奇譚ノ終(つい)ノ壱 ゆがんだ家族と漆(なな)つの狂気のものがたり
ここで、ボクは筆を閉じなければならなくなるだろう
なぜなら もうすぐボクという存在がこの現世から
キエルことが確信出来てしまったからだ。
一人のイマジナリーフレンドの異界の少女に全てを喰われ
その異界の少女になった異性装の少年
実姉の魂をくらいその魅力溢れる肉体を完全に掌握
した元工学博士の義兄
家族を知らぬ間に侵食され抵抗むなしく、いやあれはむしろ
狂った真実を全肯定することで、ニンゲンの軛から敢えて逃れたかったのかもしれない
そうとしか思えない
ボクが知っていたお姫様は、既に歪んだ心を宿していた
歪んだ家族の名誉のため固有人名は伏せるが
歪んだ愉しい会話が聞こえてくる
............ 。
「ふぅー やーっと 佐奇森 美梨 (さきもり みり)から
開放されたぜ なぁ紗理・璃依奈 女ってのは世間じゃ存外気ィ使うのな」
妙齢という世間の枠からは少し外れているが
それでもまるで20代の様な、外観を保つフェミンな
アンサンブルドレス姿の女性からは
似つかわしくない言葉使いが飛び出してくる。
乱暴に大きなリボンのリボンパンプスを乱暴に脱ぎ捨てると
すらりとした、白いストッキングの脚を弾ませその足音が聞こえると
胡坐でゲームに夢中に成っていた
銀光沢のアッシュグレーの少女はこう声をかけた。
「ふふ パパはまだまだママに成り切れてないわね
璃依奈を見習いなさい それについては 璃依奈の方がセンパイなんだからね」
それでも誰も気にしない 誰も気にしない 気にしないどころか
銀光沢でアッシュグレーの足首近くまであるリボンを散りばめたウェーブロング
を揺らし淡い紫の瞳をうるませ 女性の帰宅を待ち侘びていた”少女”は
似つかわしくない言葉使いが当たり前のようにゲームをしながら返した。
そしてゲームを一時停止して
璃依奈と呼ばれた ”少女” はアンサンブルドレス姿の女性に甘えるように抱きついた
「 わぁ ”パパ” 素敵ぃ! それいつ買ったの? 」
「あぁ これな」
A・ラインのフレアスカートを上品につまみ
「この前、また実績を上げたってんで たんまりカネもらってな
自分にご褒美あげっちゃった♡ いいでしょ♡ って璃依奈も素敵なの
着てるじゃない」
と似つかわしくない男言葉が自然に出る美梨。
「パパったら ちょっと ”素” が出てるじゃない 気を付けなさい」
とまるで母親のような物言いいをする璃依奈
「えへへっ ごめんね つい”素”がでちゃうの
ごめんね忘れっぽい ”ママ” で」
とさらりと意趣返しをしまるで親しい女友達のような会話だった。
「オメェが可愛すぎて可愛すぎて それが悪いんだぞ 璃依奈ぁ」
「いやーぁ もうその名で呼ばないで パパァ」
”尊”という名は璃依奈がもっとも忌み嫌う名でもあった
「ごめんね璃依奈 どうしても”息子”の名は
そう簡単に忘れるって出来ないしぃ そりよりねぇハグさせてよ ねぇねぇ? 」
と璃依奈を抱き返す。
少女はいつもの黒では無く、
白を基調としたワンピースドレスにアッシュグレーの小薔薇模様
脚には黒のストッキングという黒くも清楚な服装
ハグを要求した女性は淡い茶色の緩やかなウェーブロング
大きなリボンバレッタを髪留めに使っている
今日は総会のパーティ帰りだろうか。
「ねぇ パパって ママになってもオンナノコが大好き? 璃依奈はイヤ? 」
「男は願い下げだが オレにとって女は美梨一人だけだ」
と言って美梨は自分自身を抱きしめる。
「他はたんなるメスガキでしかねぇ どうでもいい所詮有象無象のゴミさ
でも璃依奈な”特別な”大好きだぜ 親が娘を嫌いな訳
ねーだろ いまさら事はいうもんじゃない それよりさぁ お顔を良く見せて頂戴♡ 」
「はぁ〜ぃ っ んんっー」
美梨は優しく璃依奈の唇を塞ぐ
ピンクのルージュの美梨の唇と黒いルージュの璃依奈
ピンクと黒の唇が互いを激しく貪り合う
「んーッ 美梨おかーさま ガッつきすぎぃ」
「可愛い璃依奈が悪いんだぞ ついこうしたくなる」
美梨は最後に璃依奈の前髪を掬いあげ額にキスをした
「もー 二人共っ ご飯の準備出来てるよー
璃依奈はゲーム機の電源切って
”ママ”は手を洗ってきなさい」
「「うん待ってて」」
と色素が抜け淡いローズピンクの銀髪の様に見える少女に呼ばれビクリとする
