りかちゃんさみしい?【已然形】
古文の授業中のことである。先生が言った。
「已然形接続の助動詞について発表してもらいます」
「えー」
教室中から、声が上がった。
りかちゃんは、正直、困ったことになったと思った。
みんなの前で何かを発表するのは、あまり得意な方ではないのだ。
「ごちゃごちゃ言わない。わかりやすくて楽しい発表にして下さい」
かなり面倒なことになりそうだ。これまでに、未然、連用、終止、連体にそれぞれ接続する助動詞については、小説と四コマ漫画にまとめてきた。アニメ動画も制作し、ネットで発表してきた。
一度見たら印象に残ってしまい、いつの間にか覚えてしまったと、それなりに評判は良かった。
しかし、已然形となると正直、困る。その理由は、意外に思われるかもしれない。なんと、その助動詞は1つしかないからだ。完了の助動詞「り」である。
完了の助動詞には、「つ、ぬ、たり、り」がある。「り」以外の完了の助動詞が連用形につくことは、すでに発表した。「つ、ぬ、たり、けり、けむ、たし、き」は『連用戦隊レンヨージャー』と呼ばれていることは、ご承知の通りだ。
しかし完了の助動詞「り」は、サ変動詞の場合には未然形に付き、四段活用の動詞には已然形に付く。
この頭文字をとって、「りかさみしい」と言われている。
りかちゃんは、このことを表にまとめて、みんなの前で発表した。
自分と同じ名前が出て来て、ちょっと恥ずかしかったけれど、それが自分でも面白くて、あまり緊張しなかった。自然と大きな声が出せて、いつもより堂々と発表できた。
発表が終わると、みんなが拍手してくれた。
先生もほがらかに笑っていて、満足そうに見える。
「よく頑張りましたね」
りかちゃんはさみしくない。
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