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ハッピーエンドですよ

「こんにちは」

ライ兄様の執務室へ行くと、ライ兄様とエミリアーノ副隊長は勿論、何故かルイージ団長とジャンヌ姉様もいる。


「もう、毎日、毎日。いい加減にしてくださいよ。なんで、ここで、仕事してるんですか」

「だってここだとアンジーがいるんだもん」

「俺だってアンジーと一緒に仕事がしたいんだもん」

「団長のだもんはなかなか気持ち悪いですねえ」

エミリアーノ副隊長が笑顔で言う。


毎日のように繰り広げられるこのやり取りにもすっかり慣れ、私も仕事を始める。


「アンジーは捌くのが早いですね。あんなにあった書類、もう区分け出来たんですか?」

「はい、分けるだけですし。エミリアーノ副隊長の仕事に比べたら簡単なものですよ」

「私の大変さをわかってくれるなんて、嬉しいですね」


そんな会話をしていると

「まるで俺は大変じゃないみたいじゃないか」

ライ兄様が拗ねる。

「ふふ、そんな事言ってないでしょ。さ、そろそろお茶にしましょう」


そう言って、かごの中身を出す。

「んーいい匂い。今日はマドレーヌね」

「はい。バターたっぷりですよ」

「ああ、太っちゃうけどこれに抗う事は出来そうもないわあ」

「うん、うまそうだな」

皆でテーブルを囲む。


すると

「また、あんたたちはここに居座ってるのか」

ルディが入ってきた。

「ルディ、今日はマドレーヌよ」

「ああ、いい匂いだな」

そう言って私の隣に座ってこめかみにキスを落とす。


「結婚出来そうか?」

団長に聞かれる。

「もう少しかかりそうですね。宰相殿が手強過ぎる」

あの事件の後、ルディはすぐにでも結婚させてくれとお父様に掛け合ったのだ。

お父様は自分に勝ったらと条件を付けた。早速手合わせをしたのだが、剣術は勝てても体術は勝てないらしく、なかなか難航している。


「まあ、婚約期間を楽しみながら頑張りますよ」

最近は、暗部に稽古をつけてもらっているらしく、ルディ自身それを楽しんでいるようだ。


仕事が終わってルディの執務室へ向かう。途中、行きかう団員たちに挨拶をしながら向かうと結構時間がかかってしまった。


「お待たせしました」

「遅かったな、仕事忙しかったか?」

「いいえ、仕事はいつも通りだったのですけれど、何故だかここに来るまでにたくさんの団員の方とすれ違いまして、挨拶をしているうちに時間が経ってしまいました」


「そんな連中にいちいち構う必要はない」

「ですが、皆さん優しく挨拶してくれるので」

「アンジーと少しでも関わりたいだけなんだから、ほっとけばいい」

「でも……」

「いいんだ。そんな時間勿体ない。俺と過ごす時間が少なくなる」

「ふふ、そうですね。これからはなるべくそうします」


「その分じゃ無理そうだな。それにしても誰もアンジェロだと気付かないなんて凄いな」

「本当に。エミリアーノ副隊長にバレたと聞いた時は、皆にもいずれはバレてしまうと思っていたのに。グイドでさえ気づいてないんですよ」

「あいつはすっかり脳筋になったからな」


「さあ、そろそろ帰るか」

「はい、お夕食、今日も召し上がっていかれるでしょ?」

「そうだな、今日辺りまた手合わせになりそうだしな」


「……面倒ではないですか?」

「何がだ?」

「私などの為に、お父様と毎回のように手合わせさせられて、煩わしくならないですか?」

「なんだ、そんなことか。なる訳ないだろう。アンジーと結婚するためだ。何の苦労とも思っていない。それどころが楽しんでいるんだ。宰相殿の体術は見習う事が多々あるし、暗部の連中との訓練も、新しい事を発見出来て楽しいしな。それに……」


「それに?なんです?」

「家族といる時のアンジーは少し幼い感じがして見ていて可愛い」

ぽぽぽと頬が熱くなる。

「今も、可愛い」

そう言って、私の頬にキスをする。そのまま目尻やこめかみ、唇以外の場所に立て続けにキスをされる。

たまらない気持ちになって

「ルディ」

そっと名前を呼ぶと、まるでそれが合図だったかのように唇にキスをされた。

強弱をつけてされるキスに翻弄される。最後はわざとリップ音をさせて離れた。


「ああ、やはり早く結婚したい」

「ふふ、婚約期間を楽しむのではないのですか?」

「そう思う時と、待てないと思う時が混在しているんだ」

「私は早く結婚して一緒に眠って、一緒に起きる生活をしたいと思っています」


「ああ、アンジェリーナ」

強く抱きしめられる。最近になって、私を呼ぶときの違いに気付いた。普段はアンジーと愛称で呼ぶ。ところが、気分が高揚するとアンジェリーナになるようだ。


「愛してる、アンジェリーナ。これからもずっと一緒にいよう」

「はい、勿論です。だって、私も愛しておりますもの」

そう言うと、どちらからともなく再びキスをするのだった。


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