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異世界でできた友達がチート能力者ってマジですか!?


___おじいさんの目の前に居たのは。


「え、日葵ちゃん??」


間違いない、あの綺麗な金髪ポニーテールは日葵ちゃんだ。


周囲がザワザワの話す。


「ねぇねぇ、あの子固有スキルっていうやつ何だったの?」


「うーんと、確かね〜。固有スキルは[勇者]らしいよ……!」


「え、そのまんまなの!ウケる、やば〜!」


固有スキル[勇者]?そんなの……そんなの!ちょー強くて、ちょーかっこいいに決まってんじゃんっ!


「羨ましい……」


ポロリと口から溢れ出た。それは心からの言葉だった。


友達に嫉妬とかしたくないのになぁ。


当の本人の顔を見てみると、ニヘニヘとだらしなくニヤケていた。


固有スキル[勇者]か、ほんとそのまんまに絶対チート能力だよなぁ。


じっと見つめていると、ふとこちらに気づいたのか日葵ちゃんは私に笑顔で手をぶんぶんと振る。


私はニコリと笑い手を振り返した。


_____そして、みんなは話をやめ、一斉にアタシの方へ向かって振り向いた。


「あ、えっと……?」


みんなはアタシを見ると、ジトリと見つめ何事も無かったかのようにまた日葵ちゃんについて話し出した。


「……えぇ、なんだったの?」


すると急に後ろから背中をつつかれ、驚いて振り向いた。


「わっ!あ、どうしたんですか?」


振り返るとそこには、薄いピンクの髪をしたツインテールの女の子がいた。


「ん〜?いやぁ、今キャーキャー言われてる子の友達ってどんな子かなぁ?って。」


ニヤニヤしながら、上から下までジロリと見られた。なんなんだこの子。


「……なんですか?」


「ふーん、こんなもんか。」


「え?」


は?今こんなもんかっていった!?はぁ〜!?何この子性格悪!!絶対の絶対に仲良くしたくないんだけど?


「は、はぁ…急に何なんですか貴方」


「ん?いやー別にぃ。それじゃ〜ね〜。」


舐めたような態度をとるピンク頭は手をヒラヒラと振り、何処かへ消えてった。


「くぅっそ、めっちゃムカつく!」


何がこんなもんかですってぇ!何様よあの子……!


____いつのまにやら、全員分終わったのかおじいさんと白魔法士(仮)がみんなの前に立つ。


「ふぉふぉふぉ、皆さん。楽しめましたかな?」


異世界転移早々無限の道とか、中々鬼畜でしたけどね……悔しいけど、やっぱり異世界感満載で楽しかった!


「鑑定がひとまず終わった所で、じゃ。お主らにびっくりするほど何も説明していなかったからのぅ。」


老人は長く伸ばした白い髭を触りながらわざとらしく申し訳なさそうにする。


「まず、何から聞きたいかの?」


遅すぎるよ説明!きっと他の異世界はもっとテンポいいよ!!


「え!聞いていいんすか!?じゃあ、じゃあ……」


勢い良く手を挙げ、日葵ちゃんは嬉しそうに悩んでいる。人目を気にせず、こう…なんというかグイグイいけるの凄いなぁ。流石[勇者]


「ふぉっふぉっふぉ、元気は良い事じゃ。なんでも良いぞ。」


「あ!じゃあ、最初に言ってた。私らに世界を救ってもらうってどういう事?」


あ〜、そんなことも最初言ってたなぁ。異世界来たにしては、テンポが早すぎて忘れてた……


「お〜、いい質問じゃ。まず、この世界はこのままじゃと滅びる。」


「……え?っえぇ!?あぇ、滅びる…」


いきなりの”滅びる”宣言に慌ただしく焦る日葵ちゃん。日葵ちゃんだけでは無く、周りのみんなのざわざわとしだす。いや、そりゃそう…滅びるって今の時点だと確定してるもんね!?


「まぁまぁ、少し落ち着きんさい。”今の時点”じゃからな。」


にっこりと宥めるようにおじいさんは微笑む。


ん〜!?落ち着ける訳なくなくない?


「ですが、これから助かるという保証も…無いのではないんでしょうか?」


少し驚きながらも冷静に質問の続きを聞こうとする透子ちゃん、すげぇよ。ほんとに同い年?同い年なのかな……


「それを言われればそうじゃ。今わしらにできることと言ったら、予言の書に記された通りに進めることしかできんのじゃよ。」


「よ、予言の書!?」


さっきまで狼狽えてた子はどこかな日葵ちゃん〜!お目目がキラッキラだぞ〜?


「うむ、そうじゃ。予言の書とは……創造神[オルドラナス様]がこれからの安寧の為に記してくださった書物じゃよ。」


創造神オルドラナス……なんて異世界チックな名前!!


