表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1219/1276

第17章「かげ」 4-2 激戦

 その復元を、ロンボーンとゴルダーイが供給される魔力を遮断して押さえ、タン道士と玄冬がイヴァールガルを補佐して攻撃を加え続ける。


 「魔力結晶を引き剥がせ!」

 タケマ=ミヅカが叫び、マーラルが黒シンバルベリルの物理的な遮断を試みる。

 それを繰り返し、すでに9度目の挑戦だった。

 みな、満身創痍だ。

 これで失敗したら、世界は滅ぶ。

 最後のチャンスであった。


 だが、古クールプールラーン神も、最初に比べるともう7~8割がたの力を失い、復元力も格段に落ちていた。動きも覿面に鈍い。


 (行ける!)

 全員が確信した。


 タケマ=ミヅカの直掩であるブーランジュウが魔剣リューゼンを振りかざし、無数の触手を打ち払いつつ、3つの黒シンバルベリルに接近するタケマ=ミヅカを助ける。


 タケマ=ミヅカが、巨大な黒シンバルベリルにこれまでで最接近した。

 クールプールラーン神が、吠えた。

 「押さえろ! 行ける! 行けるぞ押さえろ!!」


 マーラルが叫び、クールプールラーン神の肉体に食いこんでいるイヴァールガルが滅茶苦茶に暴れた。しかし、クールプールラーン神が強力にシンバルベリルから魔力を吸い出し、時間でも戻しているかのごとく身体を復元させた。


 「こやつ……どこに、こんな……!」


 ロンボーンが焦る。ロンボーンは精神体アストラル・ボディがもう持たず、次元の裏に隠れている銅鐸のような本体が現れる寸前だった。とにかく魔力を集め、神の魔力回路を遮断する。


 「うううう……!!」


 魔力は強いが、肉体はまだ少女のゴルダーイが、自分の魔力に押しつぶされそうになった。


 「ゴルダーイ、無理をするでない!」

 ロンボーンが叫ぶが、

 (こんな状況で、無理するなも何もないか……!)

 そう思って、皆それぞれの判断に任せる。

 「うわあああああーーーーーッ!!」


 ゴルダーイの天の眼が数百も出現し、クールプールラーン神に突き刺さった。

 とたん、充血したゴルダーイの右目が破裂した。

 「ギァッ!!」

 血を振りまいて、ゴルダーイがひっくり返った。

 「ゴルダ……!」


 ロンボーンに一気に負担が来て、精神体アストラル・ボディが吹き飛んだ。

 どうしようもなく、銅鐸が現れる。

 赤シンバルベリルが輝き、銅鐸が開いて内部の赤シンバルベリルも展開した。

 だが、それでも黒シンバルベリル3つ分の魔力奔流を押さえきれない。

 (わ……我もここまで・・・・か……!?)

 銅鐸姿のロンボーン、流石に諦めかける。


 そこに、右目を失ったゴルダーイがガバリと起き上がり、鬼みたいな表情で復活した。


 2人で、さらに猛悪的なまでの魔力を押さえた。


 その隙に、ひたすら空間を遮断して巨大な3つの黒シンバルベリルを完全にクールプールラーン神より引き剥がしたマーラル、


 「いまぞ!!」


 タケマ=ミヅカが、ついに黒シンバルベリルとの合体に入った。後に合魔魂テルミルと呼ばれるものだ。


 クールプールラーン神が、ありったけの魔力と触手を無防備のタケマ=ミヅカに向けた。


 「ぬあああああ!!」

 ブーランジュウがその前に立ち塞がる。

 一撃で爆発四散した。

 だが、攻撃を相殺した。

 ブーランジュウの首が、ゴルダーイの近くに飛んで転がった。

 「ゴルダーイ! あたしのシンバルベリルを!!」

 云って、ブーランジュウの頭がボロボロと砕けて消えた。


 ひとつ目のように顔の中央にあった赤シンバルベリルが、ゴルダーイの足元に転がった。


 ゴルダーイが咄嗟にそれを拾い、右目を失った眼窩に入れた。

 「うあああああーーーーーッ!!」


 ゴルダーイからとんでもない神聖魔力がほとばしり、巨大な天の眼がクールプールラーン神に咬みついて魔力を吸収した。


 「ばかもの! おまえが破裂するぞ!」

 銅鐸のロンボーンが叫び、ゴルダーイを無理やり吹き飛ばして止めさせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