プロローグ
誤字がありましたら、報告してくれると幸いです。
──東京。
その単語を聞いてまず何が頭に浮かぶだろう。
聳え立つビル群か。
最先端の技術を保持しているあらゆる業界か。
あるいは日本一のタワー──東京スカイツリーか。
そのどれもが日本という一つの国家において最高と言える。
華やかで魅力を放ち──だが決して甘くはない。
まるで人生のような──そんなイメージを持つ人だって少なからずいるだろう。
そのイメージは大抵、二つのうちのどちらかだ。
一つは『夢』。もう一つは『憧れ』だ。
夢と言えば某テーマパークも……いや、あれは千葉にあるのか。
まあ、それらもひっくるめて夢が溢れているからこそ、東京都の人口は増え続け、経済が促進し、技術が発展していく。
──だが、勘違いしないでもらいたい。
東京都がすべて原宿や新宿、渋谷に池袋、ついでに秋葉原のようなところではないということを。
この物語の舞台は、都心からひどく離れた郊外。田舎と言って申し分ないところ。
東京都伊規須市。
先ほどの煌びやかな都心と同じ東京とは、にわかにも信じがたい田舎。
田んぼがそこら中にあるわけでもなく、コンビニが復旧していないというわけでもないが、──同時に中高生が放課後遊べるような施設があるとすればカラオケぐらい。
もちろん、大きくそびえたつ高層ビルがなければ、満員電車という現象にも遭遇しない。
この辺で何かあるとすれば、観音様が祀られている寺や、バカでかい御神木を構える、日本各地にある神社の本殿。
一つ駅を都心の方向へ進ませると中央図書館がある──そのぐらいだろう。
あと自然公園か。
そんな一見代り映えのしないこの場所を、僕は気に入っている。
騒がしいことや目立つことなどと相性が悪い僕にとっては、身の丈に合っているのだ。
当然、そんな僕の進学先は市内に一つだけしかない高校。
都立伊規須閉居高等学校。
僕の家から徒歩十分。
自転車で三分ほどに位置するそこは、歴史を感じさせる木造の校舎で、裏庭の奥には木が聳え立っている。
東京都の高等学校で木造の校舎というとここぐらいではないだろうか。
偏差値は57。
進学校ではないが、進学したい生徒にはそれ相応の施しをして、尚且つ校則もそこそこ緩いのだが。
立地は都心から大きく外れており、先ほどの通り木々に囲まれている。
そのため倍率自体はそれほど高くはない。
ないのだが、一部からは根強い人気を誇り入試の合格点が普通より少し高めであるため、偏差値が低くはないのも納得してもらいたい。
さて、と。
長い前置きはここまでにして、そろそろ物語をはじめるとしよう。
この世界がこの世界になる前の──もう遠く、はるか彼方に終わった僕たちの物語を──
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