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第3章「うらぎり」 4-6 謀叛

 「敵、第二次攻撃の開始を確認。相手は、死を賭しています」


 云うが、天井や床板より、かねてより切りこみを入れておき、いざというときに破りやすいよう細工されていた箇所が今まさにぶち抜かれ、原始的な炸裂弾が複数、放り投げこまれた。


 その数、六発。

 要人暗殺には多すぎる。

 この宿舎ごと、木端微塵にする規模だ。

 が……。


 導火線着火式の黒色火薬炸裂弾など、ストラの前では、もはや武器ですらない。


 再び準超高速行動セミ・ハイマニューバに移ったストラが、その六個を全て回収し、導火線を切断して不発化する。火のついた導火線は血だまりに捨てられ、消えた。


 すかさず、八人のグルペン兵が決死の突撃を慣行。


 ストラが炸裂団を床に放りだし、それが床に落ちる前に、旋回斬によって八人が幾重もの輪切りにされて、人間だった部位が血の海に転がった。


 ビシャビシャと血の雨を浴びたラグンメータとルシマーが瞬きをしている間に、15人のグルペン兵は全滅していた。


 「戦闘終了します」

 体振動ボディ・ソニックにより返り血を弾いたストラが、ゆっくりと納刀する。

 それから、三人ともしばし無言だった。

 「あ……ああ」


 ラグンメータが我に返り、血しぶきに濡れている顔を手でぬぐった。その手が真っ赤に染まり、改めて広間が血の海なのを認識する。


 「大隊長殿! 物音がしまし……うわあああああ!!」

 異変に気づいて入ってきた兵士が、惨劇に腰を抜かした。

 「だ! 誰か!! 大隊長が! 大隊長が!!!!」

 仮宿舎が騒然となり、ラグンメータ隊全体も大騒ぎとなった。


 その騒ぎはすぐさま軍全体に伝わり、カッセルデント将軍にも報告が入る。将軍は自室で寛いでいたが、すぐさま執務室に現れた。


 「どうした!?」

 「敵襲! はっは、白昼堂々! ラグンメータ様が襲われましてございます!」

 「ラグンメータはどうなった!?」

 「討ち死にされた模様にて!」

 将軍が、思わず手を打った。

 「よくやった!」

 「ハッ! ……あ、え、エエッ!?」

 伝令、当惑。無理もない。


 「ラグンメータめは、わしに対し謀反を企てていたのだ! ゆえに、わしが誅殺した!」


 「……なんですってえ!?」

 「全軍へ伝えよ!」

 「……! !? ……!?!?」

 「とっと行かぬか!!」

 硬直する伝令を怒鳴りつけ、カッセルデントが作戦を進める。


 「ジュルジャーを呼べ! サンタールとンスリーは、待機していろと伝えろ!」

 別の伝令にそう伝えたが、また異なる兵士が転がるようにやってきて、

 「ラグンメータ様が! 御謀反!」

 「だから! 先にそう申しつたえ……」

 「サンタール様とンスリー様も、意を同じくして兵を!!」

 「なんだと!?」

 将軍、あわてて表に出た。


 いつもなら昼寝や軽運動に勤しむ午後のけだるい時間帯、陣は殺気だって騒然としていた。


 「閣下、どうか御逃げ下さい!」

 「ラグンメータ様、サンタール様、ンスリー様が御謀反です!」

 100やそこらの近衛兵では、三大隊2500の兵にどうしようもない。


 「ジュルジャーはどうした!!」

 「わかりません!」

 「既に討ち取られたやもしれませぬぞ!」

 「閣下、御早く!」


 近衛隊長が急かすも、カッセルデントは怒り心頭でブルブルと震えるばかりだった。


 そこを、たちまちのうちに200の兵が司令官宿舎を取り囲んだ。

 もう、脱出不可能だ。


 と、返り血で全身が真っ赤のラグンメータを先頭に、サンタールとンスリーが角馬に乗って現れた。角馬は、マンシューアルで乗用に使っている、首の短いキリンのような生物だ。(色は黄色地に黒の網目模様ではなく、茶や黒である。)

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