璃依奈と同様足首近くまであり瞳は右は淡い金翠色で左はピンクのオッドアイの
紗璃菜、璃依奈と
同型であるがこちらは青小薔薇柄のワンピースドレス
白いストッキングと対極の姿の少女が呼んでいるのだ。
周りとは大きくかけはなれた外観をしていたが
紗理も異界の住人である ”素” が頭もたげ機嫌が悪くなると
髪の色と瞳の色が変わる 今は、自宅内で憚る事無く”紗璃菜”で居られる
それを知っていた二人は 心底恐ろしくなる
三人の内で一番はこの紗璃菜かもしれない
それが美梨・璃依奈の共通した認識だった
食事の席で
「ねぇ ”ママ” ”璃依奈” あす祝賀パーティの後でショッピング行こうよ
”璃依奈”の旧病院棟の”正式”な管理責任者就任を祝ってさー」
「わぁ いいねーそれ ”璃依奈” も自分にご褒美いいかなー」
「いいんじゃない ”璃依奈”も一杯異界に道連れにしたもんねー」
「うん ”璃依奈”もがんばったし トーゼンよ トーゼン」
”璃依奈”のまわりには異形や小型の化生がうっすらと纏りついていて
ここの全員に視えていたが誰も気にしない。
とビシリと美梨を指差す紗璃菜。
「パパも もっと”ママ”らしくして ”璃依奈”をみならってよ もー
でないとわたひも ”素” がでてきちゃう じゃない
皆が本性 出でるのに オレだけ 我慢 できねーよ くそ
すでに狂気を抑えられなくなった紗璃菜は、辺りに漂う強い腐敗臭に
理性が抑えられない、ワンピースドレスの胸の正中は縦に涎染みで濡れている。
上の口からは腐った鼠がヌルリと溢れ涎がたらりと糸を引いた。
小さな物は上の口からでも問題はない
”ニンゲン”等言うご馳走は滅多にこの国では手に入らない
手に入れられるのは病院ぐらいしかなく、野良のご馳走は皆無である
紗璃菜にとってのグルメ番組である、紛争国の
犠牲者のテレビ番組などが唯一の愉しみである
モザイクがかかっていてあまり”美味しそう”には見えないが
だから、専らのネタはネットに頼っている
モザイク無し、掛け値なしのご馳走の画像がいくらでも手に入る。
「紗理おねーちゃんこそだらしないじゃない口に入れたものを食事中に
吐き出すなんてー ねーっママぁー」
「そうよ 紗璃菜 マナーはきちんとしなさい こういうのを世間様は
よーく見てるの ”璃依奈”を見習いなさいな」
と美梨の口調で言われると流石に気分が滅入る。
「ごめんなさい ”ママ” 」
とこぼした鼠をもう一回食べ直す。
「ねーっ おねーちゃんスイッチ入いっちゃってるし おかーさまぁ
おねーちゃん誰か殺らかすまでだめね」
”璃依奈”は美梨を甘え顔で訴える。
「しょうがない娘ねー 今ねー義邦叔父さんが来てるのよ
ママねー 病院から無理矢理ね ”連れて”キチャッタ♡
あれから、”一年”躰だけは丈夫だから なんとか生きてたけどね」
「だってぇ いくら齧って追求してもママのイヤリング教えてくんないだもん
でも、ママがバックにしまってて忘れていただけって聞いて
後、つまんなくなっちゃった」
「わたし達の”本当”を知っているのは あと アイツだけ ご飯食べたら
最後の始末殺っちゃおっか 紗璃菜ってそうしないとスイッチ完全に切れないもんね」
獣の紗璃菜は一度、頂点迄昂ってしまうと、誰かを殺らずにはいられない
獣の名に相応しく狂暴な少女だった。
「ねー ママぁー 紗理が一番でいいかな? いいかな? 」
と大好きな玩具を与えれた子供のようにはしゃぐ
「紗璃菜も殺るの好きだもんねー 美梨達の
”本当”を知っているヤツ炙り出す身にもなってよ もぅ」
「次ー ”璃依奈”ね」
「 ”璃依奈”ちゃん 今回はペットを使わないで”直”で
殺っていいわ ママが赦しますっ」 と美梨はドヤ顔をする
「きゃー やったー」
久々に”直”に手を下せるとあって
スカートの股間を大きく膨らませてはしゃぐ ”璃依奈”
”璃依奈”の持つ固有異界は、一般人にも異形や化生を
否応無しに視認させることが出来る その固有異界の能力を奮って
美梨達の異常さに気付き始めた者達を精神的に追い込み
紗璃菜の固有異界の堂々巡りで閉じた異空間を生成、犠牲者を閉じ込め
徐々に腐死蝶で腐敗させて喰べてしまい、
細かい残滓は美梨の固有異界 蝕で所属する
異界を開いて、それに喰わせて痕跡を完全に消してしまう
強力な親子ならではの連携であった。
悪食を急いで口に放り込み水を飲み咀嚼し飲み下す紗璃菜
