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第12章「げんそう」 5-5 封印の地

 「なるほど」


 「これ以上は、フローゼから聴いて。2日後には着くよ。いまいる場所を、詳しく飛ばしておいて」


 「分かりました」

 魔力でオネランノタルに我々で云う位置座標を送り、ルートヴァン、

 (まさか……聖下の他にも、なる世界から来た魔王がいるのか……?)


 意外な展開に、意表を突かれた。居間でぼんやりと暖炉の火を見つめ、シーキの手配による村人の使用人がフューヴァやプランタンタンと共に昼食の用意をする声を聴いた。

 


 翌日、再びレーンスキィルが村を訪れた。

 「毎日忙しいな、ルーテルさんよ」


 フューヴァが皮肉を云い、呼びつけられたシーキが渋々ルートヴァンの横に立った。


 「もう私は必要ないでしょう、殿下」

 「そう云うな、どうせ僕らの見張りを命じられているんだろう」

 図星だった。

 「ついでに、話を聞いておけ」

 「分かりました」

 もう、腹をくくった。

 レーンスキィルが現れ、ルートヴァン、

 「速かったな」

 「私は魔法騎士なので、カリーニから伝達魔法を」

 「なるほど」


 「国王陛下におかれましては、全て大公殿下の望みのままといたしますので、王国の偽ムーサルク討伐に一切関わり合いにならぬよう、厳に御約定頂きたいとのことで御座りまする」


 「約束しよう」

 レーンスキィルの口上に、ルートヴァンが即答した。

 ほんとかよ……と、思いつつ、シーキが横目でルートヴァンを見やった。

 「で、こちらの要望の件に関しては?」


 「ハイ。これは、本来であれば皇帝陛下の御許しがなければ御伝えできない我が国及び皇帝府の秘事ではありますが、緊急事態につき、特別に御話しできる範囲で御教えいたしまする」


 「話せる範囲で、だと?」

 ルートヴァンが遠慮なく、眉をひそめた。

 「どういう意味だ?」


 「それほど、危険な相手なのです。何人なんぴとも、手を出してはいけません。なにせ、大魔神メシャルナー様ですら、完全に倒すことができなかった相手……!」


 「なにっ……!」

 ルートヴァンが、素直に驚いた。

 「初耳だな、それは……」

 「いかさま。秘されております」


 「いや、待て……ということは、その封印魔王は、旧世界の魔王ということか!?」


 「いかさま」


 さしものルートヴァンも唸った。そして、そのことも全くタケマ=ミヅカから聴いていない。


 (あの御方とのつきあい・・・・方を、少し考えたほうがよさそうだな……)

 そう思いつつ、


 「と……なると、つまり、封印魔王は最初からこの地に封されていて、そこにチィコーザ王国が建国されたということに?」


 「いかさま。大魔神様の最も信頼厚き右腕にして雷鳴の騎士イヴァールガル・パテティーキュルス・チィカールが、魔王の封印を監視・守護するため、特別にこの地を治められるよう命じられたもの」


 「そうだったのか……初代雷鳴王が……」

 そこでルートヴァンが横に立つシーキに、

 「知っていたか?」

 「いいえ!」

 シーキが、あわてて首を振った。

 「一般には秘されています。王宮でも、知っているものは僅かです」


 「なるほど……で、メシャルナー様が旧世界の魔王を封じたのが、その廃神殿か」


 「ちがいます。メシャルナー様が、既に封印されている古い地下洞窟と古代の神殿跡をこの地で発見したのです。魔王ゾールンは、はるか昔よりこの地に封じられておりました」


 「では、メシャルナー様は既に封印されているそのゾールンとかいう古代の魔王と戦って、倒しきれなかったというのか!?」


 「いかさま」

 「なんと……」


 「それから300年ほどはわが国でも厳重に監視し、また廃神殿へ近づく者は誰もおりませんでしたが、殿下も御存じの通り、帝国建国からちょうどそのころ、急にタガが外れて帝国中に騒乱が」


 「第一次戦国時代だな」

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