表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Theater  作者: 210号室
1/1

駄作

こんにちは。え?ここはどこかって?君、いきなり失礼過ぎないかい?普通何か質問をする前に自己紹介とかするものでしょう?別に気にしないけどさ。ここは見ての通り映画館だよ。君なかなか察しが悪いね。何でここにいるかって?決まってるじゃないか、映画を観るためだろ?違うかい?「今日は平日」だって?そんなわけないじゃないか、平日の昼間に映画館なんて普通じゃ来ることないんだから。理解が早くて助かるよ。それに今から始まるんだから細かいことは気にしないで観ようじゃないか。今日の作品は「全人類が涙する感動巨編」なんて言われているんだ始まる前からワクワクしているんだよ。座席?僕の隣でいいじゃないか?どうせ客は僕と君の二人だけなんだから。

お、ブザーが鳴ったね。この時間が僕は一番好きなんだ、「今からいいものに出会えるかも」って思えてさ


どうしたんだい?大きな声を出して。まだ作品の途中じゃないか、静かにしててくれよ。「この作品観たことある」って?はぁ、そりゃそうだろ。もしかして気が付いていなかったのかい?これが君の「人生」を描いた作品だってことに。君なかなかに鈍いね、作中でも言われてたじゃないか「あなたは鈍すぎる」って。 

にしてもこの作品かなり平凡だね。全く心躍る展開がない、特に学生時代のシーンなんてひどいものだと思わないかい?想い人はおろか友人の一人すらいないなんて。これじゃこの前見た「鮭」の方が面白かったよ。逆流を乗り越えるところなんて特に最高だったね。そんなカッカするんじゃないよ。これは君の選択で出来上がった物語なんだから。まだ分からないのかい?だから、君は死んでここにいるんだよ。全然納得してないね。諦めの悪さだけは一級品みたいだね。これが人生の中で出来たらよかったのにね。

じゃあ、僕は先に出てるから。君はしっかりラストも観てから来るといいよ。そして、すべてを受け入れて落ち着いたら出てくるといい。ずっと待っているから。

にしても残念だね。もう二度と「おはよう」も言えないんだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