紗理の足元には握り潰された鼠・小鳥などが多数転がっていた
どうせ後で彼女の口に入るのだが腐敗気味がお好みな彼女は
ワザと放置していたのである。
他の二人は一般的な洋食である
これは虐待などはなく紗理は事件以来
人間用の食べ物は味があまりに薄味で美味しく感じなくなっていて
腐敗した動物が人間用のよりもさらに好物になっただけである
紗璃菜の周りには既に腐死蝶が数十頭舞っていた。
”璃依奈”は苦悶の梨と呼ばれる拷問具を
カチカチ鳴らす 彼は全てペット任せであり
本当の愉しみはその後動かぬ遺体を徹底的に壊すことにある。
お人形は高価で有ればあるほど壊した時、愉しみが増し可愛い少女で有れば有るほど
”少女”として嫉妬心が刺激され”男”としてもさらに昂ぶってしまう
その点で叔父は及第点以下であったが紗璃菜同様この国では
高価なお人形も簡単には手に入らない。
そこで、大好きな縷瑠華におねだりするのである
縷瑠華は今は佐奇森の ”養女” になり
佐奇森 縷瑠華として活躍している。
大人っぽい顔付きだが非常に子供っぽくて
無邪気で醜悪な性格で気の赴くまま生物を改造する倫理観の
かけらも無いような元・男性の女性である。
一度異界に喰われて完全な女になったものの徴に未練があり
ふただび異界に喰われて、異界から出てきたときはは紗璃菜同様
体内に隠せるようになっていた。
更に金翠色の目や色素が抜けてアイスブルーの銀髪のような
色合いの髪と、ウネウネ蠢く濃い一部の髪を手に入れて
意気揚々と女を満喫していた。
ウネウネ蠢く濃い一部の髪は纏めて前に垂らしている、
これらは佐奇森に共通の特長で非常に悪目立しそうだが
固有異界ではない、佐奇森に共通の欺瞞結界で
辺りには普通に見えていてなんら不都合がない、そんな縷瑠華は
美梨と同類のゲスだった。
「あっ 縷瑠ねーさま お帰り」
と紗璃菜と璃依奈は抱きつく
甘えっ子の璃依奈は、ともかくあの紗璃菜まで
非常に縷瑠華には懐いていた
絶対に美梨以外に懐かない異界の獣と称される彼女まで
頭を撫でて貰っていた。
「ねー 縷瑠ねーさま お人形さんがほしいの ねーぇ」
とおねだりする璃依奈。
「そうね 丁度、被検体が この縷瑠に逆らってお痛をしたからね
”流転形成”で 新しい”お人形”造っちゃた はい大切に”遊びなさいな” 」
と腕に抱いた大きな現代風にアレンジしたアンティーク・ドールを渡され
「わぁ ありがと 一杯可愛がったらぁ 壊していいよね いいよねこれ」
「えぇ 璃依奈の気が済むまでね いくらでも代わりはあるもの」
お人形をぎゅぅと抱きしめ璃依奈にもある
蠢く髪をしゅるりしゅるりと巻きつけて二階の自室に戻っていった。
縷瑠華の固有異界:形質流転は ヒトや動物を
前に垂らしたウネウネ蠢く、濃い色の髪で繭の様に包んで
無理矢理に輪廻転生
させて自我と魂はそのままで全て ”少女のお人形” にしてしまう
本人曰く、このような面白味のない、人外的な変化のさせ方はあまり好みでは無いらしい
まるで不正改造みたいとぼやいていた
彼女は、ヒトとヒト・異形とヒト・ 異形と異形を ”生物錬金的手法で”
じっくりといたぶりながら
改造するのが生物学者らしいと拘りを持っていたのである。
「うふ 紗璃菜下のお口濡れてるわ」
縷瑠華は悪戯心で 紗璃菜の
と喉元から見えるピッタリ閉じたピンクの筋状の粘膜に指を少し
挿し入れた。
「やーっ くすぐったいのー いやーーっ 」
と大べそをかいていた。
紗璃菜にとって此処はすごく敏感な所で
一人遊びなら加減を知っているが他人からの接触には慣れていなかった
むぅー とむくれて美梨の後ろ隠れてしまって
同時に飛び出した徴で膨らんだ股間を抑えてもじもじしつつ
んべーっ
とかわいい舌を出した。
彼女の羞恥も酷く歪んでいて大好きな縷瑠華の前では
男言葉や歪んだ本性をあまり見せない
本人曰くすっごく恥ずかしいなのだそうだ。
「いーだ 縷瑠ねーさま だーいっきらい べーっ」
と二階の自室でワンピースドレスのまま股に抱き枕を挟み
火照った徴を押し付け、
胸の裂け口を指でなぞり一人遊びをしていた
「あぁん 縷瑠ねーさま だーいっすき だーいっすきっ
もっとお口いじって ほしかったなぁ んーっ」
と抱き枕に何時迄も抱きついていた
階下では
「こうなるまで 長かったな
これで佐奇森はこの鎖軀山の地でさらに磐石なものになるぜ
なぁ 美梨ぃ? んっこの躰?
