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ウィンウィンってやつー!


「それじゃあ、ゼーリはここにいて、安全になったらお家に帰るんだね?」

「えッ、でもプリンさんにご迷惑かけるわけにハ……」


 友達といえども、ついさっきまで他人だったうえに、別の星の人である。銀河情勢が思わしく無いので、お世話になるのも心苦しい。

 ゼーリは体をプルプル振るわせて焦ってしまう。


「いいんですよ。そのかわり、宇宙船を小型化でリメイクするので、余った金属を分けてください」

「そ、そのくらいお安いごようですガ……」

「ならば、なにも問題ありませんよ。ゼーリさんは安全確保が可能になり、私はエルダティウムを手に入れられる」


 にこりと笑うプリン。えっぐの耳がピンと立つ。


「わかった、ウィンウィンってやつだー!」

「そうです。よく分かりましたね」

「お手伝い妖精は、ウィンウィンの関係なの」


 えっぐやうふは、お手伝いをして相手を助ける。

 相手は助かって嬉しいし、ありがとうの気持ちをもらえて妖精たち満足。と語るえっぐ。うふも横で頷いている。


「なので、うふたち、プリンのお手伝いもしたいなぁ」


 チラッチラと、わざとらしく視線を向けて逸らしてをする。

 プリンはくすくす笑って、じゃあお願いしようというと、えっぐとうふは、顔がぱあっと明るくなる。


 そして、お手伝いの内容をどうしようか考えるプリン。


「あ、お野菜の収穫をお願いしていいですか?」

「「はーい」」

「はーイ」

「あ、ゼーリさんはお外に出ないでください。危ないです」


 えっぐとうふは、他の宇宙人が狙う用事もないので、この星の人に見られてもなんともないはずだが、ゼーリはそうもいかない。

 なので、安全のために、お家の中で過ごすよう言われてしまった。


「お外はこちらです。お外を見るのに、外からは中の様子がわからない窓がいくつかあるので、そこからゼーリさんが外を見るのは大丈夫ですよ」


 そう言って、プリンは案内を始める。

 えっぐとうふとゼーリは、浮かぶクッションからぴょいっと飛び降りて、プリンの後を歩く。

 しかし、えっぐより小さいゼーリは、歩く速度が遅いのか、離されていく。それに気づいたうふが、ゼーリを抱っこして歩く。


「お、お手間、かけま……ス」


 頑張って這っていたゼーリ、息が上がっているようだった。


「いいのいいのー」


 ゼーリを抱っこしてムニムニ触り、感触を楽しみ出すうふ。

 階段を上がって、地上に出たら、お日様の光があるのか、先の部屋は明るかった。


「さっきのところハ、地下のラボだったのですネ」

「そうです。私のような技術職の者たちは、精密機器や金属など溜め込んでいるので、陽の光で劣化してしまうものも多く持っているため、地下に倉庫や研究室を持っている物が多いのです」


 そして、ゼーリが外を覗いても大丈夫な窓を、教えてもらう。

 えっぐとうふは、勝手口から外に出ると、家庭菜園が目の前に広がる。


「お野菜は、ご飯分の収穫? ご近所さんにおすそ分けする分はー?」

「今日のところは、ご飯分だけお願いします。みんなで4人なので、足りる分採ってください」

「「はーい」」


 家庭菜園が、自分の知っているお野菜ばっかりで、安心したうふとえっぐは手をあげて返事をする。


「かごとハサミはこれ使っていいのー?」


 勝手口扉の横にある、家庭菜園グッズを見つけたえっぐが訊ねると、プリンはうんと頷いた。


挿絵(By みてみん)


「お野菜で、スープ作っていい?」

「いいんですか?! 大歓迎ですッ!」


 えっぐが訊ねると、えっぐのスープはお友達の証なので、食してみたいプリンは手を叩いて喜んでくれた。

 うふもプリンを見て、パンを作って大丈夫か聞くと、材料がないので、必要なものを教えて欲しいと言われたので、簡単なパンを作るのに使う材料を伝えると、プリンは自分の下半身にある、さっきはアームが出てきたどんぐりから、何やら操作をしていいる。

 うふはその様子をじーっと見て、訊ねるべく、口を開く。


「そのどんぐりなーにー?」

「こちらは、ポットと呼ばれる移動手段です。移動のほか、お買い物をするのに、このポットからお店に注文することができるんです」

「腕が出てきたり、お店と連絡とれたり、すごいねー」


 妖精さんたちは、お手伝いをすることを生業としているので、生活が便利な地域には、あまり行くことがない。

 生活の何やらが手作業な、アナログ文化の場所に降り立つ事が多いため、宇宙に進出出来るほど技術が発達している地域は初めてであり、便利なものをあまり知らないようだ。


「便利な物が多いのですが、それにより手作業をすることが減っているんですよね。うふさんのようにパンを作ることはできないし、えっぐさんのように、スープを作ることも、私にはできないんです」

「なんでお野菜育ててるのー?」


 うふから、もっともな質問である。作らないのに育てているというのは、おかしい話だ。

 ちなみに、普段プリンは、夕飯も宅配ご飯らしい。


「宅配ご飯の支払いに、お野菜を使うと喜ばれるんですよ」

「お金じゃないのー?」

「お金も使う時がありますが、お野菜を直接もらう方が嬉しいお店もあるんですね」


 プリンがご飯を買う、お金を払う、お店はお金を得る、そのお金を持って、お野菜を買いに行く、という流れを伝えると、えっぐとうふは理解した。

 確かにそれなら、お店に買いに行く手間を減らしたいご飯屋さんは、お野菜の方が嬉しい。


 お野菜の収穫をしている間に、プリンの家に、小麦粉と砂糖と塩とドライイーストが届いて、うふはパンの仕込みに入る。


「普段ご飯作らないのに、キッチン立派だね」


 えっぐはキョロキョロ見回して、思ったことを言うが、プリンは素直に頷いた。

 元々作られている家を買ったので、キッチンは立派なものがついていたと教えてくれる。


 そして、えっぐには板を渡す。板の使い方を教えてあげると、えっぐは板に乗り、移動できるようになる。

 キッチンの高さが、えっぐには高すぎたため、踏み台替わりの浮遊板をプリンは貸してあげたようだ。

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