漆黒病のこと・終編
(……………俺は………死んだのか………?)
覚えているのは息ができないほどの苦しみと、全身を突き刺すような痛みだった。視界は真っ赤に染まり、すぐさま闇に転じた。記憶にあるのは、そこまでだ。
─────おそらく自分は、死んだのだろう。
まるで体から意識が離れたかのように、奇妙な浮遊感に包まれている。
思えば、ひどい人生だった。いや、ひどい人生たらしめたのは、他でもない自分自身だろう。人を殺す事に罪悪感など微塵も抱くことなく、欲しいものはすべて暴力で奪い、何人もの人間を手にかけた。人の命など、すべて自分の掌にあるものだと愚かにも思い上がった。────それゆえに、ひどい人生を歩んできたのだ。
道を踏み外したのは十の頃。それは初めて手を血に染めた年だ。最初に手にかけたのは────実父だった。
母親は知らない。物心ついた頃にはもう母親はいなかった。それが死んだからなのか、あるいは日がな一日酒を飲んでは暴力を振るう夫に愛想が尽きて出て行ったからなのかは判らない。もし後者ならば、なぜ自分も一緒に連れて行ってはくれなかったのだろうと、思う時がある。そうすればきっと、道を踏み外す事などなかっただろうに。
毎日毎日、実父からの暴力に耐えた。
覚えているのはむせ返るような酒の匂いと、自分の体から流れる血の匂い。
理不尽な暴力に耐え、だがいつ終わるとも知れぬ地獄に嫌気が差した。
この男がいる限り、この地獄は続く。逃げても逃げても、ずっと追い続けてくるのだろう。終わらせるには自分の手を汚すしかない。
安易な考えだ。だが十の子供には、これが精一杯の逃げ道だった。
最初からそうしようと思っていたわけではない。いや、心のどこかではきっと無意識に思ってはいたのだろう。だから、瞬間的に体が動いたのだ。二時間にも及ぶ暴行を受け続け意識が遠のく中、辛うじて視界に入った酒瓶を無意識に握り、実父の頭部を殴った。────以降の記憶はない。
気づけば血だまりの中で倒れている実父と、割れた酒瓶を必死に握りしめている自分がいた。肩で息をしながら、いつも実父に対して抱いていた恐怖が自身の中から消え去るように手の震えが止まった瞬間を、昨日の事のように覚えている。
その日から誰の命を奪おうとも、何も感じる事はなくなったのだ。
────温かい、と思った。
闇に転じた瞬間、あれほど寒いと思った凍える感覚が、今はない。薄っすらと瞼を開くと、眩い光が視界を奪った。
最初、天国なのかと愚かにも思った。
だが、すぐさま心中で頭を振った。
(…………そんなわけあるか………俺は極悪人だぞ……?)
地獄に堕ちる事はあっても、決して天国に足を踏み入れる事はないだろう。誰に言われなくとも、他ならぬ自分が一番それを理解している。
────ならば、ここはどこだろうか?