あぁ俺様が有効に使ってやるよ
だから”猫”のなかで温和しく見てな
どうせ 猫の脳味噌に人間の知性や記憶が収まる訳ねぇ
そのうち なんもかんも猫並になるさ オレが閉じ込められていた時と違ってな
魔術生成とはいえ、モノホンの肉体だからな
なぁ 実感今なら実感出来るだろ 猫ってケダモノをさ」
佐奇森 美梨 (さきもり みり)のアンサンブルドレスのスカートの上には
一匹の白い”猫”がいる
毛足が長くメインクーンを髣髴とさせ
度々、七つ奇譚の中心になってきた。
{ニャーオ ニャーオ}
と愛らしく鳴く声の裏側で
(だれか わたしに気付いて!!!
この美梨・璃依奈・紗理共の
本性に気付いてっーっ!!!
あぁだんだん私としての記憶が薄れていく
せっかく東欧から帰った 咲人に私自ら手を下したのに すべては無駄だった
お願い!! ...... 誰カ タ・ス・ケテケテ......ケテ)
言葉の最後は既にはっきりと発音出来無い
女装して東欧から帰った咲人を説得して、ようやく女装癖をやめさせ
男女の睦言で、彼の女性性を潰したと思ったら今度は育児放棄、
娘に工学知識を教えるだけ教えて また女装癖が再燃し、今度は
地下室で隠秘の儀式までやる始末。
そしてある日、事故を装い凶行を働いてしまった美梨。
凶行を働いてしまった事には後悔はしていないが、
あの時屋敷に来た咲人に一目惚れしたのか
今以て理解できない。
あるいはあの時すでに異形や化生達の手に墜ちていたのかも知れない。
佐奇森 咲人 (さきもり さきと)に追い出された
佐奇森 美梨 (さきもり みり)の本当の魂はどこへいったのか?
佐奇森 咲人 (さきもり さきと)が奪った佐奇森 美梨 (さきもり みり)
の肉体に抱かれている”猫”という獣の、肉の牢獄に縛り付けられていたのである
嘗ての父:佐奇森 咲人 (さきもり さきと)のように。
「なぁ美梨? 」
「んー? 何だ」
残された二人の美女が唇を重ねながら
”女性”同士の秘め事を愉しんでいた
椅子に座り、お互いハグしつつお互い服越しに感じる手の感触に
悦楽を任せていた。
「おめーはいつオレみてぇに
垢抜けた少女になるんだよ どうせオレや
娘の紗璃菜のいいとこ取りするんだろ? 」
「あぁそうさ 裂け口はいらんが お前には見せてやるよ
俺様の理想の少女って奴」
美梨の真珠のネックレスの
大玉に映ったのは
縷瑠華のように、色素が抜けた蒼っぽい銀髪。
ヒト形態時の紗理のような足首まであるウェーブロング。
蠢く色違いの髪。
紗璃菜のような右が金翠色で左がピンクのオッドアイ。
おっとりした瞳で童顔で儚げな白い肌の少女
がその大玉に浮かんでいた。
「うひょー さすがだな いいとこ取りじゃねぇか
当然 あれも付けるだろ オレのように格納式にしてさぁ」
「あぁ ションベンだけはどうしても不便でな どうにもならん
あくまで便利な蛇口代わりさ どうせおれの自由に出来る姿だ
好きにするさ」
はぁん ......あぁんっ! んぁっ
「今日はあと家にいるだろ」
縷瑠華の居住場所は 此処、佐奇森の屋敷だが
大抵は、鎖軀山総合病院の実験棟に居る根っからの
仕事バカだった。
「もうすぐ肉のお土産が出来る、出来たらまた実験棟に戻るわ
それに いま可愛い人造少女の最終段階だ
あとは最短したオメェの”体液”だけだよ
可愛い”少女”の”体液”てさ なぁ背徳的でそそるだろ」
「ふふっ 正に処女懐胎ならぬ処女の種付けってか
相変らずゲスいね 縷瑠ちゃんは♡ 」
美梨は縷瑠華の前髪を掬って額に短いキスをして
これから”創造”されるであろう人造少女の名を囁いた。
............ 。
彼らの食事が済んだようだ
ボクはたった一本残された腕と指で モールスタップ自動文字変換アプリ
でこの鎖軀山奇譚考を書いている。
この、モールスタップ自動文字変換アプリは躰の一部しか動かせなくなった患者の為に
画面をモールス信号でタップすると
自動で文字に変換され、一々保存処理を行わなくとも
蓄積されていくタイプのアプリである
既に逃げる足も、抗う腕も、真実を見通す目も、真相を話す口も
すべて
姉の姿をした義兄に・
少女の姿をした甥に・
心が歪んだボクのお姫様に・
全てを奪われた
義邦の唯一の言葉だった
ベルトのバックル型端末に右腕一本残された一本だけの人差し指で
命運尽きるまでモールス信号をタップしていた
この記録は逐次直接サーバーに送信されている
