モモ
「どうも初めまして、猫又族のモモと言います。以後お見知りおきを」
「これは、これは、ご丁寧に…って!何やってるの。俺死にそうだったんだけど!」
「その度は大変申し訳なく思っております。ただいまより、豪君には私からキツイお仕置きを受けていただきますので、そこでご覧ください」
「え…いや、そこまでしなくても…」
豪君と呼ばれるその男は全身を縛られ、どう考えても動けない状況にされている。
「では…行きます」
「モモちゃん…ちょっと…それは」
モモは息を整え、足を後ろに引く。
右足を大きく前に一歩踏み出し、右足を軸にして遠心力を付ける。
左足に遠心力を乗せながら弧の様に最大限まで逸らし、豪君の額目掛けて一直線に飛んで行く。
「ぐあ!」
額にクリーンヒットした豪君は…教室の窓をぶち破り吹き飛んだ…幸い教室には誰もおらず、犠牲者は豪君だけであった。
「は~、スッキリした!ん?何引いてるの?いい蹴りだったでしょ」
モモはvサインをしながらにこりと笑う…
豪傑は教室の中で伸びてしまっている。
はは…怖
「あ…」
そう思った矢先、モモがその場に倒れそうになる。
「危ない!」
俺は咄嗟に動き、モモを受け止めた。
「大丈夫か?」
「スースースー」
眠ってる?そんなあの一瞬で、眠りに落ちるのかよ。
「モモちゃんは激しく動くとすぐ寝ちゃうんですよ」
後ろにはさっきまで伸びていた豪傑が立っていた。
「な!もう起き上がったのか」
「体だけは頑丈なので」
そう言うと、豪傑はモモを持ち上げ、どこかに連れて行った。
「何だったんだ、あの2人」
その2人は嵐吹く風の世にすぎて行った。
そして今に至る。
「ねえねえ?神君は何処から来たの?」
まさか、隣の席がモモだったとは…全く気付かなかった。
「お前…もういいのか?動いたら眠っちまうんだろ」
「うん!大量の光を浴びながら寝ればすぐ回復するよ」
「へ~まぁ、俺がどこから来たかは想像に任せるよ」
「え~どういう事?教えてくれてもいいじゃん。だって気になるんだもん、ここのクラスにいる子たちは皆陰の世界に住んでいる一族なのに、神君はどう考えても陽の世界に住んでたんでしょ。神君がこのクラスにいるのってなんかおかしくない」
俺も全く同じ意見だ、ここに居る奴らの見た目は人間とあまり変わりないが、所々人間に成り切れてないところが存在している。
モモは耳と尻尾、豪傑は牙、何かがそうだ。
もしかして俺も…
「なあ、俺に変な所は無いか?」
「変な所…ん~、魂かな?」
「魂…」
「そう、神君の魂から感じるのは陰と陽の力…こんな綺麗に分かれてるの始めてみた」