思ったカイルの耳に、聞き慣れた笑い声が届いた。小さな子供たちの、無邪気な笑い声。
次第に光に目が慣れて、視界が鮮明になる。カイルの視界に最初に入って来たのは、彼が寝ているベッドに腰かけて、窓の外を眺めている見慣れぬ男の姿だった。
────いや、正確には数日前までは見慣れぬ男だった人物だ。
「…………リツ……」
カイルはかすれた声で、その人物の名を呼ぶ。呼ばれた相手はこちらを見返して、破顔したように笑った。
「よお、親父。無事だったか?」
「………お前が……助けたのか……?」
「一度あの世に逝って戻ってきた気分はどうだ?大変だったんだぞ、俺が駆けつけた時には心臓が止まってたんだ。すぐに心肺蘇生を施して息を吹き返したけど、ちょっとでも遅けりゃ今頃地獄行きだぞ」
当然、治癒魔法も律は並行して行使した。動きが止まった心臓を直接手で心臓マッサージをするような、そんな想像を光の精霊に与えたのだ。
それが功を奏したのかは判らない。あるいは実際に行った心肺蘇生法が効いたのかもしれなかったが、どちらにせよ光の精霊の治癒魔法でも死者を蘇らせる事は出来ないと文献で読んだので、おそらく本当にぎりぎりの所だったのだろう。
辛うじて呼吸が戻って以降、律は不測の事態に備えてずっとここに居座っているのだ。
「…………余計な事を………」
「誰のおかげで命拾いしたと思ってんだよ。口の減らない奴だな」
「…………お互い様だろうが………」
「ははっ!まあな!」
屈託なく笑って、律は再び視線を窓の外に向ける。その律の視線を追うように、カイルもまた窓の外へと視線を向けた。
温かいと思った眩い光は、おそらく窓から降り注ぐ日差しだったのだろう。意識を失う前の清々しい陽光とは打って変わって、黄金色に輝く日差しを見る限りもう夕刻と言ってもいい時間帯だろうか。
「………どれくらい意識がなかった………?」
「八時間ってとこかな」
窓の外から視線を外すことなく、律は答える。ここから窓の外を窺い知る事は出来ないが、微笑ましそうに眺めている先にいるのは、おそらく先ほど耳に届いた子供たちだろう。
(………昔は………あれほど耳障りだったのにな…………)
子供の笑い声も、泣き声も、悲鳴ですらすべてが鬱陶しかった。幼い子供を手にかけた事も幾度もある。当時何も感じる事がなかったその行為に、今思い出すと反吐が出るほど嫌気が差すのは、きっと共に暮す子供達に柄にもなく愛着があるからだろう。
(…………いつからだったか…………)
こんな自分を無条件に慕ってくれる子供たちに対して、生まれて初めて愛しいという感情が湧き起こったのは─────。
「…………なあ…リツ…………」
「ん?」
「…………もし俺が死んだら…………あいつらの事……頼んでもいいか……………?」
そこでようやく、律はカイルを振り返った。その表情には驚きも怒りもなく、ただ静かにカイルを見返した。
「…………あいつらはまだ小さい…………誰かが……見てやらねぇと………」
「ジオン達がいるだろ」
その返答に、カイルは鼻で笑う。
「………は……っ!………あの三人は俺が育てちまったからな…………学もねぇし……疑うって事も知らん………。………馬鹿で………正直者で………どこまでも真っ直ぐな…………頼りない愚息たちだ…………」
「自慢してるように聞こえるぞ?」
くつくつと笑う律を、カイルは面白くなさそうに睨めつける。そんなカイルをもう一度笑って、律は外で遊ぶ子供たちを見守っているジオンたちを視界に入れた。
「ジオン達は親父の知り合いの息子か何かか?」
顔を見る限りやはり皆似てはいないので、血の繋がりはないのだろう。そう思って問うたその質問に、カイルはわずかに表情を曇らせた。
「…………いや……あいつらの養父を……俺が殺したんだ………」
「…!」
ただ通りかかっただけだった。
耳障りな子供の泣き声が嫌に鼻についた。泣きじゃくる幼い妹と弟を守るように覆いかぶさる少年と、その三人を───正確には二人を庇う少年を木の棒で殴り続ける中年の男。
