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第4章「ほろび」 3-2 濃い青の宝玉のついた杖



 本陣では、中央にラグンメータが座り、周囲にサンタール、ンスリー、ピアーダ、ピアーダの副官のセンバレンがいた。


 一方、ストラ側はストラと、その後ろに三人が控えている。本来であればテントの外で控えている身分だが、ストラが入れさせた。


 センバレンの後ろにはちゃっかりシュベールもおり、プランタンタンとフューヴァは驚いて目を丸くした。シュベールが、片目をつむって見せた。


 「聴いたぞ、補給部隊を、敵の魔物が襲ったんだってな!」

 ラグンメータが、興奮して声をあげた。

 「はい」

 「それを、瞬く間に撃退したと!!」

 「はい」

 「ピアーダ将軍、ストラを後方に回して、大正解でしたな!」


 「え、ええ……まあ」

 ピアーダも、驚きと困惑を隠せない。

 「では、次の任務を」

 ラグンメータがどこから説明しようかと、一瞬躊躇したが、


 「詳しい説明は必要ありません。私は、金銭で雇用されているだけの外部戦闘力にすぎず、私をどう使うかの責任はラグンメータ卿を含む皆さんにあります。私はただの剣で、剣を振るうのは皆さんです。皆さんの戦闘事情には、一切関与しません。何をいくらでするのかだけ、お話しください」


 「む……」

 一同が、表情を引き締めた。

 「分かった。ピアーダ将軍」

 「ハ」

 ピアーダが前に出る。

 「で、あれば話は簡単だ。敵の魔術師ガルスタイの、石巨人の軍団を殲滅せよ」


 「殲滅ですか」

 「そうだ、一体残らず破壊してほしい」

 「わかりました」

 ラグンメータがうなずく。


 しかしサンタールやンスリー、センバレンは、

 「安請け合いしすぎじゃないか?」

 「できるのか?」

 「強いのは分かるが、あの石巨人軍団、けっこうな魔術だぞ」


 等と、ボソボソ話し合った。が、ギュムンデの壊滅を目の当たりにしているシュベール、サッと前に出るや、


 「まあまあ、皆様方。ストラさんが、どこまで本気を出すか、です。私は、ギュムンデでストラさんの恐るべき力を実際に見て知っております。ストラさん、一つ、条件が」


 「なんでしょう」


 「敵を倒してもガニュメデが焼野原では、我々が困ります。なるべく、都市を破壊しないでいただきたい」


 「善処します」

 「善処ですか……」

 シュベール、苦笑。いや、笑えない。

 「御願いしますよ……できるでしょう」


 「なぜならば、敵の魔術師は、かなり強力なシンバルベリルを所持・使用しております。シンバルベリルを誘爆させないで戦闘を行うには、攻撃方法が非常に限定的に」


 「シンバル……?」

 知らない者はきょとん・・・・としたが、ラグンメータとピアーダはそれ・・を知っていた。

 「将軍、そうなのか?」

 とラグンメータに問われ、ピアーダ、


 「あ、ハ、ハイ。確かに、ガルスタイ殿……いや、ガルスタイめは、見事なまでに濃い青の宝玉のついた杖を愛用しております。宝石にしては異様な輝きだとは思っておりましたが、まさかシンバルベリルだったとは……」


 「な……なんですか、その、シンバルベ……リルって……」

 ンスリーの問いに、ラグンメータが答える。


 「何百人……何千人……モノによっては何万、何十万人分もの魔力を凝縮した魔法の球だ。そうか、その魔力で、あの石巨人の軍団を操っているんだな……。あんな軍団の統率、一人でできるはずがないと思っていたが……シンバルベリルだったか」


 「そっ、それが誘爆? すると、どうなるんだ?」

 サンタールも、焦る。


 「推定では、3,500から4,000人分の魔力子マギコリノ……いえ、マリョクを凝縮し、貯蔵しています。一気に放出されることによる相乗爆轟効果を加味すると、我々ごとガニュメデ市は灰燼に帰すと思われます」

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