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本日二話投稿しています。

本編12話にて終了致します。

「しょ、けい……?」


当時仲良く遊んでいた娘を自分が処刑台に送る未来を見たのだ、衝撃以外の何物でもないだろう。

私自身、自分が断罪される未来は信じられない。


「あぁ。僕がマリカ=ディボルと恋に落ち、それに嫉妬した君がマリカを虐めているという噂が流れ、真に受けた愚かな僕が君を断罪するんだ。

その未来を見た僕は、まず”おかしい”と思った。」


「何をだ?」


「僕はその頃、既に君の事が好きだったんだよ?そんな人ともう婚約者なのに、マリカ=ディボルに恋をするのはおかしいんだ。」


私は、未来まで好きかどうかは分からないじゃないか…と思ったが彼は真剣そのものだし、話の腰を折るのも無粋なので言うのは止めた。

何だか恥ずかしすぎて、心を無にして聞くしか無い。


「原因はマリカ=ディボルにある、と感じた僕はマリカ=ディボルを探す事にしたんだ。

そして、極力君との接触を避けた。何がきっかけで君を断罪するのかが確実に分からなかったからだ。

未来予知では顔と学園に通っている事しか分からなかった。少ない情報の中、貴族を探し続けていたのだが彼女は隠し子で平民として生まれ育っていたので中々見つからなかった。

やっと、見付けたと思った時には彼女はこの学園へと編入が決まり通い出してしまっていたんだ。ディボル伯爵め、まるで僕が公務で居ない間を狙ったかの様だったよ。多分、それも魅了(チャーム)の作戦だったんだろう。」


「なるほど。」


「そして、魅了(チャーム)はマリカの魔力を食らい続けたお陰で蓄えた力を発揮していた。

魅了(チャーム)の好みか選別かは分からないが出世街道に乗るだろう地位の高そうな男子学生のみがマリカに溺れた。そして、学業を重んじる本来の目的を忘れ、マリカに会えなくなると中毒を起こし、いつでもどこでもマリカに会いたくなり堕落し、取り合い、騒動を起こした。良い人材を軒並みやられたよ。まぁ、お気に入りは残しておいたけど。

魅了(チャーム)の一番の狙いは僕だった。

僕は念の為王家に伝わる魔法を無効化し、害を持っている相手を見付けると自分にだけ分かるよう警報が鳴る魔道具を日々身に付けて居たので、何かの魔法でそうなっている事に直ぐに気付く事が出来た。

なので、彼らの真似をして彼女に擦り寄り観察する事にしたんだ。

暫く観察していると一般学生や、歳の離れた相手、既に役職が決まっていて出世は早々しない相手には魅了が掛かっていない事に気付いた。

そして、もう一つ。マリカ自身が余り乗り気ではない事も。」


彼自身が囮になりそんな事をしていたのかと色々と驚いたが、私は深く頷いた。

良い噂は聞かなかったが、一連の流れを見ていてもマリカ自身が誰かを欲している感じはしなかったからだ。

受け答えもキチンと行い、伯爵家でしっかりと教養を身につけたからこそ自分よりも身分が上の者からの誘いを断れなかったのだろう。


「そして、魔法無効化の魔道具により力を封じてマリカから話を聞くことにしたんだ。

彼女はいつかこうなる事が分かっていたらしく、魔法を封じられていて魅了(チャーム)が眠っている間に僕に淡々と話てくれたよ。

彼女は僕と道端で出会う少し前に小さな黒い兎を見付けた。それが、魅了(チャーム)だ。

いたずらのし過ぎで精霊界を追放され、弱っていた所を介抱したらしい。

それは、何でも願いを叶えてやるから自分をマリカの中に取り入れて欲しいと言った。

幼いマリカはそれなら、と願ってしまったんだ『王子様みたいな人と結婚がしたい』と。」


「!?」


「彼女の希望もあって、研究室で秘密裏にマリカから魅了(チャーム)を魔法石に移して取り出す研究を行い、成功しかけていたんだけど……後は君が知っている通りだよ。」


「理解、した…。そんなに壮大な事が起きていただなんて、今の今まで知らなかった…。」


私は愕然とした。そんなに大きな物事が動いているのであれば、未来の王妃たる私にも何か情報が入って来ていても良い筈なのに完璧に隠されていた。


私を死なせない為に、彼は今まで走っていたのだ。


「何とお礼を言ったら良いのか…。」


「いや、君がお礼を言う必要なんて無いんだ。それに、少なからずこの未来でも君を危険な目に合わせてしまった。」


そう言って彼は申し訳なさそうに微笑む。


「でも私はこうして生きているし、レイが魅了(チャーム)によってマリカを愛して私を断罪する未来は無くなった訳だ。」


ニヤリと微笑むと、彼は驚き目を見開いた。


「ルルーシュア…。そうだね、僕は未来を変えて、君を守れたのかな…。」


「あぁ。ありがとう、レイ。」


「あはは、殆ど君が自ら解決してしまったんだけどね。本当に、良かった…。」


私達は二人して微笑む。レイは今にも泣きそうだが、憑き物が落ちたかのように晴れやかな顔色になっていた。


「だが、私は怒っている。」


「えっ??」


そう、だからこそ言っておかなければ。


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