霜月光と幼馴染
誤字がありましたら、報告してくれると幸いです。
まあ、兎も角。
「なんかその、ごめん……僕、ちょっと変だったわ」
「高校生活が始まったんだ。誰だって高校デビューしたいとは思うだろ」
「孤高デビューの間違いだろ、絶対。……いや僕の場合は孤中か」
高校の合格点もほとんど全体の平均だったし。
楽とはどうやら和解することができた。
「……ほんとに俺といたくないわけじゃないんだよな?」
体育館へと続く、渡り廊下を歩いている途中。
意を決したように楽が僕に尋てきた。
どうやら少しは傷つけてしまっていたらしい。
「それはない」
できるだけ即答する。
変な間はまた食い違いを生むかもしれないからな。
直後。
素直でドっ直球に言ったことが少し恥ずかしくなったので、空気を変えるように僕は戯言を吐く。
「一緒に注目されるを通り越して、僕は楽の影となることができる。目立つことが好きではない僕にとっては、これ以上ないポジションだからな」
「なんて皮肉めいた理由なんだ……それにお前の名前光だろ?」
常識的に考えて、日常生活である日突然、一定の期間の記憶が飛ぶなんてことはまずない。
それこそ、事故などに遭ったり、認知症を患ったりしない限り。
僕は知らぬ間に事故に遭って、それで記憶喪失になったのだろうか?
それはない。
何故なら、僕は中学で皆勤賞をもらっているからだ。
かと言って、認知症の類でもない気がするし。
不思議な話もあるものだ。
僕は愛想が良くない。作り笑いができない。
その代わりなのか、嬉しい時はどんな場面でも笑みを隠すことができない。
きっと今も僕の口角は上がっていることだろう。
そんな表情を楽に見られたら、絶対からかわれる。
予知よりも鮮明にそんな未来が頭に浮かんだ。
なので窓の景色を見るふりをして、僕は楽とは別方向を向く。
もう一度。
しつこいようだが僕の幼馴染は美少女ではない。
でも僕は、例え幼馴染が美少女だった世界線に行けたとしても、この世界に留まることだろう。
言うまでもないが。
「明日から昼、弁当だからな。忘れんなよ、光」
この世界の幼馴染が──美少女にも魅力負けしない男だからだ。
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