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7人目のプレイヤー 【萩原視点】

 ゲーム会場。11日目。0時43分。


 俺達は当てもなくゲーム会場にいた。みんな思い思いに時が過ぎるのを待っていた。俺の様に椅子に座り込む者や、壁に寄り添う者。皆例外なく瞳に生気がなかった。

 俺達がゲーム会場にいたのは何となくだった。ここにいれば何か起こるかもしれない。そんな他人よがりの楽観的な思考故の行動だった。

 

 周りを見てみる。

 まず目に付いたのは奥村だった。鼠のようにそわそわと椅子に座り貧乏ゆすりをしていた。次に中央部のテーブルに軽く背中を置くように話しているのは小田切だった。それを岸本と永瀬は興味深そうに聞いていた。おそらく今後の方針だろう。三人寄ればもんじゅの知恵とでもいうのだろう。最後に、壁に靠れたまま目を閉じているのは桜木だった。物思いにふけている様だった。そこだけ、空間がねじ曲がっているような錯覚を覚える。大儀そうに腕を組み、時折開眼する切れ目の瞳が遠島を見つめるように見開かれていた。


 何も変わらない無意味な時間が刻々と過ぎていた。

 

 ここままでは、俺達は停滞の一途を辿ることは目に見えていた。


 これはジグソーパズルだ。それも、あらかた完成している状態。それでいて、最後のピースだけが欠けている。そんな感じだ。


 そしてその欠如したラストピースがゲーム開始の大きな妨げになっていた。

 俺達はそれを見つけ出さないと先に進めない状況下にある。


 だが少なくとも俺はゲーム発動の条件に検討を付けていた。


 それはプレイヤーの人数だ。

 今俺達プレイヤーの人数は六人。それに対して椅子の数は七つ。プレレイヤーの人数と比べ、椅子が一個多いのだ。それは、参加者と椅子の個数が揃って初めて、初めて意味があるのではないか。という推理が成り立つ。


 つまり、あと一人ファンの扉を抜けた生徒が来れば、ゲームを開始することができる。

 そういうことだった。

 しかし、そう簡単にいくとは思えなかった。

 俺の計算が間違ってなければ、ここに監禁されて十一日の歳月が経過した。にも関らず、ここに辿り着いたのは俺を含め僅か六名。あまりにも少ない。よくよく考えてみれば、すぐに見当がつくと思うのだが、如何せん状況が特異すぎてみんなの頭が回らなかったのだろう。これ以上の到達者増員は望めない。


 しかし、手はある。


 それは他ブロックから強引に一人、ここに連れていくという方法。この方法を使えば、悪戯に時を使わずに、ゲームを始めることができる。また、一度開かれた扉はいくらでも通行可能だ。その気になれば、Gブロックの住人である俺でも、すでに開封されているA、C、D、Fブロックに行くことも不可能ではない。


 俺はこの事をみんなに話すべきか葛藤。腰を宙に浮かせるも、すとんと落とす。

 そうやって判断を決め兼ねている俺を不審に思ったのか、桜木が話し掛けてきた。

「どうしたんだ? なにかあったのか」

「いや、ちょっとな」

 桜木の底の見えない瞳はまっすぐ俺の方に向いていた。

 まるで、波の立たない水面の様な澄んだ目だった。それでいて、この世の再果てを覗いてきた様な深淵な輝き。

「そうか。なんか変にそわそわしていたから、妙だと思ったんだよ。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()。みたいな顔だったよ」

 桜木は頬を釣り上げて言った。


 すべてお見通しだ。

  

 そう言っているような気がした。

 桜木はもしかしたら、俺より先にプレイヤーと椅子の関連性に気付いていたかもしれない。そして、俺がその推理を打ち立てていたことも、その後、どのような行動を取るかということも、分かっていたのだろう。


「けど安心しろいい。そのことについてとやかく言うつもりはないから。実際俺も気付いていたけどみんなに言わなかったし」

「やっぱりお前も気が付いていたのか。なら適当に誰か一人をピックアップして強引に連れていくか?」

「それもそうだね」

 桜木は首肯した。

 

 と不意に微粒子が舞った。

 それはテーブル上空からだった。

 そこには澄ました顔をした‘アケルナル”がいた。


「な、なんでここに……!?」


 小田切が驚愕の声を上げた。かくなる俺も予想外の状況に目を丸くした。それは桜木も同じで、頬に引き攣った笑みが浮かんでいた。


「知りたいか。なら教えてやろう」

 アケルナルは小さく息を吐き言った。「揃ったんだよ。ゲームの発動条件が」

 

「それはどういう意味だよ」

 奥村が刺の混じった声で言った。持ち前の冷静さはどこえやら、知性溢れる眼鏡は右側に偏り、目は充血していた。


「そのまんまの意味だぜ。ほら、見てみな。七人目のプレイヤーも来たみてぇだしな」


 こつこつ。


 足音。それはゲーム会場の外から聞こえた。ここには俺達を含め六人しかいないのに、なぜか足音がした。


 それはだんだんと大きくなり、やがて中断。ぎぃーと通路の扉の開封音。


 やがて一人の男が姿を現した。その男は手には真新しい携帯を覗かせていた。


 男は笑った。


 

 いつも通りの見慣れた仕草で、

 いつも通りの聞き慣れた声で、

 まるで、いつもの学校風景のように、


「結城か。まさかお前に会えるとは思っていなかったよ」


 ――――杉下和馬が立っていた。  


 

「さて、役者も舞台も揃ったことだし、ゲームを始めるとするか」

 




 ~to be continued~

取り合えず、第一章は終りです。続いて第二章に移ります。


やっと、ゲームの方に進めることができます。


これからもよろしくお願いします。

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