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11 ※レイヴンside

本日も朝と夜二話投稿します。

12話にて完結、番外編へと続きます。

「まず、一つ。相談しろ。

私にもその未来の話を共有してくれていたら、もっと早くから対策が出来たかもしれないし、もっと良い案が出たかもしれない。

二つ。王太子が危険な事ばかりするな。

身体が弱いのは今もだろう。幾ら無力化の魔道具を持っているのが自分だけだとはいえ突っ走り過ぎだ。誰かを頼ろうとしろ。それすら突破されかけていたでは無いか。」


ゴゴゴと地鳴りがする程凄みながら彼女は僕に問う。

先程までとは違う汗が流れて何て言い訳をしようか考えてしまったが、それ以上に嬉しさが込み上げた。

今も身体がそんなに強くない事は確かだ。幼い頃に比べると寝込んだりする事は減ったし、ある程度身体を動かしていても大丈夫にはなっているが。


「ご、ごめんね。本当に心配を掛けたし、長い間待たせてしまったから…。」


「もし、私への相談無しに今後もこういう事が起きるなら色々考えさせて貰うからな。」


彼女はそう言って少し頬を染めてプイッと横をむいてしまった。

僕を心配して言ってくれているのだと思うと胸が温かくなる。

そして、自分を頼れとこれからの未来も約束してくれているのだ。


「…何をニヤニヤしている。」


「いや、君が未来の僕の奥さんで頼もしいなって。」


「なっ!?……レイはそういう事を恥ずかしげもなく言う…。」


ギロリと睨まれても僕には可愛いとしか思えないのだが、他の奴からみたら背筋が凍るんだろうな。

実際今まで言えなかった分、沢山愛を伝えなくてはと思っている。


「恥ずかしく無いからね、本当の事だし。僕がルルーシュアの事が大好きなのは変わらない事実だよ。」


「んんッ。どうして…、レイは私の事が好きなんだ?」


「どうして?……そうだね、一目惚れ、かな?」


彼女は直接的な言葉に恥ずかしくなったのか、大きな咳払いをして誤魔化す。

素直な疑問を返した僕も自分で言って少し恥ずかしくなったが、ルルーシュアに抱き上げられたあの日、本当に一目惚れをしたんだと思う。


「最初は一目惚れだったけど、君を知る度に好きになった。それは今も変わらない。

会っては居なかったけど……、ずっと傍で見ていたんだ…。」


「ずっと、傍で?」


「白い、フクロウを知ってる?」


「えっ、もしかして」


「ふふ、あれは王家に相談役として代々この国に居てくれている精霊だよ。先祖返りと呼ばれる僕とは仲が良くてね。君の事をずっと見ていて貰っていたんだ。」


そう言うとポカンと口を開けて驚いている彼女が可愛くて笑ってしまう。

まさか精霊にずっと見られていただなんて思わなかったのだろう。

シンフーの事も追々話していければなと思った。


暫く放心状態の彼女にいたずら心が擽られ、頬を手で触れると彼女はみるみるうちに赤くなってしまう。


「なななななな、何をしているっ。ま、まだ三つ目が言えていないっ、三つ!!


マリカ=ディボルの処遇をどうする?」


彼女はグイグイと僕を手で追いやり、少し間を開けて座り直した。

話しを逸らされてしまった。

いい所だったのに、残念だ。僕の婚約者さんは照れ屋さんらしい。二人きりなのにね。


「ん~、正直厳しい。本人の意思では無いかもしれないが、王太子である僕に牙を向き自分の意のままに操ろうとしたんだ、極刑は免れないだろう。判断するのは国王だ、僕じゃないしね。魅了(チャーム)の方は精霊界に送り返そうと思っている。あちらの不手際だし、精霊の処分の仕方は僕達には分からないからね。」


「そうか…。」


「うん、マリカ=ディボルの癒し特化の光属性は希少だから残念だけど。」


すると、彼女は顎に手をやり暫く黙り何かを考えているようだった。

そして少しすると、とても悪そうな顔でニヤリと笑った。


「私に良い考えが有るんだが、聞きたいか?」


何だか嫌な予感がしたのたが、僕は渋々聞いてみる事にした。


ーーーーーーーーーーーーーー


「…!?確かに、それなら極刑になる事は無いし色んな所に恩を売れそうだけど…、ルルーシュアは大丈夫なの?」


「あぁ、きっと大丈夫だ。」


ルルーシュアは美しく笑った。寛大で、それでいて彼女らしい答えだ。

僕の役目はそれをどう国王である父に話すかだ。骨が折れそうだが、出来ない事ではない。


やはり、ルルーシュアは王妃になるべくしてなるのだなと、自分の選択は間違って居なかったのだと感じさせられる日だった。



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