帰り道
登校初日だというのに、まぁ疲れた…
バスに乗り込み、自宅となった神社へと帰宅する。
初めは多くの学生が乗っていたが、今は俺と妖子さんだけ。
俺は後ろの方、妖子さんは前の方に座っている。
妖子さんは頭を窓側に傾け、多分寝ているのだろう…その状態から動かない。
「こうして見ると…普通の女の子だよな、耳も尻尾も見えないように妖術かなんかで隠してるんだっけ。ちゃんと隠すことが出来てるから、普通のクラスにいるんだよな…その点、俺は普通の男なのに…なんであんな人ならざる者ばかりのクラスに割り振られたんだ…理由が分からん」
「終点、陰陽神社前…陰陽神社前」
バスからガイド音が流れる。
妖子さんは体をビクッ!とさせた…どうやら起きたようだ。
こちらを振り向き、見てた!と言わんばかりの視線を送ってくる。
俺はすかさず目線をそらし、あたかも見てませんでしたよ…感を醸し出すが、どうやら通じなかったらしい。
終点のバス停へと停車し、僕たちは下りる。
「ありがとうございました」
バスは早々と帰っていき、何もないただの畑道が続く。
妖子さんが前を歩き、俺がその後ろを歩く。
会話は無い、とんでもなく空気は上手いが…空気は重い。
何かを話しかけようとするも話題が無い…普通のクラスがどういったものか、たった1日だけだが規格外クラスを体験してしまった俺には思い出すことが出来なかった。
「ねえ…そっちはどんなクラスだったの?」
初めに話しかけてきたのは妖子さんからだった。
「変わったクラスだったよ…普通の人間が俺だけだった…」
「そう…こっちも普通の妖魔は私だけだった…」
――妖子さんのクラスは人間ばかりなのか…
「どちらも…今までとは違う世界を体験してるんだな…どうだった?人間のクラスは」
「みんな良い人だったよ、私のことも普通の人だと思ってる」
「そりゃあ、見た目が人間なんだもの、人だと思うさ。友達はできそう?女子の友情とかよく分からんけど…て、妖魔と人間は友達になれるのか…」
「そっちはもう友達になってたでしょ。あの大男君とじゃれ合ってたじゃん」
「い…いや、あれは殺されかけてただけで…と言うか見てたの?」
「ちょうど、窓からそっちの校舎が見えたから…覗いてみたら見えた」
「そ…そう」
会話はここで途切れ、神社の前まで到着する。
鳥居をくぐると、妖子さんの耳と尻尾が出現した。
「鳥居をくぐると、耳と尻尾が生えた…」
「ここまでくれば、隠しておく必要もないから…って!あんまりじろじろ見ないでくれる」
「ご…ごめん」
「2人とも、帰ったか」
「爺ちゃん…どうしたんだ、こんなところで?」
「2人には今からしっかりと働いてもらわんとな」
「働く?」




