表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
とこはるなつふゆのひび サイカイ
30/44

どくされている

 イェヒエル・ザラフシャンは『あの階』に近い場所でまた、ドブネズミが死んでいるのを見かけた。

 毒を盛られた訳でもなかろう。

 イェヒエルは動物関係には知覚が優れている。あのネズミからは負の腐敗臭が凄まじい。

 スコーク ナァ〜ごだったか。

 アリーが実験台にしている不気味な生き物(・・・・・・・)。日に日に悪くなる空気。何かが蠢いている暗闇。

 アレが創り出す、瘴気が通りかかったドブネズミに作用した。

「よう。ザラフシャン! 元気か?」

扉隠(ひかく)しの車座。何か用ですか」

「うわ、ダイレクトだなァ。ミハル・ミザーンって呼んでくれってば」

 苦笑する紛れ込んだ害獣に眉をひそめるも、ミハル・ミザーンはまたヘラヘラするだけだった。害獣にも彼女は目ざとかったがこの組織は寛容か、腐っているのか──そのままになっている。

「そのネズミ、どしたん。じーっと見つめてたけど」

「いえ、ミハル・ミザーンさん。貴方こそ立ち入り禁止区域で何を?」

 そう。この階も立ち入り禁止区域なのだ。

 理由はあの不気味な生き物がいるからではない。過去に伝書鳩の一員が不審死を遂げてから、死にやすい輩が変死してしまう忌み嫌われた階になってしまった。

 由緒正しい事故物件だ。

「呼ばれた気がしてなー。あ、厨二病的な意味じゃなくて」

「呼ばれた?」

扉隠(ひかく)しの車座として、良くないモノが蠢く場所は調べたくなるんよ。ほら、アンタの上司。何かをしてるだろ? ソレのせいか、ここにいるヤツが」

「ここには誰も居ませんよ」

 否定して、ネズミを近くにあったチリトリに乗せ、そそくさとダストボックスへ捨てた。その一連の動作を眺めていた彼は明るい橙色の瞳を細める。

「怖いんか?」

「……馬鹿いわないでください。これしきの事で怖がっていたら仕事になりませんよ」

「ハハッ! だよな! ごめん。じゃあ、オイラはこの先にいくわ」

「不審死しないでくださいね」

 嫌味を吐いたが、彼は反応せず歩いていった。はあ、とチリトリを眺める。

 不気味な生き物はかみさまがいる、とほざいていたそうだ。伝書鳩は基本的に神を信じていない。神がいたら我々は生まれなかった。

(アリーさまが狂わないといいが)

 オフィスビル特有の無機質な内装にそぐわぬ薄暗い照明が、やけに不快感を抱かせた。

挿絵(By みてみん)

旧式の「イェヒエル・ザラフシャン」さん。

もう少しキャラデザインを変えたいと思っています。

令和7年12月29日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