その光景を見た時、腸が煮えくり返るような感覚に囚われた。それが何に起因するものなのかは今でもよく判っていない。それでもおそらく、虐待されている子供たちを守るという義憤に駆られたわけではないのだろうと思う。ただひたすら暴力を振るうその男が、きっと自分の実父と重なったのだ。
気がついた時には、その男を斬り殺していた。虫の息となった養父を怯えた瞳で見つめている三人の瞳が、さらにカイルの嫌悪感を刺激した。
─────こいつらはまるで、実父に暴力を振るわれていた自分そのものだ。
かつての何もできなかった、弱い自分。
そんな自分に嫌悪を抱いて、自分は弱くはないと誇示するために暴力を振るい始めたのではなかっただろうか。
遠い昔に捨てた受け入れ難い自分を見ているようで、苛立ちと怒りに任せて剣を振り上げたカイルは、なぜだかそこから剣を振り下ろす事ができなかった。
この時の感情を、どう言い表せばいいのか今でも判らない。ただ石になったように動かなくなった腕に興が冷めて、カイルはこの三人の子供たちを殺す事をやめたのだ。
「………行け」
「………え?」
「さっさと失せろって言ってんだっっ!!!クソガキがっっっ!!!!」
「……っ!!!!!」
びくりと体を強張らながらもなぜか逃げては行かない子供たちにうんざりして、カイルは舌打ちをしてから踵を返す。
そのまま家に戻ろうとするカイルの後を、小さな足音三つ分がずっとついて回る事になおさらうんざりして、カイルは足を止め後ろを振り返った。
「鬱陶しいぞっっ!!!ついてくるなっっ!!!!」
やはり目が合うとびくりと体を強張らせ、怒鳴られるとなおさら体を小さくする。そんな三人の子供たちにカイルはやはり舌打ちを送って、再び足を進ませた。
カイルが進むと小さな足音が三つ鳴り響き、カイルが足を止めるとやはり小さな足音も止まる。振り返るとびくりと体を強張らせ、それでもカイルが足を進めると、やはり小さな足音も三つ分鳴り響くのだ。
(…………何だ……?……このガキども……)
怖がるくせについて来る理由が、カイルには判らなかった。ただ何とはなしに、せっかく珍しく見逃してやったのに自分から殺されに来るなんて馬鹿なガキどもだ、と内心で悪態を吐きつつ、それでもきっと殺すつもりはないのだろうという事だけ心のどこかで理解している自分が、嫌に癪に障ったのだ。
結局彼らの足音はカイルの家に着くまで続くことになった。カイルはもう後ろの子供たちがいないかのように振舞って、そのまま家の扉を開け中に入り、後ろ手で扉を閉める────はすだった。なぜか扉は、子供たちの姿が辛うじて見える程度の所でぴたりと止まったのだ。いや、止めたのは間違いなく自分なのだろう。なぜか自分の腕が、自分の意思に反して、そこから扉を閉める事を頑なに拒否しているようだった。
カイルはしばらくそこから微動だにせず、ちらりと視線だけを外にいるであろう子供たちに向けた。そこに見える不安げな三人分の視線を受けて、やはりカイルの口は自分の意思に反して動いたのだ。
「…………入るか?」
「……っ!!!!!」
その時の三人の、花が咲きこぼれるような満面の笑みが自分に向けられた衝撃を、どう言い表せばいいだろうか。
自分は紛れもないクズだ。それを否定するつもりも取り繕うつもりもない。暴力を振るうのが当たり前だったし、だからこそ周囲の人間から嫌悪の目を向けられる事も当たり前だと思っていた。
侮蔑を含んだ目。
恐れを抱いた目。
汚い者を見る目。
そして強者に媚びへつらう目と、殺さないでくれと請う卑しい目。
自分に向けられるのは全てこういう目で、そしてこれからもこういう目を向けられ続けるのだろうと思っていた。
なのに、この子供たちは今まで一度として自分が向けられた事のない、眩い笑顔を向けてきた。
恐れも侮蔑もなく、そして媚びる目でもない、ただひたすら嬉しそうに頬を赤らめて爛爛とした瞳を向けてきたのだ。
