じゃあく せいなる かみさま
2025年。ありがとうございました。
「──カヤスが、無茶な行動をするかも。ああ、私が馬鹿だから、だから、死んじゃうかも」
カヤスとは仲間だろうか。
「私が何も手出できなかったアレにカヤスが勝てるわけない……ああ、目が回ってきた……」
包帯の下を掻きしむしろうとしたのを、ミハルはやめさせた。彼女の焦燥は痛いほど伝わってくる。
「アンタらから魑魅魍魎が生まれる事があるのけ。分からんな」
「パーラム・イターがいるじゃない! アイツは阿字母さまの従属から逸脱した異形よっ」
「は、はあ」
(天使代理人協会みたいなモンか?? )
サリエリ・クリウーチが率いていた派生した存在……そこまで大それてはいなかったが。
「阿字母ってアンタらの祖なんだな?? オイラたちにはそーいうのはいないけど、阿字母に直談判できないんか?」
みずみずしいニッコウキスゲを摘み取り、渡してやるも顔は明るくならない。
「できないわ……私はただの下っ端なんだから……」
「……印猫さま、愛に来てくれたんですねえ」
嬉しそうにスコーク ナァ〜ごがキャラキャラ笑う。狭い部屋の中はやけに澱んでいる。
ラファティ・アスケラは胸焼けを抑えながらも、それを見ていた。
「ラフ。君にはもう見えているんだろう? 印猫さま、とやらが」
隣で楽観的な態度をとるサリエリが囁く。
頷きたくない。確かにナァ〜ごの近くには自らと同じく、薄ぼんやりだけれども黒いモヤがいる。それと彼女は会話をしている。
吐瀉してしてしまいそうだ。
(俺は違う。サリエリは、幻覚なんだ──神さまでも、本人でもはい! )
否定をして拳を握りしめる。
「はーあ。否定されるよ寂しいなぁ、ラフ。僕は君を心配して会いに来たんだ。元気になってほしいな」
「サリエリ・クリウーチ。お前は生前、そんなヤツじゃなかった」
「人ってのは変わるんだ。君も、誰もかも」
いい方にも悪い方にも。
「気が変わった。ラファティ・アスケラ。君には実験に携わってもらおう。もしも僕が『神さま』になれるか、試してみないか?」
「黙れ!!」
声を荒らげ、胸ぐらを掴もうとしたが指は彼女をすり抜けただけである。
「──奇跡だ。奇跡を信じたい。僕が望んでやまない奇跡」
「ああ、お前は奇跡を盲信していたな」
薬品臭い空気を肺に吸い込み、尖った気持ちを落ち着かせようと試みる。
「神さまは信じれば信じるほど、奇跡を起こしてくれますよお」
被検体が横やりを入れてくる。
「ほら、彼女もそう言っている」
(──ああ、俺が壊れていく)
「ならば神らしく願いを叶えてくれよ。ギャビー・リッターをこの世に、何も無かった頃のようにまた三人で過ごせるようにしてくれよ」
「ハハハッ!! さすがはラフだ!」
サリエリ・クリウーチ………お前………




