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第5章「世の終わりのための四重奏」 6-4 凄絶、直接攻防

 「私が、魔力を吸う妙な力を封じる! お前らは、直接攻撃で体力を削れ!」


 魔王自らストラに最接近、ストラの余剰エネルギー回収効果場フィールドを中和する。ストラはエルフ達に向けて放っていた効果場フィールドも展開中止し、三人……いや、三つの高濃度シンバルベリルを相手に、直接対応を迫られた。


 (エネルギー総量が持つか……)


 三人のあまりの猛攻に、自動的に準戦闘セミバトルモードに移行してしまったら、もうアウトだ。絶対的なエネルギー総量不足で、強制シャットダウンを食らい、スリーブモードに移行する。


 (この程度・・・・の攻撃で……そんなことにはならないだろうけど……)

 ここまでエネルギー総量を失った経験がないので、まったく分からなかった。

 とにかく、工夫して戦うしかない。


 光子剣アンセルムを右八相に構え直し、超高速行動ハイ・マニューバからレミンハウエルめがけて超絶高速斬撃をお見舞いする。純粋かつ単純な、超絶細切れ攻撃だ。ミキサーよりも凶悪な速度で、光の刃が魔王を襲った。あまりに高速なので、煌めく光の塊に見える。


 「生意気な!!」


 レミンハウエルが、先ほどと同じ要領で、大魔力を直接防護壁として利用する。これは、魔力がケタ違いの上級魔族ならではの魔力の遣い方・・・で、人間やエルフ等ではこうはゆかぬ。通常は、魔術式を通して魔力を他の力や効果に「変換」しないとならない。上級魔族以外が魔力を直接遣うには絶対量が足りなさ過ぎて、変換するよりはるかに小さな効果しか得られないうえに、そもそも直接の遣い方(制御方法)がよく分からないのだ。


 光の塊と魔力の塊が激突し、二人のエルフも驚いて目をむいた。こんな光景は、想像だにできぬ。


 そしてストラの超絶高速光子斬撃を、レミンハウエルは赤黒くどよめく魔力の楯でガッチリと受け止め、押し返しはじめた。


 (魔力子マギコリノの分厚い楯……流動的に特定のパターン文様が生じて、光子を弾く……しかも、物理的にも攻撃を充分に防ぐ厚さを持っている……!)


 ストラはいったん離れ、間合いを取って超高速行動ハイ・マニューバを解除した。

 (いまだ……!!)


 そこを、レミンハウエルが反撃。同時に、エルフ達も浮遊魔法を駆使し三方より三次元立体攻撃を仕掛ける。


 エルフ達の斬撃と、レミンハウエルの翼のように広げた魔力の刃を、ストラは一身に受けた。


 かに見えたが、空間防御壁が展開している。


 超重力及び位相空間転移次元反転効果によりストラの周囲の空間がひずみ、エーンベルークンのグレーン鋼剣は全く関係ない虚空を斬り、プラコーフィレスの剣はひずみにはまって空間に固定された。


 そこに魔王の両手に広がった魔力による赤黒の刃の翼が襲い、空間の歪みに沿って流れ、あやうくプラコーフィレスを三等分にするところだった。もちろん、ストラがそうなるように空間を操作し、誘導した。


 「…!!」

 レミンハウエルが瞬時の魔力を消し去り、プラコーフィレスを救う。


 そこを逃さず、ストラがレミンハウエルの首めがけて光子剣アンセルムを至近距離から一直線に叩きつけた。


 (クソが!!)


 そうはさせじとプラコーフィレス、空間に固定されている剣を逆に利用して、剣を掴んでいる左手に全体重を乗せて伸びあがり、下段からストラに蹴りを放つ。


 それがストラの顔面にヒットし……たが、まるで石像でも蹴っているかのような衝撃がプラコーフィレスの右足に返ってきた。


 「……!」

 膝と足首に激痛が走って、プラコーフィレスが呻きながらよろめいた。


 一方、レミンハウエルは高濃度魔力を集め、首がくの字に折れながらも、ストラの斬撃を耐えた。ストラはしかし仕切り直しを許さず、そのまま左手を剣より離し、レミンハウエルに掴みかかった。


 そして、効果場フィールドを介さず、直にレミンハウエルより魔力を吸収した!

 「グェァウアアァアアア!!!!」


 さすがに、魔王が絶叫。効果場フィールドから魔力を奪われた時の、数倍の衝撃が走った。


 空間歪曲効果により明後日の方向に飛ばされたエーンベルークンが急カーブで戻り、レミンハウエルの首に刃を突き立てつつその肩口を押さえるストラの背後に迫った。


 当然、自動オートでまたも空間防護壁がストラの背後に現れる。

 そこはエーンベルークンも歴戦の手練れだ、そうそう同じ手は喰わぬ。

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