「なるほど…それでその予言の書には一体何が記されていたんですか?」


「……!!知りたい、知りたい!」


首をブンブンと頷き前のめりになる。日葵ちゃんって中々に分かりやすいんだな……


「予言の書には……」


『世界の安寧を保つため”外なる魂”のモノ達を招集せよ。その中には運命に逆らい新しい道を作り上げるモノがいる。そしてそのモノこそ、人々を繋ぐ光となる』


「こんな感じじゃったかのぅ?」


……やっばい。夢ありまくる!!夢があるね〜!でも全く脳に入ってこないよ!


「軽く意訳するとな…え〜っとじゃなぁ」


老人は少し考えるように髭を触ると、にっこりと笑い


「まぁ、平和の為には外なる魂……つまり。転生者・転移者の事じゃな!その者の中に、破滅の運命に逆らい…破滅とは違う運命を選べる者。ややこしいのう…とにかくその者こそが、この世界の救世主じゃ」


__それってまるで…勇者じゃん。


そう思ったのだ。ふと、日葵ちゃんの方へと視線が運ばれる。


「え?え?”みんな”急になんだよ〜!そんな見られると照れるんだが!!」


長く綺麗な指で日葵ちゃんは恥ずかしそうに顔を隠した。


日葵ちゃんが言った通り、みんなが日葵ちゃんへと視線を向けざる負えなかったのだ。だって日葵ちゃんの固有スキルは―――[勇者]なのだから。


私含めみんなが日葵ちゃんに視線を向ける最中、ゲフンっと、老人が咳をした。


「もちろん。救世主には仲間も必要じゃよ。この中の誰かがその救世主でも、救世主じゃなくてもじゃ!お主らの力が必要じゃろう。そなたらの力添え願っているぞ」


深々と礼をし、曲がっている腰をさらに曲げた。


「……救世主でも、救世主じゃなくても…か。」


そもそもアタシは、平凡で突出した個性もない女子高生だし。日葵ちゃんと違って、太陽ほど明るく無いし。堂々とみんなの視線を浴びながらいられない。透子ちゃんみたく冷静で、頭が回る訳でもない。…異世界にアタシって必要ある?


「あ〜…ダメダメ!ネガティブゾーン入ってる〜。考えたら負け…!せっかくの異世界楽しまなきゃね!」


気付かぬうちに老人の話が終わったのか、みんながゾロゾロと部屋から出ていく。


透子ちゃんが少し心配そうな顔をしてこちらへ来る。


「アナタ、さっきから大丈夫ですか?一言も喋らない癖に綺麗な百面相ぶりでしたね。…どんな固有スキルだったとしても、気にしなくていいんじゃないですかね。」


「えっ?」


「ほら、あなたならどんな固有スキルでもドジしてヘマするでしょうし。そんな心配しなくていいと思いますよ。」


「それ慰めになってないよ?!」


不器用なりに励まそうとしてるんだよ…ね!?


「ほら、行きますよ。」


「どこに?」


「聞いてなかったんですね…ひとりで楽しそうにしてましたもんね。次は学生寮について案内?があるそうです。」


「が、学生寮!?」


透子ちゃんがはぁ、とため息を着いた。


「それも聞いてなかったんですね。ワタシ達転移者・転生者もですが、学生として…簡潔に言うと、異世界での生きてく術などを学ぶそうですよ。」


「えぇ〜!?異世界でも学校!?」


異世界でも勉強に追われるの〜?!