だから、程なく命運が尽き指が動かなくなる、その時までの記録は残る
この鎖軀山奇譚考が多くの目に留まれば
いいのだが、無理な相談かも知れない
出来ることなら彼らが異界へこの鎖軀山の地ごと葬り去られる事を
切に願う。
「ねぇ 叔父さん 最後のおままごとで あ・そ・ぼ♡ 」
辛うじて聞こえる左耳から紗理・璃依奈・縷瑠華の
無邪気で楽しそうな声が聞こえてきて
............ 。
ボクの意識は二度と覚めない永遠の闇にその身を預けた。
ーー。
「や〜っと 今日から夏ヤ・ス・ミ 何してあそぼっかな? 」
私室で少女がローズピンクの長い髪を揺らし背伸びをした
「何してあそぼっかな? じゃないでしょ 紗璃菜 ちゃんと宿題は済ませて
それから自由課題のテーマを決めて レポートを書くのよ 分かった? 」
年齢相応よりはやや小柄でウェーブがかかり紗理の髪とは対極の
大人の女性にしてはやや小柄でスラリとしたゆるいウェーブロングの怜悧な目付きの女性が
スーツのジャケットを小脇に抱え
朝食のホットドックを器用に口に咥え、愛娘に小言をいっていた。
「分かってま〜すって いつも言ってるのに うるさいな も〜っ! 」
と言葉の応酬
「わたしはこれから”病院”へいくの 忙しいのわかってって
こういう小言で敢えて手間取らせる気? 」
「ちがいまーす ちゃんとやりまーす ”院長センセ” 」
「ほら そこ茶化さないの」
「それに ”璃依奈” 貴女もちゃんと髪を梳かしてきなさい
”今日” は貴女の正式な旧病棟管理責任者の就任披露パーティなんですからね
ゲームしてないでネグリジェ脱いでワンピースドレスに着替えて来なさい」
「は〜ぃ 分かってますぅー」
と黒いフリルやレースたっぷりのコットンのネグリジェを着た
璃依奈はショーツから飛び出した徴を気にする風でもなく
上の空で返事をする。
程なく玄関から現れたのは璃依奈が先だった。
「相変わらず 黒い色が好きね おめでたい席だってのに」
「だってー ”璃依奈” こういうの好きなんだもん」
白を基調としたワンピースドレスだがアッシュグレーの小薔薇模様が
散らしてありレースやフリル部分は黒である おめでたい席には似つかわしくないが
こういう意匠が”璃依奈”の好みだった
こればかりは絶対に譲れない 脚は黒いストッキングに真っ赤なリボンパンプスである
そして黒いルージュからちろりと可愛い舌をだした。
「まってー 今着替え終わったのー」
璃依奈と同型であるがこちらは青小薔薇柄のワンピースドレス
レースやフリル部分は薄い水色である 白いストッキングにスカイブルーの
リボンパンプスを履いた紗理は”珍しく”紗璃菜から紗理の姿に戻っていた。
この頃は、一日の殆どを紗璃菜で過ごし対外的なときだけ紗理にもどる。
歪んだ心も壊れた心も男言葉も今は、上手に使い分け弁えられるようになった
息を切らして車に飛び込み 朝食の腐敗しかけのスズメの腐敗臭を隠すため
液体状の口臭予防スプレーを口腔に含んだ。
これは鎖軀山総合病院で、開発されて世界特許を取っている新製品だった。
三人車の中で
「どうだ オレが開発したんだぜ それいいだろ
なぁ、紗理 今日一日はいくら美味しかろうが 腐敗した悪食は我慢しな
悪食好きの娘のためにな」
「ヤダー 悪食じゃないもん 悪食っていい方 何かヤダ
あれすんごく美味しんだよ わかってないなー
ママは 今日だけ、”普通”のご飯で我慢する」
とニコニコ顔。
それというのも我慢すれば新作のワンピースドレスを5枚買ってくれると
夕べママと約束していたので小言も黙って飲み込んだ。
いつもなら 美梨や璃依奈が手を下した遺体を
綺麗に食べて始末するのが紗理の役割である。
細かな残滓は、美梨の固有異界 蝕で綺麗に異界へ喰わせてしまい
ルミノール反応すら出ないほど完全に痕跡を残さない。
美梨の蝕は空間を指でなぞる動作をするだけで
開き彼らが好む血肉を全て”喰って”しまうのだ。
空間のみならず、ヒトも指でなぞるだけで異界が開きその異界に喰われてしまう
本気で怒ると紗理達ですら震え上がるほどである。
「分かればよろしい それと璃依奈オメェはメスガキをその徴で
嬲るのも我慢だ いくら年頃で精力余っていてるとはいえ 我慢しな」
と”素”の口調できつく注意する。
生来の女性の躰である美梨には当然徴はない
美梨は棄てた元の男の躰を思い出し、徴がある璃依奈に
注意しているのだ。
