4. 新旧
で、出すことにしたのはいいけど、割り当てられた字数は一万字前後。
自作品の中で一万字の作品前後って『優しい嘘』と『転生したら内乱の一歩手前⁉︎』、『鳳凰の羽根と翡翠の湖面』の三作品だけ。ほかの短編ってわりと軽く読める程度の四千字前後が多かった一方で、未公開のもので書き出してあったものは連載作品をを意識しているから、一万字程度じゃ収まらない。もちろん、収めようと思えば思えたけど、それじゃ書きたいことの半分くらいしか書けないだろうという悩みもあった。
それに、新規で書こうと考えると一日だけというリミットは正直キツかった。
だって、セルフ校正が必要だったからね。
もちろん、自分の作品だからどういう結末にしようかとかは決めていたけど、やっぱりこうしたいなと思ってしまう可能性だってある。でも、加筆してから校正するのには時間がかかってしまうからそんな結末の変更なんてやっていたら時間がない。
憧れのプロ作家さんたちと共演ならば未完成のものよりもできる限り完成に近づけたほうが私としても後悔しないだろう。そう考えました。
だったら今ある一万字前後のもので取り下げられるものはどれかと考えたけど、権利の関係上などで、取り下げられるものはひと作品しかなかった。
『鳳凰の羽根と翡翠の湖面』
もちろんこの作品は企画作品の一つとして書いたので、下げるのにためらいがあったけど、それでもメリット・デメリットを考えるとこれしかない。自分の中でも最後の最後まで迷ったけど、出すという決断をしたのは自分。できる限り恥ずかしくない作品を出すと決めたのも自分。
ちょっと前に自分のモチベーションダウンで数作品取り下げたけど、それ以上にあのボタンを押すのは辛かった。
だからこそ、自分の作品が書籍化作家さんたちと同じ誌上に載るという嬉しい経験と、Webから取り下げるという少し辛い決断をしなければならないという複雑な経験を両方同時にした。
本当ならばこうやって書く予定はなかったけど、自分の中にとどめておいても仕方ない、いっそ公開しちゃいましょうとひと冬のできごとをエッセイとして掲載させていただきました。