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第9章「ことう」 4-3 魔力の回復~御宝探し

 ルートヴァンの笑い声にカッとなって、フューヴァが歩み寄ってルートヴァンの胸ぐらをつかむ。ルートヴァンは急にニヒルは笑みを浮かべて影を浮かべるゲッツェル山を見やり、


 「と、云っても、8割ほどだがね……それでも、上出来だと思うよ」

 「説明しろ、バカ!」

 「魔力の回復に成功したんだよ!」


 ルートヴァンは、ヴィヒヴァルンの父王太子フィデリオスより次元を超えて供給される赤色シンバルベリルによる魔王にも匹敵する大魔力を使用できるが、そもそもルートヴァン側から必要な時に「接続」する必要がある。


 先程、その「接続」すら不可能なほど魔力が下がっていたことに気づき、一瞬で絶望の底に叩き落とされたのだが、テヌトグヌと同じ理屈で振動数の調整に成功し、8割がたの魔力を回復。


 そこまで回復すれば、接続も可能だ。


 次の問題は、接続して供給された大魔力も無尽蔵に島に吸収されるのでは意味がない。


 しかし、その膨大な魔力もルートヴァン側で「調整」し、8割がた使用することに成功した。


 正確には、リアルタイムでの調整は流石にルートヴァンに負担がかかりすぎるので、云わば「調整弁」とでもいうべき魔術式を臨時で組み上げ、そこを通すことで自動的に振動数を変換・調整するようにした。


 これらを、絶望の底からほんの数分でやってのけたのだ。

 まさに、超絶天才と云うほかは無い。


 (とはいえ、それでも2割は島に吸収される……これが、聖下の戦いにどう影響するかは不明だ)


 ルートヴァンはそう思ったが、思ったところでどうしようもない。

 「さあフューちゃん、プランちゃんとペーちゃんを探して脱出だ!」

 「待ってました!」


 ルートヴァンが左手でフューヴァの腰を抱くようにして引き寄せ、右手の杖を上げる。呪文が思考行使され、2人は夜空に舞い上がった。



 その、ちょうど1時間ほど前である。

 プランタンタンが、山道をものともせずにひょこひょこ・・・・・・と歩いていた。


 元より夜目……というより、特殊な生体光を目から出して闇でも物が見えるエルフだ。星明りと合わせ、昼と全く同じ視界を確保しているため、歩きながらゲベル人が拾っていた謎の金属を探す。


 (さすがに、道端には落ちてねえでやんす)


 もっと山頂の方まで行くのか、それとも道の途中に鉱山のようなものでもあるのか。


 (あの、拾ってた連中は、とても山堀をやってたようには思えねえでやんす)

 金目に関しては、観察眼も鋭い。

 ふと、山の中腹当たりで、左手にそれる道が出現した。


 いや、むしろ道はそちらに続いており、山頂へ続く道は細い。滅多に山頂まで登る者がいないことを意味する。


 プランタンタンは、迷うことなく左へ進んだ。

 そこをしばらく進むと、林に行き着いた。


 しかし、同じような背丈に揃えられた、見るからに同種の木がズラッと丁寧に等間隔で植栽され、下草もきれいに刈られているのを観て、プランタンタンはすぐさま、


 (こりゃあ……なにかの畑でやんす。何の木でやんしょ?)


 木の合間を慎重に歩き、観察する。この時期のマッピは収穫の後の休眠期で、木々を休ませつつ、丁寧に剪定を行う。


 (金目のもんや、食えそうなもんは、無さそうでやんす)

 エルフとはいえ、まったく物音を立てずに暗闇を歩き回るのは見事だった。


 そのプランタンタン、とある木を回りこんで、根本にいきなり人が横たわっていたので驚いて飛び上がった。悲鳴を発しなかったのは、流石である。


 (……ッくりしたでやんすうう~~~~! なんで、こんなところで……って)


 それ・・が、酔いつぶれて爆睡しているペートリューであると気づき、胸をなでおろすと同時に(無理も無いが)無性に腹が立った。


 「ペートリューさん、ちょっと、ペートリューさん! こんなところで、いってえナニをやってるんでやんす!?」


 囁きながらも語気を荒め、プランタンタンがペートリューを揺さぶった。

 「うう……んんん~~ふふう……これは、なかなかのお酒ですうぅ」

 「寝ぼけてる場合じゃねえでやんす! 起きて、起きてくだせえ!」


 「うううーうひっひひっひひ~~もっとちょうだい……」

 ペートリュー、起きる気配はない。プランタンタンもすぐさま諦め、

 「ほんっと、しょうがねえでや……」


 ふと、ペートリューが枕にしている、くしゃくしゃ・・・・・・の物体に気がついた。紙のように薄い何かを重ね、丸めている。


 間違いない。

 あの、ゲベル人たちが集めていた謎の金属片だ。

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