紗璃菜にもあるが体内に隠しているので普段はちゃんと女の子である。
「うん 璃依奈も紗理ねーさまを見習って我慢する
そのかわり パーティが済んだらやっていいでしょ? 」
「あぁ パーティに来たメスガキ以外ならやっていいぜ これから大事な付き合いが
あるからな でもこの美梨が許可したメスガキなら 壊していいぜ
病院関係のライバルは徹底的に潰しておかないとな
璃依奈の好きになさい それから”ペット”は使わないこと いいわね」
「えーっ どうして? ママぁ」
とむくれる。
「んー 璃依奈ちゃんの”ペット”って数百もいるじゃない
あっという間に 殺っちゃたらつまんなくないそれ? 」
「ん そだね ママ 璃依奈ひとりで殺るもん」
「お利口さんね だからママ大好きよ」
”璃依奈” の持つ固有異界は、一般人にも異形や化生を
否応無しに視認させることが出来る ”虚界視覚” で追い込むだけでも十分である
ゲーム好きの璃依奈らしく
皆が持っている固有の能力には
勝手に名前が付けられている
美梨の異界を開く ”蝕”
紗璃菜の空間を閉じて堂々巡りを発現する ”鏡面閉鎖(’きょうめんへいさ)”
璃依奈の無理矢理異形を視覚化させて認識させる ”虚面視覚”
縷瑠華の動物を無理矢理自我や魂をそのままに
もの言わぬお人形に変成させる ”形質流転”
今此処にはいない新しい家族零華の”普通”のヒトに猜疑心や
疑心暗鬼を想起させ殺し合いまで誘導する
”狂気感染”等等
とびきりの笑顔で微笑む璃依奈は既にスカートの股間は膨らんでいた。
最近は、ようやく徴を体内に隠せるようになったとはいえ
躰は”尊”で元々男性であり出している方が殆どで
”女の子”になるのは性別で制限されている設備に入る時などや
学園生活をしているときなどに限られていた。
璃依奈に付き従う眷族の異形や小型の化生は今や、数百は下らない
ヒト一人を始末するのに眷族の能力は必要ない
璃依奈一人で事足りるのである。
「それと ママも約束して 表では絶対”素”を出さないって
子供にばかりに約束はずるいもん」
二人の”娘”に釘を刺される美梨。
「あぁ 当然さ 分ってる」
「よろしい パパえらいね」
とにっこりの二人
「ふっふーん♡ 」
とこれまたにっこり微笑む美梨。
と歪んで狂った会話が
当たり前のようにごく”普通”に飛び交っていた。
「えぇ 汐織 後、宜しくお願いね」
「いってらっしゃいませ 美梨様、紗理様、璃依奈様
縷瑠華様は既に会場に向かわれましたので」
彼女は佐奇森のメイドで住み込みで働いている。
心臓型と内蔵型の異形に躰内部から喰われ、異界の住人に再誕した稀有な例である
”如月 摩耶”という狂気の少女を棲まわせて 存在するはずのない
生きて心臓と内臓の無い ”少女” を追い求め、
生死に関らず心臓と内臓を確認しようとする凶悪な女性だ。
見た目は、少女趣味全開で可愛らしいのだが、性格は残虐である。
”如月 摩耶”という狂気の少女が”出て”くると髪型も変わり性格も
子供っぽくなりひと目で分かるがが佐奇森に対しては従順で大人しい
そんな彼女が今日も可愛い少女のようなワンピースで笑顔で送りだしてくれた。
「さぁ行こっかぁ 紗理・璃依奈 異界の住人の晴れ舞台だね」
今日の美梨はピンクを基調としたやや子供っぽいアンサンブルドレス
それでも二児の母親とは思えないくらい似合っている
まるで三姉妹の長女の様な雰囲気を醸し出していた。
形のいい白いストッキングに包まれた脚の先は
ドレスに合わせたピンクのリボンパンプス
ゆっくりとアクセルを踏み軽いモーター音共に高級電気自動車は会場に向かって
走り出した。
「ねー 美梨おかーさま 紗理達にキスして」
と幼子のようにねだる二人
「今、運転中だ 会場で落ち着いたらいくらでもしてやるよ
さては お前らワザとだなぁ〜」
「えへへっ ごめんなさ〜ぃ パパっ」
「くそぅ てめぇらの都合がいいときはおかーさまで都合が悪くなると ”パパ” かよ」
「そっ 良く分りましたね 美梨ちゃん」
と自分の娘と息子にからかわれ
「食えねぇな 全くませた娘と息子だぜ」
と声色は美梨で口調は佐奇森 咲人 (さきもり さきと)
紗理と璃依奈の実父その人だった。
「おはよう御座います 美梨さん 可愛い御召物ですな」
普段はスーツ姿の美梨だがプライベートやこうしたパーティには
可愛いワンピースドレスを着て来ることは
中身が咲人に変わる前からっだったし
病院関係者なら誰でも知っていた。
