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潜入開始です

「突然だがお前らに新しい仲間を紹介する。おい、アンジェロ来い」

「はい!」

「こいつはまだ十七歳で、学園に通ってる坊主だが強いぞ。試験的に入団させるからお前ら先輩はこいつよりも強くなれ!じゃないとなめられるぞ」

あまり煽らないで欲しいと思いながら挨拶をする。

「アンジェロ・マルケーゼです。先輩方に負けないように頑張りますのでよろしくお願いします」


まばらに拍手される。皆、私の容姿と名前に戸惑っているようだ。

「あ、こいつは俺の親戚だ。女みたいに華奢だが、馬鹿にすると痛い目見るからな。アンジェロ、おまえは第一部隊に入れ。隊長に色々聞いて頑張るんだぞ」

最後が妙に優しい口調になってしまっている団長を、皆がポカンとした表情で見つめた。


「アハハ、どうやら団長のお気に入りのようね。と、いう事は理不尽な嫌がらせをすると、団長直々に罰が与えられるって事だろうから、皆、くれぐれも騎士道精神から外れないようにネ」

女の人かと見まごう美しい人が、団員に向かって釘を刺す。赤く長い髪を緩く巻いて口元は同じ色のルージュを引いている。長身ですらっとしている。


そんな美しい人がこちらに向き直り

「自己紹介するわ。副団長のジャン・デルカよ。ジャンヌ副団長って呼んでくれると嬉しいわ」

「はい、ジャンヌ副団長。よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げる。

「はい、良くできました。素直で可愛い子は大好きよ」

そう言って頬にキスされてしまった。その向こうで、団長とライ兄様が頭を抱えているのが見えるけれど、私はジャンヌ副団長を一目で気に入ってしまった。お姉様と呼びたい。


ジャンヌ副団長は私にニッコリと微笑む。

「それで、こっちがもう一人の副団長」

そう言われて無理矢理ジャンヌ副団長に私の前に引っ張り出された人が、何故か私を見て呆けたように固まっている。

「ちょっと、何呆けてるの。ちゃんと挨拶なさい」

そう言われて自分を取り戻したのか、軽く咳ばらいをして

「ルドルフォ・スカリオーネだ。副団長をしている。何かわからない事や困ったことがあれば、いつでも相談に乗るから頑張れ」

ちゃんと挨拶してくれた。どうやらこの人がディアナ姉様たちの言っていた人のようだ。


この国最強の剣の腕を持つというから、どんな屈強な人かと思ったら全く違っていた。

確かにこれはうちの男衆と見比べても劣らない程の美形だ。少し長めのサラッとした銀の髪、アメジストのような深い紫の瞳。狼のような鋭い眼差し。この見た目で甘い言葉を囁かれたら、大半の令嬢は落ちてしまうだろう。月の貴公子という名が確かに合っている。


「はい、よろしくお願いします」

先程と同じようにペコリと頭を下げる。

「アンジェロだったか。おまえ……誰かに似てるって言われないか?」

「はい?特に言われませんが」

「そうか……すまん、気にするな」

「?」


「よし、あとはそれぞれ適当に挨拶しろ。一人一人自己紹介なんてやってられないからな。じゃあ、ライモンド隊長とアンジェロは俺と来い。あとは訓練を始めろ」

団長の言葉で一斉に解散した。


「ねえ、団長。アタシも一緒にいいかしら?説明してほしいから」

そう言って私にウィンクしたジャンヌ副団長が団長に詰め寄る。

「やっぱりな。わかった、おまえも来い。ドルフ、訓練の方頼むな」

「はい……わかりました」

なにやら言いたげな雰囲気を見せるも、ルドルフォ副団長は訓練場へと歩いて行った。

「とりあえず、俺の執務室だな」

そう言って、団長が先導して行く。執務室は訓練場のそう遠くない所にあった。


「まずはジャンの話を聞こうか?」

「もう、ジャンって呼ばないでって何回言えばわかってくれるのかしら」

「わかったよ、ジャンヌ」

「そうそう。アタシの話はズバリ!アンジェロは女の子でしょ」


「!?」

ライ兄様と私は驚いて声が詰まった。団長は予想していたようで

「やっぱりお前にはバレたか」

「当たり前よ。あんなに柔らかい頬が男でたまるかっての。それで?これはどんなお遊びなの?」


「すみません。こいつは俺の妹です。クソ王子の婚約から免れるために、結婚相手を探しに来たんです」

「あのアホ王子の婚約を免れるのと、騎士団に男装して入団するのと、一体どう繋がるのかしら?」

「アンジェリーナ・ガルヴァーニと申します。私、自分よりも強い人を探しに来たんです」

三人でジャンヌ副団長に事の経緯を説明する。


「なるほどね、面白いこと考えるじゃない。それにしてもあのアホ王子もロクな事しないわね。大体、もうフィエロ殿下がディアナ妃を娶っている時点で、ガルヴァーニの後ろ盾なんてないじゃないの」


「それが……」

「ん?なあに?」

「どうやら暗部を手に入れるのが目的らしいのです」

「暗部を?」

「はい。暗部を手に入れてフィエロ殿下を亡き者にしようとしているのではないかと、お父様とジル兄様は予想しています」


「……本当にバカね、あの王子は」

「だよなあ。なんでアンジーと結婚すれば暗部が手に入ると思っているんだか」

「多分、一番暗部の連中と仲がいいからだと。側妃の影の者が探っていたのでそう結論付けたんじゃないかと思います」

「影が探ってたって……影の意味は?バレバレじゃない」

「暗部の、というかアンジーの方が影より実力が上なので」

「恐ろしい子ねえ、気に入ったわ」

そう言い、私をギュッと抱きしめてくれる。はあ、凄く良い匂いがする。


「アタシもフォローに回るわよ。っていうか、一緒に探してあげるわ。乙女の会話が騎士団内で出来るなんて夢のようよ」

「ふふ、私もお姉様が出来たみたいで心強いです」

「いやんもう。よくわかってるじゃないの、アンジー」

「改めてよろしくお願いします、ジャンヌ副団長」

「まかせなさい。まずは実力者の偵察からね」

「はい!」


「団長、なんかこの二人が組むと最強のような気がするんですが」

「偶然だな、俺もそう思ってたところだ」

ガタイのいい男二人が、大きく溜息をついたのだった。


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