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事実
俺は慌てて紫乃を起こした。
酷い傷だが回復はしそうだ。
そのまま近くのベンチに寝かせると1つの物が炎を纏い俺の前にやってきた。
見るとそれはカードで美奈が持っていた使役カードのようだ。
「ん?あれ、莉久さん?」
「あ、紫乃、起きたか。」
「あれ、美奈さんはどこですかぁ。」
事実を伝えていいものか。
美奈は紫乃を庇って死んだ。
こんな小さい少女に伝えるのは酷だ。
「美奈は俺を庇って死んでしまったんだ。」
美奈が庇ったという事実を伝えつつも紫乃はあまり関係のないと思わせるような嘘をついた。
「え、それは、本当なんですか。」
「あぁ、」
「美奈さん…。」
と同時に紫乃は泣きだす。
俺は紫乃に胸を貸した。
ん?美奈は生き返るかも知れない。
上手くいけば。




