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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
とこはるなつふゆのひび サイカイ
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きせき はあるか?

「そもそもっ! アリーさんはここで何をしてるんですか?! これは? まるでっ」

「そうだ。私の研究だ」

 揺るぎない感情と言葉に打ちのめされそうになる。

「アリーさんは人権を無視しています。人を、こんな風に扱っては──」

「は? コイツが人だって?」


 そういうと、彼女は手のひらにリボルバー拳銃を召喚する。試し撃ちの的のようにナァ〜ごへ発射した。

 鋭い銃声。だが、彼女に傷一つつかない。

「コイツらには傷一つつけられまい。ラファティ・アスケラくん、君は知っているんだろう? どんなに外傷を与えようが、ヤツらはこうだ」

「……まあ」

 無意味名 パビャ子は傷つかない。

 何があろうと。パーラム・イターもきっとそうだ。

 だが、だからと言って。

「……君は? 撃たれればどうなる?」

「い、いや、傷つきますよ! 知っているでしょう?! アリーさんと、同じなんですからっ!」

 銃口を向けられ、慌てふためく。偽物の天使はそこまで物理的に魔法な存在じゃない。


「ぎゃアッ」

 無慈悲に発砲され、死を覚悟した。だが──不思議と痛みはない。

 銃弾は身体をすり抜け、床を抉る。ラファティは混乱した。

 自分自身は治癒魔法に秀でているがこんな異能はない。

「ン? まぐれかもしれないなあ?」

 3発。連続で撃たれ、泣きそうだった。結果は同じであり、自分は無傷。

「あっは! アリーのヤツ、内心焦っているんじゃないかい? 目の前の、未知の存在に!」

「サリエリ、お前、俺に何をした? な、なんで」

「かみさまの加護のおかげですよぉ。ステキでしょ?」

 ニコニコと彼女が横槍を入れてくる。加護? (ふざけんなよっ! 神なんていねえんだ)

「ラフ。君は僕を神だと信じていたのか。悪い事をしたね。そこまで追い詰めてしまうなんて」

「そこにサリエリ・クリウーチがいるのか? 感慨深いね。奇跡を信じた落ちこぼれが、神として昇華されるとは」

「コイツは永遠に悪魔に好かれそうだ」

 減らず口を叩くいないはずの旧友に、涙を浮かべた。

「泣かないでくださぁい。アリーさん、彼を許してあげてください。同じ服を着てる人のけんきゅー、ツラいでしょ」

「アスケラはすでに伝書鳩ではない」

ラファティくんはラファエル枠なんです

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