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敵わない秘技

ちひろに手を取られてずんずん校内を歩く。道行く生徒が俺らを見て何事かと驚いている。


「おい、ちひろ、一体どこに」


問いただしてもちひろは何も言わない。階段を下り、教室棟から部活棟へと渡る。


向かっているところがわかった。俺らの部室だ。この高校には同好会だろうとある程度の実績を残せば部室を提供してくれる。と言っても、何十人もいるダンス部を収納するほどの大きさはなく、荷物を置くスペースと化している。


案の定、ちひろは迷いなくダンス部の部室へと向かい、ドアを勢いよく開ける。


「あ、明先輩と、ち、ちひろ?一体どうしたんすか?」


部室には後輩1年生男子が数人、囲む形で昼飯を取っていた。訝しげな目でちひろではなく俺を見る後輩たち。今どう見てもちひろが俺を連れ立ってきたのはわかるはずだ。なぜこっちだけ見る。


「・・・あ、そ、そういえば明先輩、グループ抜けたの・・・」


一人がこのよくわからない状況を打破しようと俺に質問をしようとした矢先、


「みんな、悪いけど先輩と二人で話したいことがあるからいいかな?」


ちひろの大きくないけれど鋭い声に後輩たちは肩をビクッとあげる。お願いのように見えてNOとは言わせない声音に、俺も萎縮した。


「あ、はい」


少しチャラついた風貌をした子たちなのに、なんの反論もなくそそくさと部屋を出る。よくわからないけど申し訳ない気持ちになった。


バタン、とドアが閉められ、あっという間に部室には俺とちひろだけになった。


「・・・」


「あの、ちひろ?」


ドアを背面にして、ちひろはずっと下を向いたままだ。


先ほどちひろを傷つけて、そしたらここに連れてこられた。頭を回転させてこの後何が起こるのかを考えるが、目の前の女の子が何を考え、何を思うかなど、俺なんかにわかるわけがなかった。


「先輩は、ダンス部が好きですか?」


突如口を開いたと思ったら、突拍子もない質問。その質問の答え次第で何が起こるのか推測しようとするも、今はちゃんとちひろに向き合わなければと思い、素直に答える。


「もちろん、ダンス部は好きだ。好きなんだけど、よくわからなくなっている」


「そのことと休部したことは関係していますか?」


「・・・ある。」


ちひろは悲しそうな目で見つめてくる。なんなら泣きそうな雰囲気すらある。


「・・・嫌いになったからですか?」


「ダンス部はさっきも言ったけど、今も好きだし楽しい場所だと思ってるよ。」


「違います!私のことが、嫌いになったからですかってことです!」


はち切れた水が溢れ出るようにちひろは涙を落とす。それでも顔は俺の方を向いたまま。そのため、泣き顔をこれでもかと見せつけられている。


今、どうしてちひろが泣き出しているのかわからず、聞いてしまった。


「嫌いって、どうして俺がお前を嫌うんだよ」


「だ、だって、先輩、優奈先輩たちのサプライズの時に、あたしとずっと話してて、そしたら日曜日に、休部するって連絡があって、抜けちゃって、あたしが、いつも先輩をいじるから」


涙を手で拭きながらポツリポツリとちひろは答える。メイクが少し落ちてしまっているが、御構い無しにちひろは続ける。


「いっつもあたしがちょっかい出すから、うんざりしたのかなって、馴れ馴れしくしすぎたんじゃないかって、迷惑だったんじゃないかって!」


「お、おい落ち着けって。お前のせいじゃない。こればっかりは本当だ。お前のことを嫌うことはない。むしろ好きな部類だ」


何か口走ってしまった気がするが、泣いている子を見て励まさないことの方がおかしいだろう。

ここでいつものようにふざけたことを抜かすことができればよかったのだが、今の俺にはそれができない。


「・・・本当ですか?」


「ああ、本当だ。・・・お前にはちゃんとどうして休部したのか、全部話すよ」


こんな途中で申し訳ないのですが、ひとまずここで区切ることにします。

見ていただけた方、本当にありがとうございます。

また機会があれば、続きを描きたいです。

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