「いいじゃないですか、それじゃ頑張ってね。でほっぽり出されるよりか。」


「そうだけど〜…」


私は頭を抱え、透子ちゃんに引っ張られながら、みんなについて行った。


―――――――――――――――――――――――――――――


「あ、そういや。日葵ちゃんは何処に行ったの?見当たらないんだけど。」


「それなら、あそこです」


透子ちゃんが指さした場所は…人間の山だった。


「え……あそこ?」


「はい、あそこです」


「日葵ちゃんの姿…見えないんだけど?」


「仕方ありませんよ。あんなThe救世主ですよ感満載の固有スキルなんですから。みんなが興味津々に群がってます。」


「えぇ〜…すご。とゆうか…さっきより人も増えてない?幻覚?」


「いえ、皆さんの話してる会話どおりなら…転生者の皆さんとも合流しているのではないでしょうか?」


「転 生 者 !!」


「うっ…声が大きいです。」


怪訝な顔をしながら手で耳を抑える。


「ごめん、ごめん!というか、こんなガヤガヤしてる中会話が聞こえるなんて…透子ちゃん耳いいね!」


「そう…ですね。耳はいい方です。」


ふと、一瞬…一瞬だけ。透子ちゃんが嫌そうな顔をした。


「透子ちゃん…?」


理由を聞こうとした途端


〘聞こえていますか?〙


ただの声じゃない。なんといえばいいんだろうか…


「脳に直接…?!」


透子ちゃんがどこかで聞いたことがあるセリフを言ったが、確かにみんなの脳に直接喋っているようだった。


「これも、魔法…じゃなくてスキルなのかな?」


「そうでしょうね。じゃないとおかしいです。少し不快感がありますが、」


眉間に皺を寄せ、頭を抱える。


「大丈夫?…ん〜と、多分先頭にいる白いローブの人だよね?」


日葵ちゃんに集まる人の山であまり見えないが、白いローブが見えた。さっきの光魔法を使いそうな人(仮)の1人だろう。


「確かに…こんな大人数に大声で話しても聞き取れない人も山ほどいるでしょうしね…仕方ありません。」


そういいつつ、やはり不快感は拭えないようだった。


「え…大丈夫?ど、どうすれば…」


「じゃあそのまま、話しといてください…気が紛れて落ち着きます。」


そう言うと、透子ちゃんは私に寄りかかってきた。


「え、え!?わ、わかった…えっと!むかーしむかーしある所に…おじいさんと」


「いえ、もう大丈夫です。少し、寄りかからせてください。」


「わ、分かった。」


アワアワとしながらアタシは透子ちゃんを支えた。


〘こちらの学生寮は基本的に2人部屋となっていまして。1週間の授業結果によって、固有スキルでの相性良い人と相部屋になります。〙


「へぇ〜…優しい人とがいいなぁ。」


「そうですね。できれば陽彩さんとがいいです。」


「あ、アタシ…!?そ、そんな…照れちゃうよー!」


アタシは嬉しさのあまり透子ちゃんに抱きついた。


「ちょっ、う……苦しいです。ワタシどちらかと言えば怖がられる性格ですし、慣れている人の方が互いに楽です。」


「う、うーん…ギリ嬉しい!」


抱きしめる腕を強めると


「ぐ、ぐるしぃ…苦しいですから!」


怒りのチョップを食らったアタシは大人しく透子ちゃんの背もたれとなった。


〘まぁ…いきなり、これから見知らぬ人と相部屋です!とは言いません。1週間は一人部屋で過ごしてもらいます。〙


「良かった〜…流石に心労がね…」


〘基本的に朝昼晩、食堂で食事しますが。もし、夜お腹がすいたとあれば売店で無料でパンなどを置いてあるので取って言ってくださいね。〙


「至れり尽くせりだね!!」


「そうでしょうか…あの神官が言ってた通りだと、この世界の平和の為に働かされそうですからね。」


「神官……???」


「え、それも聞いてなかったんですか?先ほど固有スキルの鑑定を行った人達ですよ。それこそ、今もそのひとりが説明されていますが。」


光魔法使いそうだったのは当たってた…?


「あのご老人も……?」


「あのご老人もです。しかも高位の神官ですよ。」


「確かに……強そうだった!!!」


「強いかどうは知りませんが…実力はあるでしょうね。」


〘次は今話してた食堂へ行きます。食道の案内が終わった後は解散します。それぞれ鍵を渡すので番号札に従って部屋で休み、配給されるオベントウを食べてください。明日はまた食堂に集ります。〙


「意外とワタシ達の世界と変わりませんね。」


「そう?アタシの高校は寮とかなかったから…分かんないや。」


「寮が無い……?そうなんですね。あ、後不快感が収まったのでもう大丈夫です。ありがとうございました。」


友達に対する態度では珍しいほどに礼儀良く礼をする


「そんな律儀にしなくていいって〜!アタシ達友達でしょ!」


透子ちゃんは礼をしたまま顔を上げ、ぽかんとした顔で見つめてくる。


「友達ですか?」


「え、え、友達じゃなかったの!?なにそれ恥ずかしいんだけど!」


透子ちゃんは何かおかしいように笑い始め、


「ぷっ…ふふふっ!いえ、友達と思っていましたよ。ただ…ワタシあまり好かれる性格じゃないので、自信がなかっただけです!」


嬉しそうにそう言った。


「なにそれ〜!!友達じゃない奴に抱きつく奴がいるかよー!!」


「言われてみれば…そうですね!ワタシってば馬鹿だなぁ。」


「透子ちゃんが馬鹿なら私は何?ミジンコか何か!?」


「ぶふっ…なんですかそれぇ。」


そんな和気あいあいとした空気の中、アタシ達はすっかり置いてかれてた。


「あれ!?ちょっとやばくない?!」


「異世界当日から迷子ですか!!」


「急げ急げ!!」


透子ちゃんの手を引っ張り走り出した。


「ワタシ達…マイペースすぎるかもですね…?」


そういいながらアタシ達は食堂へと走り出した。

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