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第6章「(ま)おうさま」 5-5 合魔魂(テルミル)

 (おそらく、レミンハウエルより話だけは聞いていたのだろうが……あれ・・を行うには……最低でも、濃い赤色のシンバルベリルでなくては意味がない……黄色やそこらを、幾つ集めようと無駄だ……!)


 そして、小さく首を振った。

 「哀れな……」


 ペートリューがタケマ=ミヅカの言葉と表情に息を飲み、顔を歪めてストラとプラコーフィレスへ視線を戻した。


 そのストラ、次元攻撃の中、次元干渉中和波を放つ。

 一時的に、待機潜伏モード自衛戦闘レベル3を起動させたのだ。

 レベル3は、位相空間制御プログラムの使用が可能になる。


 待機潜伏状態では、戦闘モードはレベル3が最高で、これ以上の戦闘は出力が桁違いになる準戦闘セミバトルモードとなる。


 準戦闘セミバトルモードはレベル5まであり、それを超えると、完全な戦闘行動開始となる。戦闘バトルモードはレベル23まであり、最高出力は1Mt水爆100億個以上に匹敵するが、現状のエネルギー総量では、夢のまた夢である。


 だが、この程度・・・・の次元陥没攻撃を中和するには、充分だ。


 プラコーフィレスは、エーンベルークンより託されたレモン色にまで退色したシンバルベリルと自らのシンバルべリルを使い、自身をシンバルベリルと一体化させ、膨大な魔力を直接放出させる秘技「合魔魂テルミル」を発動させた。これは、タケマ=ミヅカの予想通り、レミンハウエル直伝だ。


 が、習っただけで、ぶっつけ本番である。


 そもそもシンバルベリルを自身の肉体に埋めこむのは、ただ所持して使用するより桁違いに多く、かつ速く魔力を消耗する。


 加えて肉体や精神の強度には限界があるし、またシンバルベリルの出力によっては、自滅する恐れすらある。


 そこで、ただ埋めこむことを超え、完全にシンバルベリルと肉体・精神を一体化・・・させ、云うなればシンバルベリル生物とも云える存在に「進化」あるいは「昇華」する秘術が、合魔魂テルミルだ。


 そうすることにより、物理的に肉体は永久結晶化し、膨大な魔力の流れに耐えられる。魂は精神体となり、肉体の限度を超えて極大的な量の魔力を自由自在に操ることができる。


 その魔力を使って、次元陥没攻撃……次元の穴ワームホールを造り、そこにストラを「封印」しようという作戦であった。


 これは、生身の肉体では無理な相談だ。シンバルベリルを二つも制御するなど、不可能だ。肉体も精神も耐えられない。


 それを耐えられる状態が、合魔魂テルミルである……いや、合魔魂テルミルしかない、とプラコーフィレスは判断したのだ。


 しかし……。


 タケマ=ミヅカの云う通り、合魔魂テルミルという超絶秘術を行使するには、魔力が足りなさすぎる。少なくとも、黒がかった赤……血色や臙脂色のシンバルベリルが必要だ。赤黒や、黒色が理想である。


 それほど魔力を使うし、扱う魔力も膨大なのだった。

 従って、プラコーフィレスの合魔魂テルミルは、不完全だった。


 また、黄色のシンバルベリル程度の魔力使用による次元干渉など、ストラにとっては待機潜伏モードで対応できるほどの「浅さ」だった。


 小型ブラックホールにも匹敵する超重力次元穴が発生した、この世界に飛ばされた際の次元破砕攻撃の、数京分の一の規模……といったところだ。


 それでも、次元陥没は代官所から一気にヘーゲル宿全体へ広がり、時空がゆがんだ。そして、それに伴う干渉波が宿場の人々を襲った。


 「な……なんだッ……!?」

 「うわあ!」

 「ギャアア!!」

 次元振動にとらわれて、建物が崩れ、人々が倒れ伏した。


 聖騎士たちは、ルテロークを除き、とっくに次元振動に飲まれて粉々になり、霧散している。


 そのルテロークも、プラコーフィレスの憑代よりしろになっていたから未だ無事なだけで……いや、見た目は無事だが、もうまとも・・・ではない。


 膨大な魔力に取りこまれて肉体・精神ともに変質、単なる魔力の受け皿のようになり、プラコーフィレスの部品としての機能しかなくなっている。


 ストラは、まずそのルテロークに中和波を集中した。プラコーフィレスから、ルテロークを起点にして次元干渉が行われている。


 波動が虹色のオーロラめいてゆらめき、六重の翼のようになってストラの背後に現れた。

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