※入部した際、悪夢を見るようになる、呪いにかかる等のことについては、我が部は一切の責任を取りません
誤字がありましたら、報告してくれると幸いです。
さて毎度同じように朝日が僕の視界をうっすら赤くしてくるのだが、構わず寝る。
アラームが鳴る。
構わず寝たい……ところだが、そういうわけにもいかない。
腹筋をするように上半身を起こし、手は天井へ足は壁の方向へとグッと伸ばす。脱力と共にあくびをすると、眠気はどこかに去っていった……なんてことはなく、必死に僕にへばりついてくる。
なんとか布団と身体を引き剥がし、ぼやけた視界と、まだ寝ているのかと思うほどのふらふらとした足取りで階段を下りる。
食パンを焼き、その上にバターを乗せて食べる。
うまい……。
やっぱりシンプルイズベストだ。
コップ一杯分の牛乳を飲み干し、僕は学校へと行く準備をする。
玄関を出たのはその三十分後ぐらいだった。
直射日光により最初だけ景色が少し痛みを感じるほどに眩しく見える。
数秒後、慣れてきた目を隣の家の庭へと向けると、やはりそこには楽がいた。相変わらず5分以前行動らしい。しっかりしている。
賞賛の眼差しを向けていると楽がこちらに気づく。
「おはよ、光」
「楽っていつも何時からそこにいるんだ?」
「光と大して変わらないよ。あと挨拶されたら返そうな」
「あ、そうだった。おはよ」
家を出て数歩。
楽は僕の方へと半身で振り返り不満そうにこう問いかける。
「昨日一緒に帰ろうと思ったのに、教室見渡したらお前がいなかった時の、俺の気持ちを考えたことはあるか?」
「断じてない」
「胸を張って言うな、胸を張って。……それとな、誰だってあんな返信されたら、心配するぞ? もちろん俺も例外なくな」
「あ……」
「その反応は忘れてたな?」
はぁと一息ついた後、「まったくもう」と言いたげなジト目をが僕を見てくる。
そう、昨日のメッセジーの送り主は楽だった。
内容は、今何をしているか、というもの。
数秒で返信するにはあまりにも濃い内容だったため、
『すまん。何があったかは明日の登校時に話す』
とその時では答えなかったのだが、楽に問われる今の今まで忘れてしまっていて、とうとう連絡していなかった。
「そもそも、教室を出るにしても一言声かけてくれればついてったのに」
「声はかけようとした……けど既に囲まれてたし。要塞できてたし」
流石と言うべきか、楽の席には男女問わず連絡先交換の人だかりができていた。
そこにづかづかと入り、対応に困っている楽の手を取り、教室から出る。……考えるだけでもおぞましい。
身の毛がよだつのを感じた。
「そこを助けに来るからかっこいんだろ?」
「ラブコメの主人公か、僕は」
まあ、もし幼馴染が美少女だった世界線があったとすればそうなっていた可能性もなくはないが。
そんな茶番じみたことばかり考えていると、楽が本題へと切り込んできた。
「それで。昨日何があったんだ」
「複雑な話だから大雑把になるかもだけど、昨日僕は──」
図書室で出会った──先輩……にはめられてオカルト研究会に入部したこと。そこで文芸室の鍵を貰ったことを楽に説明した。
「──というわけだ」
「完全にラブコメの流れじゃん……もう既に主人公じゃん……。既視感だっけ? 小さい頃遊んだことがあるとか?」
図書館で会った当初は僕もそうなんじゃないかって思った。昔どこかで遊んだのか、と。
でも。
「……それは違う、ような。小さいころから見てた気がするはするけど、中学上がった後も見たような……。だから楽ならもしかすると知ってるかもって密かに思ってたりしたり」
「オカルト研か……。……色々気になるし体験入部してみるか」
「そう言うと思って、もう話は付けてある」
「やけに用意周到だな。……何か企んでいるんじゃないだろうな」
「べ、別に先輩が暇にならないように、勧誘したわけじゃないんだからねっ」
「まさかのツンデレ……てか、それ俺に言っても意味ないだろ」
「意味はある。意義もね。大義ですらある」
「すごい急な闇落ちだな」
「今日なんか用事とかは?」
「ない。決まりだな」
楽はニッと笑った。
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