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残念ながら

誤字がありましたら、報告してくれると幸いです。

 

 反応に困っている少女──明日晴さんの反応に僕も困った。


 え、何この状況……。


 ラノベとかアニメで例えると、バレないように隠しておいたエッチな本にたまたま気づいてしまったヒロインと、見つかったことに気まずさを隠せない主人公……みたいになってんだけど。


 だがすぐ弁解しようとすると返って誤解を生むのがお決まりの展開なんだよな。


 ……………………。


 ………………。


 …………。


 ……じゃあどうしろと……?


  なんて考えているうちに、


「いえ、そうですよね。霜月さんも、高校生ですからね……」


 気まずさ変わらず明日晴さんは納得し始めてしまった。


「いや、ちが──」

「なんか、ごめんなさい。勝手に踏み込んじゃって」

「今の──」

「言わなくても大丈夫です」

「…………」


 誤解を生む以前に僕は発言権を与えられていないらしい。


 ──おいおいおいやめてくれ、そんな風に申し訳なさそうにしないでくれ……そんなんだったらむしろ(ののし)ってくれっ(?)


 それは違う気がするが僕はそう心の中で祈る。


 ……とりあえず弁解しよう。別にいやらしいことを考えていたのではないと。


 そうだな、考え事はサンドイッチの種類のことでどうだろう。 

 購買のサンドイッチで照り焼きとフルーツサンドのどちらを買べきか悩んでいただけというのは。


「そう、ですよね……。霜月さん、優しいもん。彼女いたって不思議じゃないか……」

「…………」


 ……ん、彼女? 誰に?


 予想外のワードが飛んできて一瞬困惑する。


 

 『──霜月さん、優しいもん』


 

 シモツキ………………しもつき──霜月。


 …………。


 え、僕……? どうしてそうなった?


「いやいや、僕に彼女がいたらそもそも女子と二人きりになるここに来るわけないだろ。できたことだってないよ、彼女なんて」

「……確かに。そう考えればそうですね」


 納得しれくれたのは嬉しいんだけど、あまりにも早すぎてちょっと悲しくなったんだが。

 

「霜月さん見栄を張るために彼女がいるなんて嘘つかないで下さい」

「一言も言ってないが? ていうか逆にどんな風に考えたらそうなるのか教えてほしい」

「エッチなことで深刻なこと……彼女じゃないですか!」

「暴論だ」


 頑張ればそう捉えられなくもないのかもしれないが。

 僕が自分をそういう人間として捉えたくない。


 ……あれ、いつの間にか明日晴さんに飲まれてないか? 

 どう考えても、どこだろうと、誰が見ても今のは暴論だったろ。

 

 あ、でも今の高校生は経験が早いんだっけ? いや、草食って聞いたことが……頭がぐちゃぐちゃになってきた。


「でも、そうですか。霜月さんはまだ誰とも付き合ったことがないんですか」


 疲れた顔をしているであろう僕をまた覗き込むようにして彼女はそう言う。

 僕はそちらに視線を向けず、代わりに課題と向き合いながら「残念ながら」と答えた。


「一緒ですね。私もまだ、誰とも付き合ったことがありません──残念ながら」


 面白おかしく言う彼女に対して一瞬だけ。


 残念の使い方を間違えてしまったのか。


 そう思ってしまった。




読了、ありがとうございました。


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狂ったように喜びます。

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