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第17章「かげ」 4-22 魔神の思惑

 だが玄冬のそれ・・とは種類や理論が異なり、無限に存在するわけではない。

 存在数は9体だった。


 むしろ、強大な魔神が9体に次元分割させられて、それぞれ封印されていると云ったほうが、話が早いかもしれない。


 まったく同様ではないとはいえ、玄冬の例を参考にするならば、9体とも封印が解かれた場合、合体したその力や存在は9乗(1億倍)となる。


 しかも、分割された1体でこの世界の魔王級の力があるとしたら……?

 マーラルが「絶対に倒せない」というのも、分かろうというものだ。


 これを完全に倒すには、人を超えるだけではなく、神にも匹敵する超絶的な存在でなくば、おそらく無理だろう。


 なぜなら、ゾールンの本存・・は、文字通り何処かの次元のどこかの世界の神……第九天限竜魔皇神だからだ。


 しかし、三次元時間では、もう何億年も、ゾールンは9体に分割されて封印されたままであった。


 どういうことかというと、9体そろって同時に封印が解けなくては、意味がないからだ。


 加えて、ゾールンでは他の次元のゾールンの封が解けない。そういう封をされているし、そもそも自分で自分の封が解けたら、封印とは云えない。


 たまたま何体か同時に封が解けたとしても……5乗体や6乗体でも、ほぼ無敵の存在ではあるのだが……完全体でなくては、いずれは肉体が原子崩壊して滅ぶ。ゾールンにとっては、マジで意味がない。


 つまり、偶然ながら9体そろって同時に封印が解けるなどというのは、超天文学的な確率であり、そうなるのを待っていたら宇宙が何巡するかもわからないというレベルだった。


 だがゾールンは狡猾な根を張り、この世界で「テトラパウケナティス構造体」という、これまで見たことも聴いたこともない存在を知った。


 ゾールンも魔神なので、どうしても魔力を頼って様々な次元を捜索、探索していた。


 魔力のまったくない世界というのは、ゾールンといえども探索対象外(範囲外)だったし、そんな世界があるなどと、想像もしていなかった。まして、ストラほどの兵器・・が生まれるまで、文明が発達していようとは。完全に魔力の無い超高度文明が、この世にあり得ようとは。


 (アイツ・・・をうまく使えば、複数次元に同時にクサビを打てるかもしれねえ。封の一角でも破壊できれば、あとは連鎖だ……魔力ではけして破壊できねえ封も、アイツ・・・の力をうまく使えば……)


 ゾールンは、そう考え始めていた。

 (なあに……時間はたっぷり・・・・とあらあな……)


 鍾乳石である氷柱石、石筍、それらがくっついた石柱が何重にもなっている奥で、結晶が鈍い共鳴音と共に発光した。


 「偉大なるゾォールゥー様の御神託だ!!」

 密林エルフの大神官が叫び、ゾールンの声を聴いた。


 ゾールンは、現在のチィコーザ王国南部荒野の廃神殿に封じられていた時点で、すでにヴィーキュラーガナンダレ密林エルフや一部の南方人と接触を持っていたことが分かっている。


 なぜなら、タケマ=ミヅカ達がゾールン(の魔力分体)と廃神殿で戦ったとき、数百人もの密林エルフや南方の戦士が主兵として出現したが、それらの一部をシンバルベリルに似た魔力結晶と融合させて強化していたからだ。


 その後、帝国成立の300年後にヴィヒヴァルン初代王ルートヴァン1世ことミハルシャ・ソレムニスこと大魔術師ソレムがこの巨大な十面体を遠く南方ガナンの地に移封いほうしたのだが……どうしてガナンだったのか、誰にも分からない。元々この封印結晶はガナンの地にあって、チィコーザの荒野にあったのはその出張所的なものだったのかもしれないし、ゾールンはチィコーザから何らかの方法でこのガナンと接触しており、移封される際にそのつながり・・・・を伝って自らガナンに飛んだのかもしれなかった。


 どちらにせよ、ゾールンが本格的に動き出したと云えよう。

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