授業(2)
体育の授業はよくある体力測定だった。
しかし、その体力測定をしている奴らが普通じゃなかったのだ。
ソフトボールを投げてグラウンドを優に超えるやつ…
シャトルラン最後まで走り切るやつ…
100m5秒で走るやつ…。
「なにこれ…」
その場はまさにカオスそのものだった。
「いや…あれ絶対人間じゃないよね…」
俺のクラスに普通の奴は俺しかいなかった…
体育が終わり、疲れが出てきたころ。
「なあ!お前が神陽介か?」
同じクラスの滅茶苦茶ガタイのいい奴が話しかけてきた。
「ああ、そうだよ。何か用か?それにしてもお前さっきソフトボールどれだけ飛ばしたんだよ」
「測定不能だったが、別にあんな軽い球を投げても何にもならんだろ。」
「ま、まぁそうかもしれんが…で何か用があったんじゃねえの?」
「そうだったな、神陽介。俺と戦え!」
「は?何言ってんの?戦う?どうして…」
俺が理由を聞こうとしたとき
「先手必勝!」
そう言って、こいつは俺の腕を掴んで投げ飛ばした。
窓から外に吹き飛ばされる。
1階だったから無事だったものの、2階3階だったら怪我だけじゃ済まねえぞ。
「痛った!何すんだよ!」
「言っただろ、戦え。この鬼人族、族長剛毅の長男、豪傑とな!」
「は?鬼人…どういうことだよ、お前人じゃないのか?」
「お前には、人に見えているのか…まぁ別にいだろう。俺の感が言っている、お前は俺より強いと」
「何言って!」
言葉を言い返す暇もなく、豪傑とやらは俺に殴りかかってくる。
窓を飛び出し、あったら無事じゃすまないということが優に分かる拳を振り上げて。
「お前は強いんだろ!戦え!俺と!」
豪傑の拳が俺目掛けて飛んでくる。
「うわ!」
俺はギリギリでかわすが、豪傑の拳が地面にあった際の風圧で吹き飛ばされる。
地面には大きなクレーターができている。
俺があそこにいたら確実に潰されていただろう
「待て待て待て!俺は全然強くない、強くないから!」
しかし、豪傑は聞く耳を持たない
「戦え…戦え…」
なぜかさっきよりも感情が無くなっている気がするが気のせいだろうか…
「俺と…戦え!」
いや気のせいじゃない!
豪傑の奴、感情が不安定になってやがる。
「あ~、豪傑また飲むの忘れてるよー」
「え?誰…」
「え…ひどいな~陽介君クラスメイトの顔を忘れるなんて、そんなんじゃ女の子にもてないよ」
「余計なお世話だ!」
「はいこれ、豪傑に飲ませて」
そう言って、猫耳のついた奴から徳利をわたされた。
「これは…徳利、中に何が入ってる?」
「私、特製のマタタビ酒。豪傑お酒飲まないとあんなふうに情緒不安定になっちゃうの」
何処のアル中だよ!
いやそんなこと今言っている場合じゃない。
まずはこれを豪傑に飲まさないと。
「私が豪傑を引き付けるから、上手く飲ませてね」
そう言うと猫耳は豪傑の方に走っていく。
「おい!危ない」
「邪魔だ!どけ!」
豪傑の拳が振り下ろされる、しかし、豪傑の拳は空を切り、拳を振った反動で体がぶれる。
「そんな状態じゃ私に当たらないよ。普段でも全く当たらないんだから」
そう言いながら、猫耳は豪傑のよろめいた足を「くいっ」と持ち上げる。
そして完全に地面にひっくり返った豪傑の口に俺は徳利をねじ込む。
「うぐ!」
豪傑に徳利をねじ込んでやったら、効果てきめんだった。
「すみませんでした…体育で飲むタイミングを逃してしまって。神さんに大変申し訳ないことを…」
さっきの圧力が全く感じられない
「も~、何回おんなじことをやったら気が済むの豪君!」
ぺシ…
「ご、ごめん。モモちゃん、いつも迷惑かけて…ほんとごめん…」
ぺシ…
「は~、豪君が心配だから、同じ学校にしたけど、まさか初日から問題行為を起こすなんて…」
ぺシ…
猫耳の尻尾が豪傑の頬を叩きながら、猫耳が説教している…どういうこと。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。
よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。




