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天使と女神?

 ルドルフォ副団長が到着する少し前。

みんなで、ゆったりとお茶を飲んでいると、扉をノックする音がして執務室の大きな扉が開けられた。そして、小さな男の子と更に小さな女の子がパタパタと入ってきた。


私を見つけるなり

「アンジー!」

そう言って二人の小さな天使たちが駆けてくる。

「ニコロ、サーラ、元気だった?」

床に膝をつき、しっかりと二人を迎え入れる。

「アンジー、アンジー、僕ね、お魚食べられるようになったんだよ」

「ホント!?凄いじゃない。流石ニコロね」

「アンジー、これ、読んで」

お気に入りの絵本を私に渡そうとするサーラをニコロが止める。

「待って、まだ僕の話終わってないよ」

絵本を受け取りながらもニコロの話を聞く。

「なあに?ニコロ」

「僕、お魚食べられるようになったから、これからどんどん大きくなるんだ。だからアンジーと結婚出来るよ」


ライ兄様がニヤニヤ顔でニコロに話しかける。

「ニコロ、アンジーと結婚したいのか?」

「うん、そうだよ。でも僕、まだ小さいからお魚食べて早く大きくなるんだ」

「そうか。あっちの王子ならこっちの王子の方がいいなあ、俺は」

私を見ながら言うライ兄様。もうそのにやけ顔、むかつくからやめて欲しい。


そこへ冷静な声で

「そもそも叔母と甥では結婚できー」

言い終わる前にライ兄様がジル兄様の口を塞ぐ。

「ジル兄はもうちょっと空気読もうな」


そんな中、私の袖をくいくいと引きながら

「ねえ、ご本まだ?」

サーラが聞いてきた。


「ああ、そうよね。じゃあ、ご本読みましょう」

そう言うと、サーラは私の膝に乗る。ニコロも私に寄り添うように座った。

「じゃあ、いい?それは昔のお話ですー」

読みだすと、二人とも目をキラキラさせて真剣に聞いてくれる。

その姿が可愛くて、こちらも読むのに熱が入る。なので、人が入ってきたことに全く気付かなかった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 すぐそこに、女神がいた。

二人の小さい王子と王女を大事そうに傍に置き、美しい声で本を読んでいる。

まっすぐ伸びた美しい金の髪、俯いていてもわかる綺麗に通った鼻筋。瞳は伏し目がちになっているのではっきりは分からないが、青だろうか。


ページをめくった拍子に、肩にかかっていた髪がサラッと垂れた。それだけなのに俺の心臓がギュッと締め付けられてしまうのを感じた。

一体どうしたというのだろう。生まれて初めての感覚に戸惑いを隠せずにいると、ルイージ団長が

「おう、ドルフ。迎えに来たのか。つい話し込んでしまっていたようだ」

そう言って席を立つ。


「じゃ、細かい事はまた」

そう言ってこちらへ向かう途中ルイージ団長は

「アンジー、またな」

一言だけ、女神に声を掛けて頭を一撫でした。

アンジーと呼ばれた女神は、ゆっくりと顔を上げ

「楽しみにしてますね」

そう言って笑った。


金の髪がサラリと揺れ、サファイアブルーの瞳がキラキラしていたその美しい微笑みに、二度目の心臓の締め付けが起こった。

だが、そのサファイアブルーの瞳はこちらを見る事もなく、再び本へと沈んでしまった。


執務室を後にして騎士団棟へと戻る道すがら

「団長、先程のアンジーと言う令嬢は一体どちらの?」

「彼女か?ガルヴァーニ家の末娘だ。どうした?おまえが女性の事を気にするなんて珍しいな。まさか惚れたか?彼女はダメだぞ。家格は釣り合っていても、お前のような常に女に囲まれるようなたらしには勿体ないいい娘だからな」


「なっ!?別に俺は女たらしなどでは……」

「わかってるって、冗談だ。でもおまえにその気はなくでも、女たちはどういう訳だかお前に集まってくる。まあ、男から見ても男前だってわかるほどのイケメンだもんな。しかも剣の腕は一番。更に公爵家の跡取りなんて超好物件、ほっておくわけがない。おまえ、もうすぐ二十五になるんだったよな。大昔の失恋だか何だか引きずってないで本気で誰か見つけないと、いつか女どもで大乱闘が起こるぞ」


「引きずってません。別にたらし込んでるつもりもないです。そもそも俺の方から声なんてかけてません。あっちが勝手に近寄って来るんです」

「世間一般からはそう見えるってことだ。いい加減、本気になれる相手を探せ。だからってアンジーはダメだぞ……ん?あれ?いいのか?ええっと……まああれだ。今、あの子はちょっと面倒なことになっているんだよ。それを解決することに集中させてやりたいからな」


「面倒なこと?」

「秘密だ」

そう言って笑った団長はそれ以上この話をするつもりはないようで、全く違う話をしてきた。


「ジャンはいつ戻るんだったか?」

「あと五日ほどで戻る予定です」

「そうか、その辺りに一人、新入りが入ることになると思うからよろしくな」

「こんな半端な時期にですか?」

「ああ、まだ学生なんだが腕がいい。まあ、短期間にはなると思うが、他の若い騎士どもにはいい刺激になるだろうよ……色々とな」

最後はクックと笑いながら言う。


「なんかやけに上機嫌ですね、団長」

「そうか?まあそうだな。新入りは俺の親戚だ。言っておくが見た目で判断するなよ」

「なるほど、秘蔵っ子ですか?」

「ハハハ、そうだな、可愛い奴だ。だけど実力は保証する。多分、騎士団で十本の指に入るだろう」

「そんなにですか。それは確かに若い奴らの刺激になりそうですね」

「だろ、だから色々と頼むな……惚れるなよ」

「はあ?男相手に惚れるも何も。俺はノーマルです」

「そうか?ハハハハハ」


それから騎士団棟へ到着するまで、団長は笑い続けていたのだった。


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