

じゃあく せいなる かみさま

2025年。ありがとうございました。

「──カヤスが、無茶な行動をするかも。ああ、私が馬鹿だから、だから、死んじゃうかも」

 カヤスとは仲間だろうか。

「私が何も手出できなかったアレにカヤスが勝てるわけない……ああ、目が回ってきた……」

 包帯の下を掻きしむしろうとしたのを、ミハルはやめさせた。彼女の焦燥は痛いほど伝わってくる。

「アンタらから魑魅魍魎が生まれる事があるのけ。分からんな」

「パーラム・イターがいるじゃない! アイツは阿字母(あじぼ)さまの従属から逸脱した異形よっ」

「は、はあ」

(天使代理人協会みたいなモンか?? )

 サリエリ・クリウーチが率いていた派生した存在……そこまで大それてはいなかったが。

阿字母(あじぼ)ってアンタらの祖なんだな?? オイラたちにはそーいうのはいないけど、阿字母(あじぼ)に直談判できないんか?」

 みずみずしいニッコウキスゲを摘み取り、渡してやるも顔は明るくならない。

「できないわ……私はただの下っ端なんだから……」






「……印猫さま、()に来てくれたんですねえ」

 嬉しそうにスコーク ナァ〜ごがキャラキャラ笑う。狭い部屋の中はやけに澱んでいる。


 ラファティ・アスケラは胸焼けを抑えながらも、それを見ていた。

「ラフ。()()()()()()()()()()()()()()? 印猫さま、とやらが」

 隣で楽観的な態度をとるサリエリが囁く。

 頷きたくない。確かにナァ〜ごの近くには自らと同じく、薄ぼんやりだけれども黒いモヤがいる。それと彼女は会話をしている。

 吐瀉してしてしまいそうだ。

(俺は違う。サリエリは、幻覚なんだ──神さまでも、本人でもはい! )

 否定をして拳を握りしめる。

「はーあ。否定されるよ寂しいなぁ、ラフ。僕は君を心配して会いに来たんだ。元気になってほしいな」

「サリエリ・クリウーチ。お前は生前、そんなヤツじゃなかった」

「人ってのは変わるんだ。君も、誰もかも」

 いい方にも悪い方にも。

「気が変わった。ラファティ・アスケラ。君には実験に携わってもらおう。もしも僕が『神さま』になれるか、試してみないか?」

「黙れ!!」

 声を荒らげ、胸ぐらを掴もうとしたが指は彼女をすり抜けただけである。

「──奇跡だ。奇跡を信じたい。僕が望んでやまない奇跡」

「ああ、お前は奇跡を盲信していたな」

 薬品臭い空気を肺に吸い込み、尖った気持ちを落ち着かせようと試みる。

「神さまは信じれば信じるほど、奇跡を起こしてくれますよお」

 被検体が横やりを入れてくる。

「ほら、彼女もそう言っている」

(──ああ、俺が壊れていく)

「ならば神らしく願いを叶えてくれよ。ギャビー・リッターをこの世に、何も無かった頃のようにまた三人で過ごせるようにしてくれよ」

「ハハハッ!! さすが(・・・)はラフだ!」

サリエリ・クリウーチ………お前………

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