「会場の準備はこれからですが
どうしますか? お嬢様方も見学させるんで? 」
と主催の男性が車から脚を揃えて降りる美梨の手を丁寧にとり
こう声をかける
「ごめんさないね 榊杜さん 無理言っちゃって うちの娘達も
どうしてもついていくっていうもんだから 連れてきちゃって
特に璃依奈は”初めて”だから はしゃいじゃって
さっ ご挨拶なさい」
紗理達さえ、中身が”また”入れ替わっているのではないか
と疑うくらい完璧な”元”の母の口調で内心驚いた
父曰く”美梨の事は肉体そのものを狙っていた時から隅から隅まで知っている”
という それが元々あった母の記憶と融合し今は完璧だという
そのために、結婚初夜から隠秘学の研究を進めてきたと
説明を受けた事がある。
流石、璃依奈同様女性に成りたいと願う男の執念は凄まじく
生来の女性である紗理には到底理解出来無い感情であった
スカートをかわいい仕草で整え
「お初に御目にかかります 璃依奈 じゅうごさいですっ」
と多数の視えない異形や小型の化生を
躰に纏り付かせて完璧なカーテシーをふるまい
そして直ぐ紗理の後方に隠れてしまう
「ほう立派なお嬢さんだ しかし、なかなかのお人見知りのようですな」
と 榊杜 榮一郎のネームプレートが揺れる男性が
柔和な笑みで応対する。
「えぇ、困ったもんだわ いい加減人込みには慣れてくれないと」
「ハハハ 皆良くしてくれますよ ねぇ璃依奈ちゃん」
と初老の男性は柔和な頬笑み返す
「うん」
と可愛く頷く。
三人とも控え室で
可愛いアンサンブルドレスのフレアスカートから伸びた脚を椅子に座ったまま
パンプスのまま鏡台にのせクイクイ動かす
「ねぇ パパ、ママの躰で愉しんでいるでしょ? 」
と璃依奈
「まぁな オレも流石に普段はこんな品の無いことはしねえが
せっかく手に入れた女の躰だ オレなりに愉しんでるんだよ
このギャップがいいんじゃねぇか
ねぇ それよりどうだった ”パパ”の美梨ぶりって?
完璧だったでしょ」
「「うんっ やっぱり 美梨は美梨だった」」
「きゃーん うれしいわぁ」
と三人同時のとても母娘とは思えない濃厚なキスが交される。
んんっ ...... んーぁ くちゅくちゅり と三人同時の異様なキスはしばらく続いていた
その異様で濃厚なキスに目を輝かせる紗理と璃依奈、特に璃依奈はある意味
美梨と同類で、シンパシーを璃依奈なりに感じているらしかった。
この控え室は会場からは離れている 流石に会場内は式典の業者で一杯で
呼びに来るまで自由に使っていいそうだ
狂った会話はさらに続く
「ねぇー 二人共こっちへいらっしゃい」
と脚を鏡台から降ろし二人に向き直る美梨。
「「な〜に? 」」
「今日ちゃんと皆にご挨拶できたらねー ママからとっておきあげる」
とっておきあげると言われて目を輝かせる 美梨がとっておきといった時は
絶対期待を裏切らないからだ。
両手で二人を抱き寄せ耳元で
「今日ね、久我山クリニックの一家も来るの
”あのクソ一家はなぁ 美梨の仕事上の業界敵でな
最近急激にのし上がって来やがって、シンパを増やしていやがる
大人共は美梨が社会的に葬ってやるがよ”
貴女たちには双子の姉妹を殺ってほしいの
まずは璃依奈ちゃん
貴女には貴女の徴で苛めてほしいのよ
いいペットは使っちゃだめよ ねぇいい娘だから出来るわね」
途中まではちゃんと美梨の口調だったが余程因縁があるらしく
セリフの途中は”素”丸出しだった。
「はい 美梨おかーさま 璃依奈うれしいわ
やっとこれで苛められるのね その後壊していいの」
と股間に視線を落とす。
「えぇ 好きになさい」
あまりのうれしさにぶるぶる震える璃依奈
「その後ね、壊れた玩具ね 紗理ちゃん 貴女自由に食べていいわ
久々の人肉よ うんと腐らしてから喰べなさいね 二人にママからのプレゼント♡ 」
紗理の髪が一気に銀に変化し瞳の色もピンクに変わる
「だって 貴女死体置場を恨めしそうに見てたじゃない
あまり勝手に無くなると拙いからね ママちゃんと知ってたんだから」
「えへへっ ばれちゃってた? 」
「えぇ ばれてたわよ だって貴女の美梨だもん」
とドヤ顔の美梨。
五枚のワンピースドレスも嬉しかったが紗理にとってこれほど嬉しいことは
今までなかった。
「あとね あの双子の姉妹ねー お洋服も限定物一杯持っているらしいから
オレが始末したら山分けしましょ ママも欲しいドレスがあったのよ可愛いのが」
「ホントはさ ”仕事上の業敵”ってのは