「…………俺みたいなクズに笑いかけるなんてな………ほんとに……馬鹿なガキどもだと思ったよ………」
言ったカイルの表情が今まで見た事もないほど穏やかに見えたのは、きっと律の思い違いではないのだろう。
「………聞けば………ジオン達は同じ孤児院にいたらしくてな………。……引き取られた先が……俺が殺したあの養父だった………」
孤児院では善人面をして、いざ三人を引き取ったら豹変したと言う。殴る蹴るは当たり前、カイルの家にやって来てすぐ、彼らの腕や足に痣や怪我が無数にあったのをカイルは見逃さなかった。ちょうどカイルがあの道を通りかかった時、妓楼に売られるはずだったコーディを逃がそうとして見つかった直後だったという。
「俺がお前たちを助けたとでも思ってんのか?」
彼らにそう訊ねたのは、なぜかずるずると一緒に暮らすようになってから、もうすぐ一年が経過しようとしていた頃だった。
最初のうちこそ怯えていたジオン達だったが、何故だかすぐに馴れ馴れしいほど無遠慮に懐いてきた事を訝しげに思って、カイルは訊ねてみたのだ。
「勘違いするなよ?俺はお前たちなんざ、殺そうと思えばいつでも殺せるんだぞ?」
そう凄みを持たせて告げたはずだったが、カイルの想像とは違って三人は一度互いに顔を見合わせた後、屈託のない笑顔を見せた。
「そんなの嘘だよ」
「………は?」
「だって親父はよく怒鳴りはするけど、一度も俺たちに手を上げた事なんてないもん」
「……!」
「あのね、コーディたちはちゃんと知ってるよ?親父が本当は、とっても優しい親父だってこと」
「だから僕たち親父の事、大好きなんだよ!」
「──────…」
(………優しい……?………俺が、か……?)
ジオンたちの言葉は、カイルにとって寝耳に水だった。
『優しい』という言葉など、自分に一番縁遠い言葉だ。生涯言われる事などないと思っていた。ましてや『大好き』など以ての外だ。なのに─────。
カイルは自身の手に視線を落とす。
思えば彼らが家に来て以来、一度も人を殺していない。それどころか暴力を振るった事さえなかった。
────弱くなった、と思う。
だが、もし自分が彼らの養父と同じように暴力を振るう人間だと知られたら、彼らの自分を見る瞳からこの輝きが失われるのだろうか。
侮蔑と恐れを、その瞳に宿すのだろうか。
「…………そう思うと………たまらなく怖かった………。…は……っ!……笑えるだろう……?………あれだけ好き勝手しておきながら…………ガキどもの目が何より怖くなったんだ………。………馬鹿なのはあいつらじゃねぇ………強さを求めて散々人を殺しておきながら………今更弱くてもいいと思っちまった俺が………誰よりも馬鹿で………愚か者だ…………」
だから、罰が下ったのだ。
強さよりも、子供たちと一緒にいる事を求めた罰だ。
幸せなんて願っていい人間でもないのに、クズが分不相応にも願ったから、この体は病に冒されたのだ。
決して治ることのない、漆黒病に─────。
「………なあ……リツ………頼まれてくれねぇか……?………お前にしか………託せねぇんだよ…………」
懇願するようにぽつりぽつりと落とされたカイルの言葉を聞きながら、律はおもむろにふいっと顔を背けた。
「……俺さ、ずっと考えてたんだよ」
「………?」
「覚えてるか?親父が俺に言った言葉」
─────『……これでようやく……っ!!…この苦しみから……解放される……!!』
律に治癒の力があると判って、思わずカイルが口にした言葉だ。
「……そりゃ苦しいよな。三年だぞ?三年間も病に蝕まれて満足に飯も食えず、痩せ衰えていったんだ。その苦しみから解放される─────当然、そういう意味なんだと思ってた」
病の苦しみから解放される─────何の疑いもなく、律はカイルの言葉をそう解釈した。
だが─────。
