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第6章「(ま)おうさま」 2-3 タケマ=ミヅカ

 すると、どうだ。


 (これは……魔力子マギコリノによる疑似物質・・・・……!! この人……膨大な魔力子マギコリノの『塊』だ……!! それを、何者かが遠隔操作している……!? しかし、シンバルベリル反応は無し……! いや、この人・・・自体が・・・シンバル・・・・ベリルに・・・近い・・……!!)


 女が、さらに唇の端を満足そうに曲げた。

 「さすが、新たなる魔王……さっそく、身共の正体に気づいたようだな?」

 「…………」

 ストラが左の歩を引いて半身に構えたので、

 「こりゃ、旦那は本気でやんす!」

 と、後ろのプランタンタン達がさらに下がって、村はずれまで戻った。


 すると、あわててウェッソン達も下がったので、村人らも何事かと集まりだした。

 ウェッソン、まずいと思ったが、ストラから目が離せぬ。


 「落ち着かれよ……身共は様子見に来ただけ……いま・・やり合うつもりはない」

 女が、そう云って両手を上げる。


 「では、そのうち、戦うと?」

 「そうかも……」

 「今はただの情報収集?」

 「いかにも……観察者だ」

 「観察者……?」

 「うふふ、ふ……」


 嬉しそうに含み笑いをうかべ、女、

 「で、其方そのほう、レミンハウエルから、何と名乗れと伝えられた?」

 「……?」

 「魔王号だよ」

 「ああ……」


 なんだっけ、と思いつつ、すぐに記録情報へアクセス。

 「イカイマオウ……とか、イセカイマオウ……とか……」

 女がプッ、と失笑。楽し気に、


 「異世界魔王? なんだ、そのふざけた・・・・号名は……其方そのほう、まことにこの世ならざるなる世から来たのか?」


 「…………」


 「まあいい……そういうこと・・・・・・にしておこう。では、異世界魔王よ、そのうち、また」


 云いつつ、女の存在が「薄く」なりかける。

 転送だ。ストラがそんな女を観測しつつ、

 「名前は?」

 「タケマ=ミヅカ……」

 そのまま、消えてしまった。


 「消えた……!」

 「魔法戦士!?」

 「いや、魔力がぜんぜん動かなかった!」

 「魔法の物品か!?」


 ウェッソン達は、ストラどころではなくなってしまった。

 「まさか、魔王の仲間か……!?」

 その疑いも出てきたからだ。

 それは、エルステル達も同じである。

 「レ、レームスに知らせなくては……!」


 エルステルが、伝達魔法を唱えた。この世界でよくある、例のカラスではない。伝達カラス魔法は、魔術師以外同士の伝達に使われる一般的な魔法だ。安易に飛ばせば、たちどころにストラや他の勇者チームの魔術師に知られる。魔術師同士の極秘伝達は、もっと高度な伝達魔術がある。


 ようするに、テレパシー魔法と思えばいい。

 ただし、人間のレベルでは、近距離に限られる。


 遠距離では、魔術師同士でも伝達魔法が使われる。が、カラスとは限らない。


 いま、エルステルからバーラに話が伝わり、手短にバーラがレームスに報告した。


 先回りし、街道で待ち伏せていたレームス、


 「クソッ、さすが魔王だ、想定外なことが起きるな……! ウェッソン組と、挟撃も視野に入れる。様子を見ろと伝えろ!」


 仕方も無く、エルステルが指示をし、アナーゼルとベロウと共に三人して村はずれの建物の陰で小さくなって様子をうかがう。


 それをまた、作業中の村人が怪訝な顔で見ていた。

 「ナニをやってんだ?」

 「さあ……」


 「勇者ってえのもよう、いろんなことをやって、あれはあれで大変そうだ。さ、行くぞ。かまうな」


 村人にとって「勇者」や「冒険者」などというのは、そんな程度の認識であった。

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