6日目 近づいた距離
やっとの休日で一日オフの日だ。
今日は何をしようか。
布団の中でダラダラしているとドアがゆっくりと開いた。
そちらを見てみるとこちらを伺う光輝が目に入った。
あぁ、相変わらず天使だな、いや天使か。
『あ、あの、マナ』
「どうしたんだい?」
『あ、あの清光が…っ』
名前を与えた日から光輝はあの黒い竜君の事を名前で呼ぶようにしていた。
黒い竜君は不服そうではあるが光輝が呼んでいるため無視できないようだけど。
「黒い竜君がどうしたんだい?」
どうやら、何かが起こったらしい。
リビングに行くとそこには黒い髪、赤い瞳の少年がそこにいた、
ど、どちらさま…?
『………』
その少年はこちらを見つめる、
というか睨んでいた。
な、何故…
『清光っ!
睨んじゃだめだよ!』
清光、だと‥!?
光輝と黒い竜子を何度も見た。
光輝はニコニコしてこちらを見ていたけど
「黒い、竜君、なのか…?」
『そうなんですよ!清光がヒトガタになったんです!』
『……ちっ』
舌打ちされたでござる!!
解せぬ!!
「なんでまたヒトガタになったんだろう」
『それはもちろん、いたあ!?』
光輝が話をしだした途端、黒い竜君は光輝を叩いたが様子がおかしい。
『……清光?』
光輝が心配そうに見つめると、
黒い竜君が倒れた。
「……黒い竜君!?」
急いで駆け寄ると息遣いが荒い、そしてどことなく顔が赤かった。
『清光っ!清光!』
光輝は必死に名前を呼んでいた。
と、とりあえず病院に行かねば…っ
「ああ、うん。竜風邪だね」
「竜風邪」
病院に行くと人外専門の医者に案内され竜風邪と診断された。
どうやら、竜や竜人がなる風邪でストレスや慣れない環境で罹るらしい。
大事ないようでに三日で治るとのこと。取りあえず安心した。
隣を見ると熱でぼーっとしている黒い竜君と心配そうにしている光輝が目に入った。
「それにしても、黒い子竜と白い子竜とは珍しい組み合わせだね」
医者の人が話し出した、昭仁も同じことを言っていた、それはどういう事だろうか。
「その顔は知らないね?説明しよう!」
医者曰く竜自体が珍しいとのこと、ましてや黒い竜と白い竜というのは希少価値が高く、マニアからしたら口から手が出るほど欲しい…
らしい。よくわからないけど。
「興味なさそうだね、その子たちを大事にしたあげてね?
きっと、君にとってもいいことだから。」
医者はにっこりと意味深な笑みを浮かべる。
なんというか、この医者は怖さとは違う何か別の気持ちになった。
うまく説明できないけど。
「さて、それじゃあ処方の薬を出しておくからお大事にね」
診察が終わり、家に帰ってきた。
そしてすぐに布団の中に眠らした。
『……清光は安心して眠ってますね、』
「そうだね、朝の状態よりは幾分かましになった。」
安心して眠っている黒い竜を見つめながら光輝はつぶやいた。
そして、ぽつぽつと話し出した。
『僕と清光は希少の高い竜族の生き残りなんです』
なるほど、竜自体が高いのか…
うん?まてよ、それを言うなら竜人族の雅さんはどうなるんだ?
いや今は関係ないな、と考えを頭の隅に追いやって光輝の話を聞いていた。
『ある時、白衣を着た多くの人間が僕たちの前に現れたんです。』
『仲間がたくさん、たくさん捕まっていきました。
僕と清光も仲間から引き離されて捕まって、だけどそのあとの記憶は僕はないんです。
目を覚ますと傷だらけの清光がいました。
でも、その時の事は清光は覚えているようで話してくれないんです。』
そう話す光輝は苦しそうに話していた。
私は無意識に抱きしめていた。
そんな行動に目を丸くしてなすがままになっている光輝、
「ごめん、ごめんね…謝って済むことではないけど謝らせてほしい。」
ひたすら謝る私に光輝は戸惑っていた。
『なんで、マナが謝るんですか』
言葉に出来ない私を心配そうに困ったような顔をして話しかけてくる。
『とにかく!マナはいい人間だということはわかってるので安心してください!』
そういうと光輝は『それじゃあ僕、お粥作ってきます!』といって私から離れてキッチンに向かって走り出した。
逃げられた。解せぬ
取り残された私は清光をのぞき込む。
「ごめんね、清光…。」
人撫でして、その部屋を出ていこうとした時、手をつかまれた。
そちらを見ると、黒い竜君が手をつかんでいた。