「漆黒病の事を調べて判ったんだよ。この病の本当の苦しみは、その体中を苛む痛みにあるって。昼夜問わず、体中を激痛が襲うんだ。まるで見えない手で力いっぱい握りしめられて、力の限りねじ切ろうとするような痛みだと書いてあった」
「…………何が言いたい……?」
律の言わんとする事が判らず眉根を寄せるカイルを、律は軽く一瞥する。
「もし俺がこの病に罹患したら、多分こう言っただろうな。─────『これでようやく、この痛みから解放される』」
「───────…」
「俺はさ、……まあ職業柄、些細な言葉の表現に敏感なんだよ。大体そこに、本人のわずかな心の機微が反映される。だから、妙に勘繰る。─────親父はさ、病を苦しいとは思ってねえんだよな?」
「…………何を……」
「親父が苦しいのはたった一つだ。自分が病に冒された事で、ジオン達に迷惑がかかる事」
その言葉に、カイルは大きく目を見開いた。
─────もう、三年だ。
貯えがあったわけでも、手に職があったわけでもない。ただでさえ満足な暮らしなどさせてやる事も出来なかったのに、病に冒された事でさらに生活は苦しくなった。
自分の事など放っておけ─────何度もそう言ったはずなのに、ジオン達はなけなしの金が入るたびに、それを自分たちではなくカイルのために費やした。
苦しい、と何度も思った。
それは病に冒された自分の事ではない。病身の自分と同じように、日に日に痩せていく子供たちの姿を見るのが、苦しかった。クズの自分が病に罹患した所為で、彼らにさらなる苦労をかけている事が、何よりも心苦しかったのだ。
その心内を見透かされた事に目を見開くカイルを、律は小さく笑った。
「……まあ表現なんて人それぞれ、それこそ千差万別なんだけどな」
そう言って、律はおもむろにベッドから腰を上げる。
「─────さてと、話が逸れたな。さっきの親父からの頼まれ事、俺は最初から聞くつもりはねえよ」
「……っ!………リツ……っ!?」
「俺、あの時言ったはずだよな?子供を引き取って世話をするって事は、そいつの人生丸ごと背負って責任を持つって事だって。なのに勝手に自分の人生に見切りをつけて幕下ろしてんじゃねえよ。責任放棄もいいとこだろうが」
「………っ!!………出来る事と……出来ねえ事があるだろうが………!!」
「だから出来るようにしてやるって言ってんだろ?」
「…!?」
にやりと笑って、律は両手をカイルの体にかざす。数日前にも見た光景だ。
「………お前……!」
「ほんとはまだ一日あるけどさ、親父の体がもちそうにないし、朝様子を見に来たら親父が死んでたなんて寝覚めが悪いだろ?」
そう言って笑う律の顔は、次第にカイルの全身を優しく包み込む温かい光の中へと消えて、わずかも垣間見る事さえできなくなっていった。
「おーい!!リツ!!親父の様子は─────」
声を掛けながら扉を開いたコーディの視界にベッドの上で座るカイルの姿が真っ先に入ってきて、思わずぎょっとした。
「親父……っっ!!?体を起こして大丈夫なのかよっっ!!!?ちゃんと寝てなきゃ─────」
「静かにしてやれ、コーディ。リツが起きる」
「…!?」
言われて視線を移した先にベッドにうつ伏せになってすっかり寝入っている律の姿が入って来て、コーディはこれでもかと渋面を取った。
「何寝てんだよ、リツっっ!!!親父を看てるんじゃなかったのかよっっ!!!この馬鹿っっ!!!」
「よせ、コーディ。起こしてやるな」
「……!」
そこでようやく、コーディは気づく。
─────親父の声が、嫌に明瞭だ。
いつもの億劫さは微塵もない。気怠さも、声と共に漏れる辛そうな吐息すらない。
怪訝に思って改めて視界に入れた親父は、確かに痩せ細ってはいるものの顔色もよく背筋も伸びているように見えた。
「…………親父……?」
我が目を疑うように目を大きく見開き、茫然と呟くコーディに、カイルは穏やかに笑う。
「寝かせてやれ、手荒な事はしてやるな。こいつは─────リツは、俺の命の恩人だからな」




