バランス
俺たちは部屋からる。
「それじゃあお前さんの部屋に案内するとするかの、荷物もそこにおいてある」
「疑問に思ってたんだけど、あの荷物どうやって運んだんだ?」
「何だ、見てなかったのか?」
「そりゃあ、いきなり全部持ってかれて、そのあと生活するのめっちゃ大変だったんだからな」
「そういえば、何を持ってくるか命令するの忘れとったわ」
「命令?」
「そうじゃ、ちょうどいいお前さんなら見えるだろ」
そう言われ、指をさされた方向を見る。
「小さい人?」
「あ奴らは、小魔。陰の世界のいわば引っ越しやのような連中じゃ」
「へ~、ちっこくてかわいい」
「甘く見るなよ、あ奴らの力はゴリラ並みじゃ」
「マジですか…」
「それにしてもここ結構大きい建物だな」
「それもそうじゃ、ここは神社件旅館じゃからな」
「旅館?」
「そう、ここには陽の世界に用のある陰の住民が宿泊するための施設でもあるのじゃ」
「どうして、陰の世界の住人が用の世界に来るんだ?」
「様々な理由があるが一番大きな理由は、陰の世界と陽の世界のバランスを保つためじゃな」
「バランスを保つ…」
「例えば、こっちの世界で地震というものがあるじゃろ」
「日本だとよくあるよな」
「地球の地殻変動の影響でおこる場合もあるが、陰の世界とバランスが崩れることでおこることが多いのじゃ、陽の世界と陰の世界のバランスを保つことが陰の住民の主な仕事になっとる」
「そうなんだ」
そんな話をしながら歩いていると。
「ここの階段を上がるとお前さんの部屋がある」
「分かった」
階段を上ると、襖が2つあることに気が付いた。
「俺の部屋はどっちだ?」
俺は適当に左の方にある襖を開けた。
「!?」
そこにいたのは着替え中の少女だった。
「な!」
「ちょ!何で入ってきているんですか!って見えてるんですか私が」
「ご、ごめんなさい、間違えました」
俺は驚きすぐさま襖を閉じてもう一つの方の襖を開けた。
そこには前の家の私物が置いてあった。
「こ、こっちだったのか…かわいかったな」
トントン
と襖を叩く音が聞こえる。
「は、はい!何ですか」
「陽介様、お食事の時間にございます。下の階にお越しくださいませ」
「わ、分かりました」
俺は下の階に下りる。
「えっと、どこに行けばいいんだろ」
「陽介様、こちらです」
「う、うわぁ、い、いきなり表れないでくださいよ」
「こちら、菊の間でございます。これからお食事の際はこちらの部屋までお越しください」
「分かりました」
菊の間に入り一人では部屋が大きすぎるような気もする。
「ちょっと、1人には大きすぎないか」
部屋で待っていると襖があいた。
「あなたは、さっきの私の部屋を覗いた変態さん」
「ちょっと、それは事故のようなもので」