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第6章「(ま)おうさま」 4-23 妖怪酒よこせ

【おしらせ】

1週間半ほど入院していました(˘ω˘)

皆様も健康管理に留意していただけると幸いです。

連載を再開します(^ω^)


 「おい、オレにもよこせ」

 「へっへ、へ……そう云うと思ってたぜ……」

 そやつが、もう一本、取り出した。

 「ずいぶん気が利くなあ」

 二人が地面に座りこみ、グビグビりだした。


 その様子を、両開きドアの隙間から、ペートリューが覗いている。

 「う……うう……!!」

 焦点が、二人の飲むワインに集中した。

 無意識のうちに、ストラと出会ってから一度も使ったことのない魔力が集まった。


 「おい……憂さ晴らしに、あいつを輪姦マワしてやるか」

 「ちょっと、汚ねえけどな」

 「なあに、意外といいカラダしてたぜ」

 「ようし、団長にも禁じらえてねえしな。これくらい、褒……」


 やおら、ものすごい破壊音と共に太いかんぬきのかけられた納屋のドアが中からぶち開けられ、魔力を・・・全身に・・・纏った・・・ペートリューが飛び出てきた。


 「ウウウウウ!!」


 そのまま両手両足を縛っている荒縄も引きちぎり、衝撃でぶっ飛んだ二人が手放したワイン瓶を拾い上げるや、一瞬にして飲み干した。


 「なな、な……!!」

 二人には、ペートリューが人狼にでも変貌したかに映った。


 なぜなら、その両目が、昼間でもよく分かるほどに魔力で爛々らんらんと光っていたからである。


 これは、魔力そのものを全身強化に使う「格闘魔法」の、魔法とも云えぬ基本中の基本「動作」だ。


 ペートリューは、酒欲しさに無意識でそれ・・を行っているのだった。


 空になった瓶を放り捨て、項垂うなだれていたペートリューがゆっくりと振り返り、その光る目を二人に向ける。


 「…ぅわああああ!!」

 「お助けえ……!」

 二人が、転がるようにその場より逃げ出した。しかし、


 「……さああああけえええええ!! さああけえええええええよおおおこおおおおせええええええええええええ!!!!!!! 」


 まさに鬼みたいな形相でボサボサの茶髪を振り乱し、目を光らせ、ペートリューが二人を追いかけた。


 「ギャアアアアア!!!!」

 「たああすけてくれええええええ!!!!」

 若い凶賊の下っ端の二人、悪魔から逃れるように、命懸けの全速力で駆けた。



 そのころ、ストラ、プランタンタン、フューヴァの三人はホテルを出て、街道警備本部リピー支署に向かった。我々で云う、警察署と軍隊の地方駐屯地を合わせたようなところである。ただ衛兵として宿場の治安を維持するだけではなく、王国中央部の街道全体の警護や魔物退治、賊退治を担っているので、非常に規模が大きい。


 「えー、すいやせん」


 受付でプランタンが揉み手に上目使いでそう云うが、背が低いので窓口のおやじは気づかなかった。


 「すいやせん」

 「?」

 やっと声に気づくが、窓の外を見もしなかった。

 「おい、こっちだ!!」

 舌を打ったフューヴァが、窓を叩く。

 「なんだ!」

 同じく舌を打ったおやじが、荒々しく声をあげた。

 「ネタを提供する代わりに、人を探してほしいんだ」


 云いつつ、素早くフランベルツ銀貨を1枚、出す。相場があるので額面通りとは行かないが、10トンプだ。


 「……」

 おやじが何事も無かったように銀貨を受け取り、

 「ネタだと? なんのネタだ?」

 「アンタに話して、兵が動くのか?」

 「なんだと?」

 「銀貨で我慢しておけよ、余計な欲は、身を亡ぼすぜ」


 もちろんハッタリだが、ただでさえ暗黒歓楽街ギュムンデ育ちであるうえに、フューヴァは既に魔王のマネージャーのようなものだ。これまで、ストラの超絶的戦闘の数々を目の当たりにしてきて、こんな警備兵詰所の窓口のおやじなど、相手にもならぬ。


 フューヴァの据わりきった快楽殺人者のような眼差しに唾を飲んだおやじ、

 「ま、待ってろ……」

 静かにひっこみ、それっぽい・・・・・階級の壮年の兵士が現れる。

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