修行
夕食を食べ終え部屋に戻る。
「は~おいしかったですね。妖子さん」
「…」
もちろん、無視された。
部屋に帰る途中で何度か話しかけてみたけど、一度も相槌さえしてもらえなかった。
そして、部屋の前まで来た。
「それじゃあ、お休み…」
最後に話しかけたが、どうせ返してもらえないだろうけど。
「…お休み」
「!」
返してくれた、何だろ、結構うれしいな。
次の日
「2人ともよく眠れたかね?」
「まあ、ぼちぼち」
「ぼちぼちなら良いな。これから2人には学校が始まるまでに、修行を行ってもらう」
「修行?」
「そうだ、これからお前たちにいろいろと教え込まなければならない、しかし、今のお前たちでは器が不十分だ、少しでも良い結果を得られるよう頑張るといい」
「器って…良い結果?いったいどういう事なんですか。お爺ちゃん」
「ヨウコならわかるだろ」
「はい」
「陽介そういう事だ、頑張るといい。死なないことに気を付けるんだな」
「そういう事ってどういうことだよ!死なないことに気を付けろ。だって、どういうこと」
その日俺は滝つぼに突き落とされた。
俺が修行と言われて行ってきたことを少しお教えしよう。
1.滝つぼに突き落とされる
他の人が見たら、殺人だと思われるだろうな。
滝つぼに落ちる度胸と落ちた際に冷静に行動できるようにする修行。
2.パンイチで山に置いてきぼりにされる
緊張した空間、さらに先を見通す力をつける修行。
山の夜は死ぬかと思った。
3.100人の人に声をかける。
いわゆるナンパっていうやつ、まさかこんなところでナンパをすることになるなんて思ってもみなかったが、思っていた者とは違った。100人のお祖母ちゃんとお爺ちゃんに話しかけた。何の意味があるか分からないけど、めちゃくちゃここら辺のことに詳しくなった。
妖子さんは俺とは違う修行をしていたが、それでも俺より完璧にこなしていた。
「妖子さんて、すごいのかもしれない…」