ウソでママがドレスほしかったんじゃない? 」
「えへっ どうでしょう これはナイショ♡ 」
と言葉を濁らすも目は正直だった。
程なくドアのノック音
「美梨さん 準備が整いました後は会場で式典まで御寛ぎ下さいませ
それと 久我山のお嬢様お二人が
紗理・璃依奈両お嬢様方に先にご挨拶したいとおっしゃてらして
いかが致しますか? 」
と榊杜氏。
「えぇ いいわ子ども達は子供達だけの方が気楽でいいでしょうから
わたしは 久我山氏に別件で ”用事” が有りますからそのときに」
「ではまっすぐ会場へ? 」
「えぇ そうします経営者として最終チェックはわたしの責任ですから」
と擦れ違い様に
「今は、お利口だから我慢なさいね」
と囁く。
「は〜ぃ 美梨おかーさま♡ 」
可愛い返事を返す紗理と璃依奈
「本当に、 可愛らしいお嬢さん方だ」
と
それを見守り笑み浮かべる榊杜氏
「「それでは 榊杜の小父様 ママを宜しくお願いしますっ」」
子供らしい返事とカーテシー。
(ふふ 璃依奈を”男”とも知らずによ
ほんとあざとさにかけては 紗理以上だぜ)
と美梨
(璃依奈ったら”男”のくせにわたし以上にあざといわぁ
いいなぁ でもオンナノコに成りたかったんだもんね
こう見ても璃依奈って可愛くて大好き ぁあぁん)
と紗理
(うふふ 璃依奈の”オトコノコ”やっと使えるわ ペットを嗾けたいけどー
今日は、璃依奈を可愛く見せる絶好のチャンスね
旧病棟も、地下の迷路もぜーんぶ璃依奈のモノ
美梨おかーさまと紗理おねーさまを邪魔するモノはこの璃依奈がぜーんぶ
壊してあげるんだから)
と 璃依奈
駐車場に留まった一台の高級電気自動車の窓に猫がべたっと腹をつけていた
自動車からは微かに冷房が稼働している音が聞こえる
その目に大粒の涙を浮かべ薄く開けた窓に一匹の猫が取り縋り
直ぐ諦観したように丸くなる 既に美梨の魂は
猫に成り果てていて涙や取り縋る行動は反射的な運動に過ぎない。
冷房は常に緩く効いているので
熱中症の心配はない あの、三人の異界の化生共は
それぐらいの配慮はしてくれているようだ
........ 。
... 。
「ねぇ パパはママになれて幸せ? 」
「うん そう パパは美梨を初めて見た時から美梨になりたかったの
だから幸せよ とーっても♡ 」
と美梨は娘達と同様可愛いワンピースドレス姿で自分で抱き寄せ濃厚なキスを
姿見に映った自分にする
「紗理ちゃんは どぉ? 」
「えーっと 紗理も幸せ ホントは残虐で残酷なこと大好きだったけど
美梨ちゃんの御蔭でようやく本性をだせたの だからとっても幸せ! 璃依奈は? 」
「うん 璃依奈もパパと同じで女の子に成りたかった ママとおねーちゃんといっしょ
にお買い物行きたかったの 璃依奈がやっと表にでて来られてそれに
一杯お友達もいる だから幸せよ璃依奈は」
とくに美梨が美梨になってから
スーツ姿は仕事以外殆ど見たことがない。
美梨もこんなワンピースドレスにず〜っと憧れていて
可愛いワンピースドレスの割合が多くなった。
可愛いワンピースドレスもスーツも恐ろしい程似合う美梨は
現在でも、二人の憧れの的だった。
時が進むにつれ妖しい魅力を増した三人の異界の住人
高度な知性と有り余る財産、可愛くて美しい躰。
美梨は美しい女性の躰と
佐奇森 咲人 (さきもり さきと)の隠秘学と工学の知識
佐奇森 美梨 (さきもり みり)の社会的地位と財産と優秀な医学知識
を。
紗理は、自分を縛り付けていた倫理観と価値観を棄て
心の奥底で欲していた残虐で残忍な自分を。
璃依奈は誰もが羨む可愛い少女姿で自由に徴を
出し入れ出来る肉体と数百の自分だけの異形の眷族
を。
その三人の異界の化生達はそれぞれの思いを胸に秘め
準備が終わった会場へ入っていった
エピローグ第二話へ........ つづく。
鎖軀山怪異奇譚考_佐奇森 美梨那
美梨が理想とした少女の姿
八話以降に登場
サキモリ・メディカル・コンツェルンのCEO兼COO
次回、最終エピローグ
奇譚ノ終ノ弐 黒い罪と白い罰のものがたり
お楽しみに
この後のエピローグ第二話を持ちまして鎖軀山総合病院での鎖軀山怪異異譚考を
一旦終幕とさせて頂きますが
本編のキャラクター達と他の二勢力の群像劇
異譚ノ謝肉祭 (いたんのしゃにくさい)をプロットが整い次第
連載をしたいと思っております。
人造少女は、次話最終エピローグにて挿絵と本文に登場の予定です。